退職勧奨

弁護士監修記事 2017年05月01日

会社を辞めたくないのに「退職勧奨」を受けたときの対処法

「会社を辞めてほしい」「別の仕事が向いているのではないか」などと、会社が退職を勧めてくることを「退職勧奨」といいます。 労働者が退職勧奨を受け入れる義務はありませんし、執ような退職勧奨は違法になることもあります。執拗な退職勧奨を受けて退職に追い込まれたような場合は、会社に対して賠償を求めることができる可能性もあります。 この記事では、退職勧奨を受けたときの対処法について詳しく解説します。

目次

  1. なぜ会社は退職勧奨してくるのか
  2. 退職勧奨に応じる義務はない
  3. 退職勧奨が違法になるのはどんなケースなのか(下関商業高校事件)
  4. どんな解決を望めるのか
  5. どんな証拠を集めておくべきなのか
  6. 具体的な解決の手段

なぜ会社は退職勧奨してくるのか

会社側が労働者に退職を勧めてくることを退職勧奨といいます。 会社が従業員を「辞めさせたい」と考えた場合、手っ取り早い方法は、一方的に雇用契約を終わらせる「解雇」という手段です。 しかし、解雇は、法律などで有効と認められるための条件が厳しく定められているため、会社は従業員を簡単に解雇することはできません。 そのため、解雇ではなく「自分の意思で退職した」というかたちにするために、退職勧奨をしてくるのです。

退職勧奨に応じる義務はない

退職勧奨は、あくまで「辞めてほしい」という会社側の「お願い」です。受け入れるかどうかは、労働者の意思に委ねられています。そのため、労働者が退職勧奨に応じる義務はありません。 「今の会社で働き続けたい」と考えているなら、辞める意思がないことを会社側にしっかりと伝えましょう。 また、明確に合意しなくても、次のような行動は「退職を受け入れた」と受け取られるおそれがあるので避けましょう。

  • 「退職届」や「退職同意書」を提出する・サインする
  • 会社からの「退職してほしい」といった問いかけに「はい」などと応える
  • 自ら退職金を請求する

このような言動・行動があると、後に裁判などで退職勧奨が違法であったことを主張したときに、会社から「自分の自由意思で退職した(=退職勧奨は違法ではない)」と反論される可能性があります。 あなたに退職する意思がないのであれば、「退職届」や「退職同意書」を会社側が提示してきても対応してはいけません。口頭でも「辞めません」ときっぱり伝えましょう。 また、会社側から「退職勧奨に応じない場合は解雇する」などと告げられても、あきらめて退職勧奨に応じる必要はありません。 仮に退職勧奨に応じなかったことを理由に解雇されたとしても、退職勧奨に応じなかったことだけを理由とする解雇は「不当解雇」として違法・無効と判断される可能性があるからです。

退職勧奨が違法になるのはどんなケースなのか(下関商業高校事件)

会社が従業員に対して「辞めてほしい」とお願いすること自体が、ただちに法的な問題があるわけではありません。 しかし、従業員が退職する意思がないことを明確に表明しているのに、会社側が退職勧奨をくり返し執ように行なってくるような場合は、不法行為として損害賠償の対象になる可能性があります。また、退職の意思表示が無効と判断される可能性があります。 具体的にはどんなケースで退職勧奨が違法と判断されるのか。退職勧奨の違法性が最高裁まで争われたケースをみてみましょう。公立高校の教諭のケースですが、参考になるケースなので紹介します。 これは、退職勧奨の基準年齢(57歳)になったことを理由に、市の教育委員会が、男性教諭に対してくり返し退職勧奨をしたことが違法かどうかが争われた裁判でした。 市の教育委員会は、はじめは優遇措置について話す程度でしたが、その後、男性に対して退職を強く勧めはじめました。数か月の間に十数回にわたり男性に出頭を命じて、長いときは2時間以上におよぶ退職勧奨を行ないました。 また、退職勧奨を受け入れない限り、男性が所属する組合の要求に応じないことや、配転をほのめかすなどしました。 判決は、退職勧奨を受けた従業員の「自由な意思決定が妨げられる状況があったかどうか」という点を判断のポイントとしてあげ、教育委員会が行なった退職勧奨の回数が多かった点や、長期間にわたって行なわれた点、配転をほのめかした点などの事実に着目し、「退職勧奨として許される限度を超えている」として、市の損害賠償責任を認めました。

どんな解決を望めるのか

「退職勧奨をやめてほしい。この会社で働きたい」と考えている方は、働き続けることを前提に会社と交渉を進めましょう。 まずは、口頭で退職の意思がないことを会社側に明確に伝えましょう。それでも止まらない場合は、内容証明郵便を利用することも考えられます。 もし、退職届けにサインしてしまった後でも、実質的に退職を強制するような違法な退職勧奨があった場合、「退職の意思表示は無効だ(=まだ会社に在籍している)」と主張することが可能です。 すでに転職し元の会社に戻る意思はないような場合でも、不法行為を理由に、退職勧奨をした会社に対して損害賠償を求めることができる可能性があります。

どんな証拠を集めておくべきなのか

退職勧奨は他の従業員から隔離された密室などで行なわれることが少なくありません。実際に争いになった場合に備えて、退職を受けた場所・回数などを記録し、録音などで具体的なやりとりを記録しておくことをお勧めします。

具体的な解決の手段

不当解雇を主張する手段は、会社と直接交渉することだけでなく、労働審判や裁判といった制度を利用して解決を目指すこともできます。 この記事の下の関連記事で詳しく解説しています。

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