退職

弁護士監修記事 2019年04月26日

退職後しばらく働かない人やフリーランスになる人に必要な保険や税の手続き

会社を退職した後、すぐには次の会社などで働き始める予定がない場合や、フリーランスになる場合は、健康保険や年金といった社会保険や、税金などに関する手続きをする必要があります。 この記事では、退職後に必要な手続きの内容や手続きに必要なものなどについて、詳しく解説します。

目次

  1. 退職してしばらく働く予定がない場合やフリーランスになる場合に必要な手続き
    1. 必要な書類
  2. 医療保険に加入する手続きを行う
    1. 在職中に加入していた健康保険に引き続き加入する場合(任意継続被保険者制度)
    2. 国民健康保険に加入する場合
    3. 家族の扶養に入る場合
  3. 国民年金の種類を変更する
    1. 家族の扶養に入らない場合
    2. 扶養している家族がいる場合
    3. 家族の扶養に入る場合
  4. 住民税・所得税を納める
    1. 住民税を納める
    2. 所得税
  5. 失業保険の手続きをする
    1. 受給の条件
    2. 受給できる金額と期間
    3. いつから手当てが支給されるのか
    4. 手続きの方法

退職してしばらく働く予定がない場合やフリーランスになる場合に必要な手続き

会社を退職して、しばらくの間は別の会社などで働く予定がない人や、フリーランスになる人は、「医療保険に加入する手続き」「年金の種類を変更する手続き」「住民税・所得税を支払う手続き」をする必要があります。 一定の条件に当てはまる場合は、「失業保険を受け取る手続き」も行うことで、次の職が見つかるまでの間の生活資金を得ることができます。

退職した後、再就職せずフリーランスになる場合、失業保険は受け取れません。

必要な書類

手続きには以下のような書類が必要です。

  • 社会保険資格喪失証明書…国民健康保険の加入と年金の種類を変更するときに必要です。

  • 源泉徴収票…所得税の確定申告をするときに必要です。

  • 離職票…失業保険の手続きに必要です。

これらの書類は、在職していた会社から受け取ることができます。退職日に受け取る書類もありますが、後日送られてくるものもあります。

医療保険に加入する手続きを行う

在職中は、通常、会社が所属する健康保険組合の健康保険などに加入しています。退職すると被保険者ではなくなり、公的な医療保険に加入していない状態になります。 そのため、退職した後は、新たに保険に加入する手続きをする必要があります。以下の3つの方法があります。

在職中に加入していた健康保険に引き続き加入する場合(任意継続被保険者制度)

任意継続被保険者制度とは、退職した後も、在職中の健康保険に加入し続けることができる制度です。2年間まで継続することができます。 この制度を利用すると、在職中とほぼ同様の保険給付を受けられます。 ただし、在職中に健康保険に加入していた期間が2か月未満の人は利用できません。また、保険料は、在職中の2倍かかります。在職中は会社が保険料を半額負担してくれていたからです。 日本で最大の健康保険組合である「協会けんぽ」の場合、手続きに必要な書類は、こちらからダウンロードできます。退職した日の翌日から20日以内に、住んでいる都道府県の協会けんぽ支部に提出しましょう。郵送の場合は、20日以内に到着するように送りましょう。

国民健康保険に加入する場合

国民健康保険に加入する場合は、退職した日の翌日から14日以内に、住んでいる市区町村役場の窓口で手続きをします。 手続きをするときには、以下の書類などを窓口に持参しましょう。

  • 健康保険の資格を喪失した年月日がわかるもの(社会保険資格喪失証明書・離職票・退職証明書など)
  • 本人確認書類(運転免許証、パスポートなど。保険証をその日のうちに受け取りたい場合に必要です)
  • マイナンバーカード(顔写真付き)または通知カード
  • 印鑑

保険料は、前年の所得と世帯の国保加入者数をもとに決まります。保険料率は自治体によって異なります。 自分の保険料がどのくらいかを知りたい場合は、住んでいる地域の市区町村役場に問い合わせてみましょう。

