労働審判

弁護士監修記事 2017年04月10日

「労働審判」の仕組みを紹介、裁判より柔軟・迅速に労働問題を解決

「解雇の無効を訴えたい」「未払いの残業代を払ってほしい」ーー。労働に関するさまざまな紛争を解決したいと考えたとき、方法は裁判だけではないということをご存知でしょうか? 労働審判裁判よりも柔軟かつ迅速に労働問題の解決を期待できる制度で、次のような特徴があります。

  • 話し合いで柔軟な解決を期待できる
  • 最短1回の話し合い、平均2〜3か月程度での迅速な解決を期待できる

裁判など他の制度とどう違うのか、詳しい手続きの流れを確認していきましょう。

目次

  1. 労働審判は話し合いで解決を目指す法的手段
  2. 労働審判の着地点はおもに3パターン
  3. 労働審判の手続きの流れ
    1. 第1回話し合い当日の流れ
    2. 第2回話し合い〜第3回話し合い
    3. 労働審判に対する異議申立て
  4. 労働審判を利用したいと考えたら…
  5. 労働審判に弁護士は必要?

労働審判は話し合いで解決を目指す法的手段

労働審判とは、労働紛争を紛争の実情に即した迅速・適正かつ実効的に解決するためにできた、比較的新しい制度(2006年)です。 経験豊富な労働審判官(裁判官)と、労働関係について専門的な知識を持つ労働審判員(労働組合の役員経験者、企業の人事担当経験者など)が審理を担当してくれるので、客観的で公正な解決を期待することができます。 また、証拠調べの方法は、当事者、関係者を同席させて労働審判委員会が主導する審尋(質問とそれに対する陳述)と書証(書面の証拠)によるのが中心で、審判官・審判員が柔軟に判断してくれます。 早期に柔軟な解決を目指したい方に向いた手段であるといえるでしょう。実際、双方に弁護士をつけた場合の解決率は、8割を超えています。

労働審判の着地点はおもに3パターン

労働審判のフロー図 労働審判は、以下3パターンいずれかの結末にたどり着きます。

  1. 話し合いによって解決(調停成立)
  2. 話し合いでの解決が困難な場合は、労働審判委員会が解決案を示す(審判)
  3. 審判の結論に納得できない場合は、裁判へ

お互いに歩み寄って合意の上で結論を出すことが調停です。話し合いがまとまらない場合に審判官が結論を出すのが審判です。 調停と審判は、裁判の判決と同じく法的な拘束力を持ちます。そのため、会社側に調停・審判で示された内容にしたがった対応をさせることが期待できます。 ただし、審判の内容に納得できない場合は、裁判所に異議を申し立て、裁判で争うことになります(審判は無かったことと扱われます)。

このような特徴があるため、そもそも双方の対立が深刻で、歩み寄る余地が全くないようなケースは労働審判に向いていないと言えるでしょう。相談した弁護士に通常の裁判を提案されたり、裁判官に労働審判を中断されたりすることもあります。

労働審判の手続きの流れ

第1回話し合い当日の流れ

労働審判のイメージ 当日は裁判所に出廷し、丸テーブルで話し合いをすることになります。 話し合いでは、審判官が双方の主張を聞き、事実関係を明らかにしていきます。裁判のようにどちらかが一方的に尋問されるのではなく、審判官が気になった点をその場で両者に問いかけていくような形式です。双方の主張を確認した後、一度関係者が退席し、審判官と審判員の3名のみで合議を行います。 第1回の話し合いで、おおよその争点と事実関係が確認できた場合は、合議の後に審判官・審判員から調停案が提示されたり、調停による解決の見込みがあるか探られたりすることになります。労働者側、会社側が片方ずつ別室に呼ばれ、審判官・審判員から調停案についての意向を聞かれます。双方が納得した場合は調停が成立します。 第1回で明らかにならなかった争点や事実関係があった場合や調停案について検討の時間が必要とされた場合には、第2回の話し合いに続きます。

第2回話し合い〜第3回話し合い

第2回の話し合いでは、第1回でまだ明らかになっていない争点や事実関係について、お互いに新たな証拠を提出する等して、さらに話し合うことになります。 主張や証拠書類の提出は「やむを得ない事由がある場合を除き」第2回の話し合いまでとされています。 そのため、第3回期日では、一般的には、それまでの審理の結果をもとに、調停成立による解決を試みることとなります。 全ての争点と事実関係が確認され、調停が可能と判断された場合は、審判官・審判員によって、最終的に示された調停案により調停が成立します。 一方または双方が調停案を受け入れなかった場合、労働審判委員会が審判の形で結論を出すことになります。

労働審判に対する異議申立て

審判の内容に納得がいかない場合は、異議を申し立てることができます(審判から2週間以内)。手続きは、通常の裁判へ移ります。

労働審判を利用したいと考えたら…

争う会社の本社所在地を管轄する地方裁判所に、申立書、証拠書類、手数料分の印紙を提出します。申立書には、解雇が無効である理由と、会社側に請求する内容(賃金の支払いなど)について記載します。 申立書の書式はこちらをご参照ください。

証拠の集め方について詳しく知りたい方は、この記事の下の関連記事をご覧ください。

労働審判の弁護士費用は、一概にはいえませんが、たとえば、経済的利益が300万円程度の場合、着手金が約15〜30万円、報酬金が約30万円、申立てなどにかかる実費が約5万円、合わせて約50〜70万円程度が一つの目安となり得ます。

経済的利益とは、依頼することによって得られた(もしくは支払いを免れた)金額のことを指します。経済的利益が得られなかった場合、報酬金は発生しませんが、着手金は支払わなければなりません。これの他に、初回相談料などがかかる場合があります。

労働審判に弁護士は必要?

労働審判は迅速、適正かつ実効的に労働紛争を解決することを目的とする制度ですので、当事者は、早期に、的確な主張、立証を行うことが重要です。 そのため、事前にしっかりと準備しておかないと、望む結果は得られない可能性があります。また、当事者同士だけでは、どうしても感情的な議論になってしまう傾向があります。 事前に弁護士に相談し、話し合い当日にどのような主張をするか、事前にしっかりと準備しておくことをおすすめします。

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