降格・減給

弁護士監修記事 2019年06月28日

懲戒処分として減給されるケースと減給の無効を主張する方法

無断欠勤や職務怠慢など、就業規則で定められたルールに反した場合、懲戒処分として減給されることがあります。 しかし、会社はどのような理由でも自由に減給処分をできるわけではありません。場合によっては、減給処分が無効となる可能性があります。 この記事では減給が無効となるケースや、処分を受けた場合の対処法などについて、詳しく解説します。

目次

  1. 懲戒処分とは
  2. 減給処分が有効になる条件
    1. 懲戒解雇になる合理的な理由が明記された就業規則などがある
    2. 懲戒処分の規定にあてはまる事実がある
    3. 減給できる金額の範囲内におさまっている
    4. その他の条件
  3. 減給処分の無効を争う場合

懲戒処分とは

一般的には、従業員が次のような行為をすると、会社から懲戒処分を受ける可能性があります。 その処分のひとつとして、減給処分が定められていることがあります。

  • 正当な理由がない無断欠勤や遅刻・早退
  • 職務怠慢・素行不良
  • 勤務に関する虚偽申告
  • セクシャルハラスメント

減給処分が有効になる条件

会社は、どのような理由でも労働者を減給することができるわけではありません。 懲戒処分は、客観的にみて減給に合理的な理由がなく、社会通念的に減給することが相当ではないと考えられる場合は、「懲戒権の濫用」にあたり無効になります。 具体的には、以下の条件をみたす必要があります。

懲戒解雇になる合理的な理由が明記された就業規則などがある

会社が労働者を懲戒処分として減給するためには、減給になる事由や減給の範囲が、就業規則などで定められている必要があります。 そして、これらの就業規則は定められているだけでは足りず、きちんと労働者に周知されていることまで求められます。 また、減給を定めた就業規則の内容は、企業の秩序を保つ目的のために必要で、合理的である必要があります。

懲戒処分の規定にあてはまる事実がある

当然ですが、減給にあたる事由を定めた就業規定などにあてはまる事実がないのに、労働者を減給することはできません。

減給できる金額の範囲内におさまっている

1回の処分で減給できる額は、「平均賃金の1日分の半額」までです。 「平均賃金」とは、次の2つの計算方法で算出した額のうち、いずれか高い方の金額のことです。

  1. 減給処分があった日の前日から、直近3か月の賃金を総額を、その3か月間の日数で割った金額
  2. 減給処分があった日の前日から、直近3か月の賃金の総額を、その3か月間の出勤日数で割った金額の60%

以下のようなケースで計算してみましょう。

  • 6月3日に減給処分が下された
  • 3月の賃金は45万円で、31日間に21日出勤した
  • 4月の賃金は47万円で、30日間に20日出勤した
  • 5月の賃金は46万円で、31日間に19日出勤した

まず、減給処分があった日の前日から、直近3か月の賃金を総額を、その3か月間の日数で割った金額を計算します。 3か月間の賃金の総額は138万円で、日数は92日です。 138万円 ÷ 92日 = 1.5万円 次に、減給処分があった日の前日から、直近3か月の賃金の総額を、その3か月間の出勤日数で割った金額の60%を計算します。 3か月間の賃金の総額は138万円で、出勤日数は60日です。 138万円 ÷ 60日 × 0.6 = 1.38万円 2つの金額のうち高い方が平均賃金となるので、このケースの平均賃金は1.5万円です。 1回の処分で減給できる額は「平均賃金の1日分の半額」までなので、7500円を超える額の減給はできないことになります。

懲戒処分の内容が減給ではなく、降格・降職処分で、その結果として減給となった場合、「平均賃金の1日分の半額」の範囲を超えて、賃金が減額される可能性があります。また、出勤停止処分となったときも、その日数分の賃金が発生しない場合があります。

その他の条件

その他、以下のような事情があった場合には、減給処分が無効になる可能性があります。

  • 減給処分にあたる事実があった後にできた就業規則にもとづいて減給された
  • 過去に懲戒処分を受けた事実と同じ事実を理由に減給された
  • 同じことをした他の従業員は減給されていないのに、自分だけ減給された
  • 就業規則違反の内容に対して処分が重すぎる
  • 適正な手続きにのっとって処分しているか
  • 行為日時と処分との間に大きなタイムラグのある場合(発覚後1年後の処分等)

減給処分の無効を争う場合

減給処分が無効だと考えた場合、まずは会社に対し、減給した額を支払うよう求めましょう。 労働組合がある会社であれば、労働組合に相談し、協力してもらいながら、会社と交渉してもよいでしょう。 労働組合がない場合や、会社が交渉に応じてくれないようなケースでは、以下のような手段を検討してもよいでしょう。

  • 労働局であっせんを申し立てる
  • 裁判所で労働審判を申し立てる

あっせんや労働審判を申し立てる手続きについては、この記事の下にあるリンクから確認できます。

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