パワハラ

弁護士監修記事 2019年07月05日

パワハラ加害者や勤務先などに損害賠償を求める方法を解説

パワハラ被害を受けたとき、被害を回復するために加害者に損害賠償を求めることができます。 また、勤務先に対しても損害賠償を求めることもできる場合があります。 この記事では加害者や勤務先に損害賠償を求める方法について、詳しく解説します。

目次

  1. パワハラ加害者に損害賠償を求める
    1. パワハラ行為の証拠を集める
    2. 損害賠償を求める書面を加害者に送付する
    3. 調停を申し立てる
    4. 裁判
  2. 損害賠償は勤務先に対しても請求できる
    1. 労働局の「あっせん」を利用できる

パワハラ加害者に損害賠償を求める

パワハラが民法上の不法行為にあたる場合、加害者に対して損害賠償を求めることができます。 大まかには、次のような手順で進めていくことになります。

  • パワハラ行為の証拠を集める
  • 損害賠償の支払いを求める書面を加害者に送付する
  • 支払いに応じない場合は裁判所に調停を申し立てる
  • 調停で合意できなければ裁判を行う

退職した後でも、損害賠償を請求することもできますが、時効に注意しましょう。最後のパワハラ行為があった時点から3年が経過すると、不法行為の損害賠償請求権は時効により消滅します。

パワハラ行為の証拠を集める

加害者がパワハラ行為を認めない場合、パワハラ行為を証明するための証拠を集める必要があります。たとえば、以下のような証拠が考えられます。

  • 加害者から送られたメール、LINE
  • 加害者の言動の録音・パワハラ被害を写した写真
  • パワハラ行為の内容を記録した日記・メモ
  • パワハラ行為を目撃した第三者のメモ・証言

この他、パワハラ行為により負傷したような場合や、ストレスでうつ病などの精神疾患を発症したような場合は、医師の診断書を用意しておきましょう。 パワハラ被害について医師に説明し、パワハラ行為と負傷や疾患との間に因果関係があることを診断書に記載してもらいましょう。

損害賠償を求める書面を加害者に送付する

加害者に損害賠償を支払うよう書面を送付し、損害賠償を求める意思を明らかにしましょう。 書面には、少なくとも以下のような内容を記載しておきましょう。

  • いつ・どのようなパワハラ行為を受けたのか
  • パワハラ行為により自分がどのような状況にあるのか
  • 請求する金額
  • 請求に応じない場合は訴訟を起こす意思があること

書面は、内容証明郵便の形で郵送することを検討してもよいでしょう。 加害者に賠償の意思を示したことを確実にできるし、あなたの被害回復に対する強い意思を加害者に示すこともできます。

調停を申し立てる

書面を送っただけでは、加害者が支払いに応じない場合、具体的に示談交渉を進めていくことになります。 ただし、パワハラの加害者と直接やりとりをすることに抵抗を感じる人も少なくないでしょう。 こうしたときは、弁護士に交渉を依頼すれば、加害者とやりとりをすることなく、窓口はすべて弁護士が担当してくれます。 また、民事調停という手続きを利用することを検討してもよいでしょう。 調停は、弁護士や医師など、様々な専門知識や経験をもつ「調停委員」という第三者にアドバイスをもらいながら、話合いで解決を目指す手続きです。 調停委員が被害者と加害者の間に入り、それぞれの言い分を聞きながら、お互いが合意できる点を探っていきます。 調停委員は、被害者と加害者から意見を聞くことになりますが、調停委員を介して間接的にやりとりを進めるので、それぞれが直接顔を合わせて話すことはありません。 調停により合意できた内容は、「調停調書」という書面にまとめられます。 調停調書は裁判所の判決と同じ効力を持つので、後になって調停で決めたことを相手が守らなかったとしても、調停調書があれば強制的に実現することができます。

簡易裁判所に申し立てる

調停は、加害者の住所地を管轄する簡易裁判所に申し立てます。 どの簡易裁判所に申し立てればよいのかは、裁判所のホームページで検索できます。この記事の下にある参考リンクから、裁判所の所在地などを確認することができます。 必要となる書類や費用は、管轄の裁判所に確認しましょう。

