【人事労務担当者向け】従業員を解雇するための要件と抑えておくポイント

能力不足や成績不良などの理由で、働き続けてもらうことが難しい従業員がいる場合であっても、当然に解雇できるわけではありません。

  • 従業員を解雇できる要件
  • 解雇の3つの種類
  • 解雇によらずに退職を促す方法

この記事では、上記のようなポイントを詳しく解説します。

目次

  1. 解雇は法律で厳しく制限されている
  2. 解雇には3種類ある
    1. 普通解雇とは
    2. 懲戒解雇とは
    3. 整理解雇とは
  3. 普通解雇の要件
    1. 就業規則などで解雇の事由を明示しているか
    2. 解雇権の濫用にあたらないか
    3. 解雇が禁止されている期間にあたらないか
    4. 解雇をする30日前までに解雇の予告をしたか
  4. 解雇ではなく自主的な退職を促す方法もある
  5. 関連記事まとめ
    1. 普通解雇が有効となるケース
    2. 懲戒解雇が有効となるケース
    3. 整理解雇が有効となるケース
    4. 退職勧奨について

解雇は法律で厳しく制限されている

会社と従業員は、雇用契約を結んでいます。解雇とは、会社が一方的に、従業員との雇用契約を解約することです。 会社に比べて立場が弱い従業員を守るために、法律では、解雇の要件についてルールを設けています。 要件を満たしていない解雇は無効です。 解雇が無効の場合、解雇はそもそもなかったことになり、会社と従業員の雇用契約はずっと続いていたことになります。会社は従業員に対して、「解雇されずに働いていれば、本来支払われるはずだった賃金」を支払う必要があります。

解雇には3種類ある

解雇には、大きく分けて「普通解雇」「懲戒解雇」「整理解雇」の3種類があります。

普通解雇とは

普通解雇とは、能力不足や成績不良といった従業員自身の問題を理由に、会社が雇用契約を解約することです。 たとえば次のような理由で解雇することは、普通解雇にあたります。

  • 営業成績が悪く、指導をしても改善しそうにない
  • 病気やケガなどで長期間にわたって休んでおり、職場復帰が見込めない
  • 著しく協調性に欠けるため業務に支障が出ており、改善しそうにない

普通解雇がどのような場合に有効と認められるのか、詳しくは記事末尾のリンクをご覧ください。

懲戒解雇とは

懲戒解雇とは、従業員が犯罪行為や悪質な規律違反をしたことなどを理由に、解雇することです。 従業員自身の問題を理由に解雇する点は普通解雇と同じですが、懲戒解雇の場合は、従業員の悪質な行為によって会社の秩序を乱したことに対する制裁としておこなわれる点が異なります。

整理解雇とは

整理解雇(リストラ)とは、従業員自身の問題ではなく、会社の業績悪化や経営不振などの理由で、人員整理のためにおこなわれる解雇のことです。

普通解雇の要件

従業員を普通解雇するには、次のような要件を満たす必要があります。

  • 就業規則などで解雇の事由を明示している
  • 解雇権の濫用にあたらない
  • 解雇が禁止されている期間にあたらない
  • 解雇をする30日前までに解雇の予告をする、または解雇予告手当を支払う

これらの要件を満たせば、普通解雇が有効と認められます。 懲戒解雇や整理解雇の場合には、さらにそれぞれの要件を満たす必要があります。 懲戒解雇や整理解雇が有効となる要件について、詳しくは記事末尾のリンクをご覧ください。

就業規則などで解雇の事由を明示しているか

会社が常時10人以上の従業員を雇う場合、就業規則には、「退職に関する事項」として、「従業員がどのような場合に解雇されるか」(解雇の事由)を載せておく必要があります。 就業規則は、従業員がいつでもその内容を見られるようになっていることも必要です。 すでにある就業規則に、解雇の事由についての説明がない場合は、説明を載せたうえで、改めて労働基準監督署へ届け出なければなりません。 さらに、従業員と雇用契約を結ぶときには、解雇の事由を含めた労働条件について説明した書類を相手に渡すことも必要です。

労働条件について説明した書類を手渡す義務は、平成16年1月1日以降に結ばれた雇用契約に適用されます。それ以前に結ばれた雇用契約については、こうした書類が交付されていない場合があります。

