管理職に残業代が発生する条件とは?|「名ばかり管理職」にあたるケースも解説

「課長」「マネージャー」など管理職のような役職についていて、業務上「管理監督者」として扱われているような場合であっても、場合によっては残業代や割増賃金が発生することがあります。 また、法律上の「管理監督者」にあたらないのに管理職として扱われているような場合は、「名ばかり管理職」として、一般的な従業員と同様に残業代や割増賃金を請求できる可能性がります。 この記事では、管理監督者に残業代が発生する場合とその計算方法や、「名ばかり管理職」にあたるのはどのような場合なのかといった点について、詳しく解説します。

目次

  1. 「管理監督者」とは
    1. 管理監督者にあたるための条件
  2. 「管理監督者」にあたるのはどんな場合なのか
  3. 「名ばかり管理職」にあたる場合、残業代・割増賃金を請求できる

「管理監督者」とは

会社と労働者の関係については、労働時間(1日8時間、週40時間、休憩時間)や休日、時間外労働をした場合の割増賃金など、労働基準法で労働者を保護するためのルールが定められています。 こうしたルールの例外として、労働基準法の「管理監督者」にあたる場合は、労働時間・休憩・休日などに関する規定が適用されないため、法定労働時間を超えた労働が認められたり、一定の場合は割増賃金が発生しないなど、一般的な労働者とは異なるあつかいが許されています。 ただし、いくら働いてもまったく残業代が発生しないわけではありません。深夜(22時〜5時)に労働した場合は割増賃金(25%〜)が発生します。

管理監督者にあたるための条件

管理監督者に通常の労働者と異なるあつかいをすることが法律上認められているのは、「管理監督者の場合には、労働時間を自由裁量で定めることができるから、過重な長時間労働などを避けられる。だから労働者の保護が失われることにはならない」という考えが前提があるからです。 そのため、管理職のような役職を与えられていても、上司から業務について厳しく管理されるなど、裁量がなく、実質的にみて管理職とはいえないような場合は、法律上の「管理監督者」とは認められません。 いわゆる、「名ばかり管理職」とよばれる問題です。 一般の労働者と同様、残業代や割増賃金を会社に請求することができます。

「管理監督者」にあたるのはどんな場合なのか

確立された判例があるわけではありませんが、裁判例などでは、法律上の「管理監督者」にあたるのかどうかについて、主に次の3点を総合的に考慮して判断しているものが少なくありません。

  • 企業経営の重要事項に関与している
  • 勤務の形態が労働時間などの規制になじまない
  • 管理監督者としてふさわしい待遇を受けている
「管理監督者」の要件 具体例
職務内容、権限や責任に照らして、企業経営の重要事項に関与している(経営者と一体的立場にある) ・経営方針の決定に参加している ・労務管理上の指揮権限がある
勤務の形態が労働時間などの規制になじまない ・出勤・退勤の時間が自由 ・職務遂行上、時間外労働または休日労働が避けられない状況ではなかった
管理監督者としてふさわしい待遇を受けている ・賃金や手当の額が優遇されている ・社内において、給与または賃金の額が他の役職の従業員に比較して高い

具体的にどう判断されるのか、「日本マクドナルド割増賃金請求事件(東京地裁2008年1月28日判決)」と呼ばれる裁判例をサンプルにみてみましょう。 この裁判は、ハンバーガーチェーンのマクドナルドの店長が、「自分は労基法上の『管理監督者』にあたらない」と主張して、日本マクドナルドに対して過去の時間外・休日労働の割増賃金の支払いなどを求めた裁判でした。 判決では、原告の店長は「管理監督者にあたらない」として、マクドナルドに付加金を合わせて約750万円の支払いを命じました(控訴審で和解が成立)。 判決では詳細な事実認定をおこなっていますが、おおまかにまとめると次のような事実などを認定して、原告の店長が「管理監督者にあたらない」と判断しました。

  • アルバイトの採用・販促活動など一定の権限があるが、店舗内のことがらに限られる(経営者と一体的立場といえるような権限が与えられていたわけではない)

  • 日本マクドナルドが決めたルール(「営業中はシフトマネージャーを置く」など)を守るため、店長自身がシフトに入る必要があり、長時間長時間労働を余儀なくされることがあった(労働時間に関する裁量がなかった)

  • 店長とファーストアシスタントマネージャー(店長に次ぐ立場・非管理職)との間に年収の差はあったが、店長の長時間労働の実態なども考えると、管理監督者の待遇として十分といえない。

このように、裁判では、「管理監督者」の判断について、権限・勤務態様・処遇などから実質的に判断されているといえるでしょう。

「名ばかり管理職」にあたる場合、残業代・割増賃金を請求できる

「名ばかり管理職」にあたる場合、通常の従業員と同じく、会社に対して残業代・割増賃金を請求することができます。 計算方法や具体的に会社に残業代を請求する方法については、この記事の下の関連記事で解説しています。

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