調停の流れ

申立てが受理されると、裁判所から調停を行う日(調停期日)の連絡がきます。 1回目の調停は、申立てから2か月ほどで開催されることが一般的です。調停は平日の昼間に行われ、1回の所用時間は2時間ほどです。 1回目の調停で合意がまとまらない場合、約1〜2か月後に2回目の調停期日が設定されます。 調停での話合いで合意に至れば、合意の内容が「調停調書」としてまとめられます。意見が折り合わない場合は、調停が不成立となり、終了します。 調停が不成立となった場合は、裁判で解決を目指すことになります。

1人で調停を行うことに不安がある場合は、弁護士に依頼することを検討してもよいでしょう。弁護士は法律の専門家という立場から、被害者に代わって適切に主張してくれます。

裁判

当事者同士の話合いや調停では解決できなかった場合、最終的には裁判で判決という形で決着をつけることになります。 訴訟では、自分の主張を認めてもらうために、法的に正しい主張を適切に組み立てて、それを証拠で証明する必要があります。 一般の人がこれらのことを行うのは容易ではありません。訴訟を検討している場合は弁護士に依頼することをおすすめします。

損害賠償は勤務先に対しても請求できる

損害賠償は、加害者に対してだけでなく、会社などの勤務先に対しても求めることができます。 会社などは、雇っている従業員が第三者に損害を与えた場合、その損害を賠償する責任があるので(使用者責任)、その責任を追及することができます。 また、会社などのパワハラ被害への対応が不十分だったとして、パワハラ防止措置を怠ったということを理由に、損害賠償を求めることもできます。

派遣社員として働いている場合、パワハラ加害者と派遣元、派遣先、いずれに対しても損害賠償を請求することができます。ただし、いずれかが賠償金を支払った場合、重ねて他に請求することはできません。

アルバイトなどで、本社がある直営店で勤務している場合は、本社に損害賠償を求めることができます。フランチャイズのコンビニエンスストアなどに勤務している場合は、店舗オーナーに対して損害賠償を求めることができます。

労働局の「あっせん」を利用できる

勤務先に対して損害賠償を求める場合、労働局の「あっせん」という手続き利用することができます。 パワハラ被害を受けて労働局に相談しようと考えている場合は、勤務先とのあっせんについても相談することを検討してもよいでしょう。 あっせんとは、相談者と勤務先との間に、弁護士や大学教授、社会保険労務士といった労働問題の専門家で構成する「紛争調整委員」が入り、話し合いを促進することで、紛争の解決を目指す手続きです。 紛争調整委員は、それぞれから事情を聞いた上で、慰謝料の支払いや再発防止策の実施といった問題解決の方法を、「あっせん案」として提案してくれます。 あっせん案の内容について勤務先と合意できれば、あっせんは終了します。 合意できない場合も、不調としてあっせんは終了となりますが、他の解決手段について説明・紹介してもらうことができます。 労働局のあっせんを利用したい場合は、厚生労働省のホームページから、最寄りの窓口を探しましょう。この記事の下にある参考リンクから、窓口の所在地や電話番号を確認することができます。

裁判所の調停手続きとの違い

裁判所の調停手続きと違い、労働局のあっせん手続きは、無料で利用することができ、また、手続きも比較的簡単なので、手軽に利用するができます。 一方で、あっせん案に合意できたとしても、もし勤務先があっせん案の内容通りに賠償金を支払ってくれなかったようなとき、強制的に賠償金を獲得することはできません。 そのため、あっせん案の内容にあとになって勤務先が従わなかった場合、裁判所に訴訟をおこして判決を得る必要があります。 裁判所の調停の場合、調停が成立したときに作られる調停調書という書類があれば、相手が調停で決まったことに従わなくても、強制的に実現することができます。

  • 参考リンク

裁判所:各地の裁判所一覧 厚生労働省:総合労働相談コーナーの所在地

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