新型コロナの影響で解雇されてしまったら?解雇無効や公的支援制度について解説

新型コロナウイルスの影響により、多くの会社において売り上げが大幅に減少し、経営が悪化してしまっています。 経営の悪化を原因として、従業員を解雇するようなケースも見受けられます。 もし新型コロナウイルスの影響で突然会社から解雇されてしまったら、従業員としては途方に暮れてしまうことでしょう。 しかし、会社に対して未払い賃金を請求したり、解雇の無効を主張したりすることができる場合もあります。 また、突然の失業により収入がなくなってしまった場合には、公的な支援制度を利用することも可能です。 自治体の窓口や弁護士に相談しながら、落ち着いてできる限りの対応を取ってください。 この記事では、新型コロナウイルスの影響により会社から突然解雇されてしまった従業員が取ることのできる対処法について詳しく解説します。

目次

  1. まずは当面の生活資金を確保する
    1. 雇用保険や任意保険からの給付を受ける
    2. 生活保護を受給する
    3. 国から特別定額給付金を受け取る
  2. 会社に対して主張できること
    1. 解雇の無効を主張する
    2. 違法な解雇により被った損害の賠償を請求する
    3. 在職中の未払い賃金を請求する
  3. 会社に対して権利を主張する方法とは?
    1. まずは話し合う
    2. 労働局による個別労働紛争解決制度の利用
    3. 労働審判
    4. 訴訟
    5. 労働紛争の解決は当初から弁護士に相談するのがおすすめ

まずは当面の生活資金を確保する

会社を突然解雇されてしまうと収入が途絶えてしまいますので、まずは当面の生活資金を確保することが重要になります。 ある程度貯蓄がある場合は、収入の目途が付くまでの間は貯蓄でしのぐことも可能でしょう。 しかし、貯蓄が十分でない場合には、保険や公的な支援制度を利用して生活費を確保しましょう。

雇用保険や任意保険からの給付を受ける

失業した場合に備えて保険に加入している場合には、保険給付を忘れずに申請しましょう。 失業の際に受給可能な保険には、大きく分けて①公的な保険である雇用保険と、②任意に加入する保険の2つがあります。 ①雇用保険 会社に勤務している従業員は、雇用保険への加入が義務付けられています。 保険料は、在職中に会社と従業員が折半で支払っています。 従業員が解雇により失職してしまった場合には、雇用保険の受給資格を満たしますので、忘れずに受給を申請しましょう。

雇用保険の受給申請は、ハローワークで行うことができます。

② 任意保険 従業員が万が一の失業に備えて、任意に失業保険に加入している場合には、加入している任意保険会社に対して保険金の支払いを請求することができます。 受給の方法についての詳細は、任意保険会社に問い合わせましょう。

任意保険は万が一の場合に備えて加入しておくものですが、普段は自分がどのような保険に加入しているのかについてあまり意識する機会はないのが通常です。 実際に保険給付を申請する必要が生じる場合に備えて、どのような保険に加入しているかを把握し、資料などを整理しておくようにしましょう。

生活保護を受給する

失業により生活が困窮してしまった場合には、収入が戻るまでの間、生活保護を受給することも一つの手段です。 自治体の窓口や福祉事務所に行って、突然解雇されてしまって収入がないということを相談しましょう。 生活保護の申請に必要な手続きについては、下記の厚生労働省のホームページも参照してください。 厚生労働省「生活保護制度」

国から特別定額給付金を受け取る

新型コロナウイルスの影響による経済の悪化に対応するため、国から特別定額給付金の交付を行うことが発表されています。 特別定額給付金は、国民であれば誰でも、世帯ごとに1人あたり10万円を受け取ることができます。 忘れずに受給の申請をするようにしましょう。 申請方法は、①オンライン申請と②自治体から郵送されてくる申請書による申請の2種類があります。 詳細は下記の特設サイトを参照してください。 特別定額給付金

会社に対して主張できること

従業員が会社側の都合で突然解雇されてしまった場合には、その解雇が違法ではなかったかということを疑う必要があります。 法律上は労働者を保護するために、会社が労働者を解雇することができる場合は厳しく制限されています。 法律のポイントを押さえて、解雇の無効を主張することを検討しましょう。 また、解雇無効の主張と併せて、会社に対して金銭の支払いを求めることも考えられます。 弁護士と相談の上、会社に対してどのような主張をすることができるかどうかを検討してください。 以下、従業員が解雇された場合に会社に対して主張できることについて解説します。

解雇の無効を主張する

労働契約法16条により、解雇が客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合には、解雇権の濫用として無効となります。 特に会社都合の整理解雇の場合、以下の4要件を満たしているかどうかが重要なポイントとして考慮されます。

  1. 人員整理の必要性 人員の削減をしなければ経営を維持できないというレベルで、解雇をする必要性が高いといえるかどうかが考慮されます。

  2. 解雇回避努力義務の履行 配置転換や勤務時間の削減など、会社側が解雇を回避するための努力を行った上で、それでもなお解雇がやむを得ないといえるかどうかが考慮されます。

