給料

弁護士監修記事 2017年06月08日

未払い賃金立替え払い制度とは? 制度が利用ができるケースと必要な手続き

残業代を払ってもらえないまま、会社が倒産してしまった…。そんな場合でもあきらめることはありません。 会社に代わり国が未払い残業代を払ってくれる「未払賃金立替払制度」を利用できる可能性があります。

  • いくら立て替えてもらえるのか?
  • 制度を利用できる条件は?

条件をみたせば、最大で6か月分の未払い残業代を8割まで支払ってもらえる可能性があります。この記事では、制度を利用できる場面や、手続きの流れを詳しく紹介します。

目次

  1. 未払賃金立替払制度とは?
  2. 立て替えてもらえる範囲はどこまでなのか
    1. 対象となる賃金のうち、最大で8割立て替えてもらえる
  3. 制度を利用できる条件
    1. 対象となる労働者
    2. 対象となる使用者(会社)
    3. いつまで請求できるのか
  4. 請求する方法と流れ
    1. 「法律上の倒産」の場合
    2. 「事実上の倒産」の場合
    3. 必要書類

未払賃金立替払制度とは?

未払賃金立替払制度は、会社が倒産して賃金が支払われないままだった場合、会社の代わりに国が未払い賃金の一部を立て替えてくれる制度です。 具体的には、独立行政法人の「労働者健康安全機構」が制度を実施しています。2015年度でみると、約2万4000人に対して、総額95億3000万円あまりが支給されました(厚労省調べ)。

立て替えてもらえる範囲はどこまでなのか

立て替え払いの対象になるのは、退職した日の6か月前から立て替え払いを請求した日の前日までに支払いの期限をむかえている定期賃金(月給)と退職金です。 未払賃金立替払制度で回収できる賃金の範囲 ※勤怠が毎月20日締め・給与が25日払いだった場合

ボーナスは立て替え払いの対象とはなりません。また、総額が2万円未満の場合も制度の対象にはなりません。

対象となる賃金のうち、最大で8割立て替えてもらえる

対象となる賃金の最大で8割を限度に立て替えてもらえる可能性があります。ただし、退職時の年齢によって、金額に上限が設けられています。

退職日の年齢 未払い賃金総額の限度額 立て替え払いの上限額
45歳以上 370万円 296万円
30歳以上45歳未満 220万円 176万円
30歳未満 110万円 88万円

たとえば、未払い賃金が300万円のAさん(33)と、100万円のBさん(25)のケースを考えてみましょう。 Aさんは「30歳以上45歳未満」なので、未払いの残業代の金額がどんなに高くても、立え替えてもらえるのは220万円が限度です。

Aさんの未払い賃金は300万円→限度額よりも金額が高い→220万円として計算:220万円×0.8=176万円(上限額)

一方、Bさんは「30歳未満」なので限度額は110万円ですが、未払い賃金は100万円なので、限度額の範囲内におさまっています。

Bさんの未払い賃金は100万円→限度額よりも金額が低い→100万円×0.8=80万円

制度を利用できる条件

対象となる労働者

対象となるのは、「裁判所に対して破産などの申し立てた日、または、労働基準監督署長に対して『倒産したことを認定してほしい』と申請した日の6か月前の日から、2年の間に退職した者」です。 少しややこしいですが、図にすると次のような期間に退職した人が対象になります。 未払い賃金立替払制度の利用対象者

労働基準法で定められた「労働者」であることが求められます。会社の役員だった方などは対象外となります。

対象となる使用者(会社)

対象となる使用者(会社)の条件は主に2点です。(1)1年以上事業活動をおこなっていたこと、(2)倒産したこと。倒産は、「法律上の倒産」と「事実上の倒産」の2種類があります。

厳密には、労働者災害補償(労災)保険法が適用される事業に限定されますが、労働者を1人以上雇っている会社であれば、ごく一部の例外を除いて該当します

法律上の倒産

法律上の倒産とは、簡単にいえば裁判所から「この会社は倒産の状態にある」と認められた場合です。具体的には次の場合です。

  • 破産手続き開始の決定を受けた(破産法)
  • 再生手続き開始の決定を受けた(民事再生法)
  • 更正手続き開始の決定を受けた(会社更生法)
  • 特別清算の手続き開始命令を受けた(会社法)

事実上の倒産

事実上の倒産とは、こうした裁判所の認定は受けていないけれど、現実的に、支払い不能・債務超過の状態にあることなどをいいます。 労働者の申請によって、労働基準監督署長に「(事実上の)倒産状態にある」と認めてもらえれば、立て替え払い制度を利用できます。 対象となるのは以下の条件をみたす中小企業です。

業種 資本金(または出資)の額 常時使用する労働者の数
小売業 5000万円以下 50人以下
サービス業 5000万円以下 100人以下
卸売業 1億円以下 100人以下
その他 3億円以下 300人以下

いつまで請求できるのか

立て替え払いの請求可能期間 請求可能な期間は、次のいずれかの日の翌日から2年以内です。

  • 破産手続きの開始が決定された日
  • 再生手続きの開始が決定された日
  • 更正手続きの開始が決定された日
  • 特別清算の手続き開始命令が出された日
  • 労働基準監督署長によって事実上の倒産が認定された日

請求する方法と流れ

「法律上の倒産」の場合

法律上の倒産 *証明者:倒産の事実などを証明してもらう必要があるので、次の「証明者」から証明書を発行してもらい、労働者健康安全機構に申請します。

倒産の区分 証明者
破産 破産管財人
会社更生 管財人
特別清算 清算人
民事再生 再生債務者(管財人が選任されている場合は管財人)

「事実上の倒産」の場合

事実上の倒産 事実上の倒産認定は、会社の住所を管轄する労働基準監督署の署長あてに申請します。インターネット上でも申請することができます「事実上の倒産認定申請|電子政府の総合窓口e-Gov イーガブ 不安な方は、労働基準監督署の窓口に行き、不明な点を聞きながら書類を作成して提出するとよいでしょう。 従業員が会社の経済状況を示す資料を詳しく集めることが困難なケースもありますが、従業員側で用意できる資料としては、事業所の写真や、これまで給与が支払われていた通帳などがあげられます。

すでに他の労働者が申請して倒産認定を受けている場合は認定の申請は不要です。

必要書類

「立替払請求書」と「退職所得の受給に関する申告書・退職所得申告書」が必要です。労働者健康安全機構のサイトに書類のひな形と記入のしかたが掲載されています。参考にしてみてください。

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