新型コロナの影響で派遣先から中途解除や雇止めをされた場合の対処法

新型コロナウイルスによる経営状況の悪化を理由に、派遣先の会社から派遣期間中に契約を解除されたり、契約を更新しない(雇止め)と言われたりした場合の対処法を解説します。 派遣期間中での解除の場合、派遣先と派遣元に対して、新しい就業先の提供や休業手当の支払いなどを求めることができます。雇止めの場合、派遣元から派遣先に直接雇用の依頼をするよう求めることができます。 派遣先や派遣元が対応してくれない場合でも、労働局や裁判所の手続きを利用して解決できる可能性があります。詳しい制度解説記事へのリンクも紹介しています。

目次

  1. 雇用調整助成金などの制度の活用を求める
  2. 派遣期間の途中で派遣先から契約を解除された場合
  3. 派遣契約を更新しないと言われた場合
  4. 派遣元に解雇された場合
  5. 労働局の手続きや労働審判を利用できる

雇用調整助成金などの制度の活用を求める

今の派遣先で働き続けたいと考えている場合、派遣先と派遣元に対して、雇用調整助成金などの制度を活用することで雇用を続けてもらえないか交渉しましょう。 雇用調整助成金とは、企業が経営状況の悪化により労働者を一時的に休ませる場合に、労働者に支払う休業手当の一部を、国が補助する制度です。 企業の都合で労働者を休ませる場合、原則として、平均賃金の6割以上を休業手当として労働者に支払う義務があります。雇用調整助成金は、国が休業手当の一部を企業に助成することで、解雇を防ぎ、雇用を維持するねらいで設けられました。

派遣期間の途中で派遣先から契約を解除された場合

派遣先の経営状況によっては、現実的に、雇用を続けてもらうことが難しい場合があるかもしれません。そのような場合でも、派遣契約の途中で契約が解除された場合には、派遣先と派遣元には、それぞれ、労働者に新しい就業先を提供する措置を講じるなどの義務があります。 新しい就業先の提供が難しく、労働者を休業させる場合、派遣元は、休業手当として、平均賃金の6割以上の手当を支払わなければなりません。

派遣契約を更新しないと言われた場合

あなたが次のいずれかに当てはまる場合には、派遣元に「雇用安定措置」を求めることができます。

  • 同一の組織単位の業務に1年以上派遣される見込みがあり、派遣終了後も継続就業を希望している(特定有期雇用派遣労働者)
  • 派遣元での雇用通算期間が1年以上(登録状態にある場合も含む)。(特定有期雇用派遣労働者等)

まず、特定有期雇用派遣労働者の場合、派遣元は、次のような雇用安定措置を講じる努力義務があります。

  1. 派遣先に対する直接雇用の依頼
  2. 新たな派遣先の提供
  3. 派遣元での直接無期雇用
  4. その他の雇用安定を図るため必要な措置(たとえば、新たな就業の機会を提供できるまでの有給の教育訓練や紹介予定派遣(職業紹介事業者の場合)など)

派遣元は、まず1の措置を講じ、派遣先の直接雇用ができない場合に2〜4の措置を講じることとされています。 さらに、特定有期雇用派遣労働者の中で、「同一の組織単位の業務について3年間従事する見込みがある」場合には、これらの雇用安定措置は、努力義務ではなく、措置義務となります。 次に、特定有期雇用派遣労働者等の場合、派遣元は、次のような雇用安定措置を講じる努力義務があります。

  1. 派遣先に対する直接雇用の依頼
  2. 派遣元での直接無期雇用
  3. その他の雇用安定を図るため必要な措置(たとえば、新たな就業の機会を提供できるまでの有給の教育訓練や紹介予定派遣(職業紹介事業者の場合)など)

派遣元は、まず1の措置を講じ、派遣先の直接雇用ができない場合に2〜3の措置を講じることとされています。

派遣元に解雇された場合

派遣契約を中途解除されたり雇止めされたりしたことに伴い、派遣元からも雇用契約を解除(解雇)されることがあります。しかし、あなたと派遣元が、期間が定められた雇用契約を結んでいる場合、原則として、派遣元が契約期間中に一方的に解雇することはできません。 契約期間中の解雇には、「やむを得ない事由」が必要です。やむを得ない事由とは、「契約期間満了を待たずにただちに解雇せざるをえないほどの重大な事情」のことで、正社員の通常の解雇よりも厳格に考えられています。 「派遣先との契約が打ち切られた」「新型コロナウイルスの影響で経営が厳しくなった」「仕事が減ったので社員の数も減らしたい」などの理由でも、必ずしも解雇が認められるとは限りません。 「やむを得ない事由」がない解雇は、無効です。解雇されなければ得られたはずの賃金全額を派遣元に請求することができます。 裁判例では、自動車製造を営む派遣先での仕事が打ち切られたことにより派遣元から契約期間中に解雇されたとして、労働者が解雇無効を主張したケースについて、裁判所は、やむを得ない事由があるとはいえないとして、解雇は無効だと判断しました。(平成21年4月28日宇都宮地裁栃木支部決定) 裁判所は、派遣元の経営状況が悪化していたことは認めつつも、解雇を回避する措置をとらずに解雇に踏み切っていることや、労働者に他の仕事を提供する努力をまったくせずに解雇したことなどから、契約期間中に解雇するやむを得ない事由があったとはいえないとして、解雇は無効だと認めました。派遣元には、労働者が解雇されなければ得られていた賃金の支払いを命じました。

労働局の手続きや労働審判を利用できる

交渉に応じてもらえないような場合は、以下のような手続きの利用を検討することも1つの方法です。また、労働問題に詳しい弁護士などの専門家に相談することも検討してみましょう。

  • 労働局(厚生労働省が管轄する機関)に対してあっせんを申請する
  • 裁判所に対して労働審判を申し立てる

あっせんとは、相談者と職場との間に、弁護士や大学教授、社会保険労務士といった労働問題の専門家が入り、話合いをおこなうことで、トラブルの解決を目指す手続きです。無料で利用できます。 労働審判とは、相談者と職場の間に、労働審判官(裁判官)と労働審判員(労働組合の役員経験者、企業の人事担当経験者など)が入り、トラブル解決に向けた話合いをおこなう手続きです。原則として3回以内の話合いで終了するため、裁判よりも早い解決が期待できます。 あっせんや労働審判についての詳しい解説は、以下の記事をご覧ください。

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