解雇

弁護士監修記事 2019年05月24日

病気やケガで休職したことを理由とする解雇が無効になるケース

病気やケガで働けず会社を休んでいたことを理由に解雇された場合、「業務にあたることができないのだから解雇されても仕方ないのか」と考えてしまう方もいるかもしれません。 しかし、病気やケガを理由に会社が従業員を解雇するためには、法律などで厳しい条件が決められています。 この記事では、病気やケガを理由とした解雇が無効になるケースや、解雇されたときの対処法について詳しく解説します。

目次

  1. 病気やケガを理由とした解雇には厳しい条件がある
  2. 業務中に病気やケガを負った場合
  3. 条件を満たしていても解雇が無効になる場合
    1. 不当解雇と認められた場合の解決方法
  4. 具体的な解決の手段

病気やケガを理由とした解雇には厳しい条件がある

解雇とは、会社など労働者を雇用している側から、雇用契約を一方的に解除することですが、立場の弱い労働者を守るために、法律や判例などで厳しいハードルが設けられています。 病気やケガで会社を休んだことを理由に解雇された場合、まずは、病気やケガをした原因が仕事だった(業務災害)か、それ以外だったのかを確認しましょう。

業務中に病気やケガを負った場合

業務災害といえるのは、原則としては業務にあたっている時間内にケガや病気になった場合ですが、厳密に仕事をしている時間だけには限られません。 たとえば、仕事中にトイレに行く途中でケガをしたようなケースも、業務に付随する行為として、業務災害にあたる可能性があります。 業務災害の場合、治療や療養のために仕事を休む必要がある期間プラス30日間は、従業員を解雇することが法律で禁止されています。 この期間中であっても例外的に解雇が認められるのは、次の3つの条件を満たしている場合に限られています。

  • 会社が医療費を負担するなどの療養補償をおこなっている
  • 病気やケガをしてから3年経っても完治していない
  • その会社の平均賃金1200日分の補償が支払われた(労災保険で「傷病補償年金」を受給している場合、この補償が支払われたと扱われます)

条件を満たしていても解雇が無効になる場合

この3つの条件を満たしている場合や、そもそも、病気やケガが業務災害とはいえない場合でも、必ず解雇が有効になるわけではありません。 立場の弱い労働者を守るために、解雇には法律や判例などで厳しいハードルが設けられています。条件を満たさない解雇は、違法・無効な「不当解雇」です。 具体的には、(1)「客観的・合理的な理由がある」、(2)「社会通念上相当である」という両方の条件を満たしてなければ、不当解雇にあたります。 具体的にどのようなケースが不当解雇にあたるのか、裁判例を紹介します。 このケースでは、体調不良を理由に欠勤を繰り返したことを理由に解雇されたXさん(原告)が、Y社(被告)に対して、従業員であることの確認と未払い賃金などの支払いを求めました。 Xさんは平成26年1月以降、体調不良を理由に会社を欠勤することが多くなっていました(医師からパニック障害・うつ状態と診断された)。Y社は、3月下旬になって、出勤できていない状況が続いていて改善されないことなどを理由にXさんを解雇しました(後に解雇は撤回)。 裁判所は、次のような事実などから、Xさんを解雇したことは客観的に合理的な理由がなく、社会通念上相当ではないして解雇が無効だと判断しました。

  • Y社は解雇するとき、Xさんがうつやパニック障害などのやむを得ない理由で欠勤しているのに、職場復帰の可能性を検討したり、Xさんと話し合ったりしなかった。
  • Y社は、Xさんに対して、雇用し続けることができない理由を丁寧に説明して穏便に退職を勧めることをせず、いきなり解雇に踏み切った。
  • 突然電話で解雇を告げることは、Xさんに精神的ダメージを与える方法であって、労働者に対する配慮が不十分。

裁判所はこのようなことから、原告に対する解雇は、「十分に客観的に合理的な理由を備えておらず」、「社会通念上相当なものとはいえない」として、無効だと判断しました(東京地裁平成28年9月23日判決)。

不当解雇と認められた場合の解決方法

あなたの解雇が不当解雇であると認められた場合、解決方法としては、大きく2つのパターンがあります。

  • 復職する
  • 復職はせず、未払い賃金や慰謝料など金銭で解決する

不当解雇を争う場合、かたちとしては「解雇の無効を主張する」=「復職を求める」ということになりますが、会社との関係がこじれ、復職が現実的でない場合が少なくありません。 その場合は金銭解決を求めることになります。実際のケースでは、金銭解決を求めることが多いです。 金銭解決を選択した場合、解雇処分を下された後も就労の意思があったこと、また、その解雇処分が無効であると認められれば、「解雇されずに働いていれば、本来支払われるはずだった賃金」が支払われます。 解決金の平均はおおよそ賃金6か月分程度と判断した裁判例がありますが、解決までに要した期間や解雇の経緯などによって増減する可能性があります。

復職を望まない場合でも、解雇が無効であると認められれば、労働者としての地位が復活します。その場合、解決金を受け取り、会社との合意で改めて退職するという形をとることが考えられます。

具体的な解決の手段

不当解雇を主張する手段は、会社と直接交渉することだけでなく、労働審判や裁判といった制度を利用して解決を目指すこともできます。

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