就業規則や、雇用契約を結ぶときに渡した書類に書かれた解雇の事由にあてはまる事実がない場合には、従業員を解雇することはできません。

常時雇用する従業員が10人未満の会社には、就業規則の作成義務はありません。従業員の解雇を検討したい場合には、就業規則を作成して、周知することから始めましょう。

解雇権の濫用にあたらないか

就業規則などに解雇の事由が書かれていても、従業員を解雇することが、客観的にみて合理的ではなく、社会通念上、解雇が相当ではない場合は、「解雇権の濫用」にあたり、解雇は無効になります。 たとえば、従業員の営業成績が芳しくなく、成績不良という理由で解雇したいケースを考えてみましょう。 成績不良がどの程度なのか、改善のための指導や他の業務への転換などの解雇を回避する措置を試みたかなどの事情をふまえて、「解雇はやりすぎ」といえる場合は、解雇が無効になる可能性があります。

解雇が禁止されている期間にあたらないか

一定の期間内の解雇は、法律で禁止されています。 次の期間中におこなわれた解雇は無効です。

  • 仕事中のケガや仕事が原因で病気になった場合に、その療養のために休む期間と、その後30日間
  • 産前産後休業の期間と、その後30日間

ただし、災害などやむを得ない事情によって、会社の事業を続けることが不可能な場合には、解雇禁止の適用を受けません。 また、従業員の仕事上のケガや病気について、会社が直接治療費などを支払ったり、労災保険を利用して補償を受けているケースで、療養から3年が経っても治らない場合は、会社がその従業員の平均賃金の1200日分を支払えば、解雇禁止のルールが適用されません(打切補償)。 打切補償を支払ったあとは、従業員に対して、労災保険による医療費の支払いや休業補償をしなくてもよくなります。 打切補償を支払わなくても従業員を解雇できる場合もあります。従業員が、ケガや病気の療養を始めてから3年が経った時点で、傷病補償年金の支払いを受けている場合か、その時点以降に傷病補償年金の支払いを受けることになった場合です。 傷病補償年金の支払いを受けていることは、打切補償の支払いを受けていることと同じと見なされます。そのため、会社は、打切補償を支払わなくても従業員を解雇できます。

従業員のケガや病気が通勤中に負ったものである場合は、解雇禁止の対象にはなりません。

解雇をする30日前までに解雇の予告をしたか

従業員を解雇するときには、少なくとも30日以上前から、従業員に解雇することを通知しなければなりません(解雇予告)。 たとえば、3月31日付けで解雇する場合、会社は遅くとも3月1日には解雇予告をする必要があります。 解雇予告をした日の翌日からカウントして、実際に解雇する日までの日数が30日間に満たない場合、足りない日数分の平均賃金を従業員に支払わなければなりません。このお金を「解雇予告手当」といいます。 ただし、次のような従業員を解雇する場合は、解雇予告手当を支払う必要はありません。

  • 14日未満の試用期間中に解雇された人
  • 4か月以内の季節労働者で、その期間内に解雇された人
  • 契約期間が2か月以内で、その期間内に解雇された人
  • 雇用期間が1か月未満の日雇い労働者で、その期間内に解雇された人

また、次のような事情がある場合も、解雇予告手当を支払う必要はありません。

  • 災害などで、会社の事業を続けることが不可能な場合で、労働基準監督署長の認定を受けた場合
  • 犯罪行為など、明らかに従業員側に非がある解雇で、労働基準監督署長の認定を受けた場合

解雇ではなく自主的な退職を促す方法もある

会社が従業員に自分の意思で退職するよう求めることを、退職勧奨といいます。 退職勧奨をおこない、従業員が退職することに合意し、自分から退職届を提出すれば、会社と従業員との雇用契約は終了します。 従業員を退職させようと、長時間にわたって説得したり、「退職しなければ解雇する」などと脅したりすることは、退職強要として不法行為にあたる可能性があります。 退職強要にあたる場合、従業員から損害賠償を請求されるなどのリスクがあります。 退職勧奨について、詳しくは以下の記事で解説しています。

関連記事まとめ

普通解雇が有効となるケース

懲戒解雇が有効となるケース

整理解雇が有効となるケース

退職勧奨について

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