  3. 被解雇者選定の合理性 会社の好みではなく、合理的かつ客観的な基準により解雇の対象者が選ばれたといえるかどうかが考慮されます。

  4. 解雇手続きの妥当性 解雇の対象となる従業員(または労働組合など)に対しての説明や協議が十分に行われ、従業員側の納得を得る努力が十分になされたかといえるかどうかが考慮されます。

解雇がこれらの要件を満たしていない場合には、解雇権の濫用に該当し、解雇が無効になる可能性が高いといえます。

違法な解雇により被った損害の賠償を請求する

解雇の無効を争うことと併せて、会社に対して違法な解雇により被った損害の賠償を請求することもできます。 損害賠償の対象となる損害項目としては、たとえば以下のようなものが挙げられます。

  • 解雇予告手当 労働基準法20条1項は、解雇をする場合には30日以上前に予告をする必要があり、予告をしない使用者は、30日分以上の平均賃金を支払わなければならないとされています。

したがって、従業員が解雇予告手当を受け取っていない場合は、30日分の平均賃金を会社に対して請求することができます。

  • 解雇時点以降の賃金 解雇が違法無効となった場合、解雇時点以降の期間についても賃金が発生します(その間会社において就労することができなかったとしても同様です)。

なお、解雇後の期間に別の仕事をするなどして収入(利益)を得ていた場合には、賃金の4割を上限として利益の金額が控除されます。 これを「中間利益の控除」といいます。

  • 生活費の補填のために借り入れを行った場合の利息 解雇により収入を失い、生活費を補填するために借り入れを行ったとします。 この場合、解雇がなければ借り入れを行う必要はなかったのですから、借り入れの利息相当額について損害賠償の対象となります。

  • 弁護士費用 従業員が会社に対して解雇の無効を主張したり、損害賠償の請求を行ったりするために弁護士に案件処理を依頼した場合、合理的な弁護士費用についても損害賠償が認められる可能性が高いです。

在職中の未払い賃金を請求する

もし在職中に未払いの残業代などが発生している場合には、この機会に併せて会社に対して請求しましょう。 弁護士に依頼をすれば、会社に対して請求できる未払い残業代の見込み額を計算してくれます。

会社に対して権利を主張する方法とは?

会社に対して権利を主張するために、従業員がどのような方法を取ることができるのかについて解説します。

まずは話し合う

会社との間で話し合いにより解雇の条件などについて合意できるのであれば、最も穏便に事態を解決することができます。 しかし、会社と従業員の間には経済的・マンパワー的に大きな差があるため、会社側がすんなりと従業員の言い分を受け入れる可能性は低いでしょう。 そのため、従業員側としては十分な準備をした上で交渉に臨む必要があります。

労働局による個別労働紛争解決制度の利用

会社との直接の話し合いで交渉がまとまらない場合には、労働局の紛争調整委員会によるあっせんを利用することも考えられます。 この制度を利用すると、会社と従業員の間に労働問題の専門家が入り、紛争解決を仲介してくれます。 裁判などの法的な手続きに比べて、迅速かつ簡便な手続きであるという特長があります。 ただし、あくまでも当事者間の合意による解決を目指す制度であるため、合意に至らない場合にはより強力な手続きの利用を検討する必要があります。 厚生労働省「個別労働紛争解決制度(労働相談、助言・指導、あっせん)」

労働審判

労働審判では、裁判所の関与の下、労働紛争に特化した審判手続により紛争を解決が目指されます。 労働審判は訴訟よりも迅速かつ簡便な手続きです。 原則として3回の審判期日の間に、当事者間での紛争解決合意(調停)の成立を目指します。 また、調停が成立しない場合であっても、労働審判委員会が審判の形で結論を出すことになります。 そのため、単なる話し合いに比べて、より実効的に紛争解決を目指す機能があるといえます。 なお、審判の結果について当事者に不服がある場合、異議申し立てを行うことによって訴訟手続に移行します。

訴訟

上記の手続きによっても紛争解決に至らない場合には、最終的には会社を相手に訴訟を提起することになります。 訴訟では、解雇権の濫用について、会社と従業員の間で証拠に基づいて主張を戦わせることになります。

労働紛争の解決は当初から弁護士に相談するのがおすすめ

上記のように、会社に対して解雇の無効や損害賠償などを請求する方法はさまざまですが、いずれにしても経済力やマンパワーで大きく勝る会社との間で主張を戦わせることになります。 そのため、話し合いの段階から法律の専門家である弁護士に会社との交渉を依頼することをおすすめします。 当初から弁護士に依頼しておけば、その後あっせん手続きや労働審判、訴訟などに移行する必要が生じた際にも、手続きの準備をスムーズに進めることができます。 会社から突然解雇されてしまったという場合には、ぜひお早めに弁護士に相談をしてみてください。

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