家族の扶養に入る場合

家族が健康保険に加入している場合、家族の扶養に入ることができます。事実婚など、内縁の配偶者でも、扶養に加入できる可能性があります。 ただし、次のような年収の条件を満たしている必要があります。協会けんぽの場合は、以下のような条件です。

  • あなたの年収が130万円未満であること
  • 扶養してくれる家族の年収があなたの年収の2倍以上であること(扶養してくれる家族が別居している場合は、あなたの収入の合計が年間の仕送り額未満であること)

ここでいう年収は、申請した日以降の、見込み年収額です。フリーランスになる場合は、見込み年収額から最低限の必要経費を引いた残りの金額が年収となります。 あなたの年収が見込み額より増えて、条件を満たさなくなった場合には、被扶養者から外れることになってしまうので注意しましょう。 また、失業保険を受け取っている間は、扶養に入ることはできません。 扶養に入る手続きは、家族の勤務先がしてくれます。また、あなた自身の保険料の負担はありません。

国民年金の種類を変更する

家族の扶養に入らない場合

国民年金には、第1号被保険者・第2号被保険者・第3号被保険者という3種類があります。在職中は第2号被保険者として国民年金に加入しています。 退職後、家族の扶養などに入る予定がない人は、第1号被保険者への種別変更手続きが必要です。 簡単に説明すると、1号は無職の人や自営業者、フリーランスなどの人、2号は会社員、3号は家族の扶養に入っている人が対象になっています。 手続きは、退職の翌日から14日以内に、住んでいる地域の市区町村役場の窓口でする必要があります。 必要な書類は以下のようになっています。

  • 基礎年金番号がわかる書類(年金手帳や基礎年金番号通知書など)
  • マイナンバーカード(顔写真付き)または通知カード
  • 本人確認書類(免許証や健康保険証など)
  • 退職日や厚生年金資格を喪失した日を確認できる書類(社会保険資格喪失証明書や退職証明書など)
  • 通帳と口座届出印もしくはクレジットカード(保険料を口座振替やクレジットカードで納めたい場合)

保険料は、月額1万6340円(平成30年度)で、金額は毎年度見直されます。現金のほか、口座振替やクレジットカードでも納められます。 保険料は、「退職日の翌日が属する月」から納めます。たとえば、4月30日に退職したら、5月から保険料を納めればよいですが、4月29日に退職した場合、4月分の保険料も納めることになります。

保険料を納めることが難しい場合

保険料を納めることが経済的に難しい場合には、免除制度を利用できる可能性があります。 申請書(こちらからダウンロードできます)を市区町村役場か年金事務所に提出して、日本年金機構から承認を受けると、保険料が一部もしくは全額免除されます。 保険料の免除を受けると、将来受け取れる年金の額に影響が出る可能性があります。そのため、免除の制度を利用するかどうかは事前によく検討しましょう。 免除制度の手続きには年金手帳(または基礎年金番号通知書)も必要です。このほかにも書類が必要な場合があるので、詳しくは住んでいる地域の年金事務所に問い合わせてみましょう。

扶養している家族がいる場合

在職中、扶養している家族は国民年金に第3号被保険者として加入しています。 これまで扶養していた家族がいる人は、その被扶養者(扶養を受けていた人)の国民年金の種類を3号から1号に変更する必要があります。 手続きは、自分の手続きと同時に市区町村役場の窓口でできます。その場合は、さきほど紹介した必要書類に加えて、家族の年金手帳なども必要になります。

家族の扶養に入る場合

家族に第2号被保険者がいる場合、その扶養に入ることもできます。事実婚など、内縁の配偶者でも、扶養に加入できる可能性があります。 ただし、次のような年収の条件を満たしている必要があります。

  • あなたの年収が130万円未満であること
  • 扶養してくれる家族の年収があなたの年収の2倍以上であること(扶養してくれる家族が別居している場合は、あなたの収入の合計が年間の仕送り額未満であること)

ここでいう年収は、申請した日以降の、見込み年収額です。フリーランスになる場合は、見込み年収額から最低限の必要経費を引いた残りの金額が年収となります。 手続きは家族の勤務先が行います。また、あなた自身の保険料の負担はありません。

住民税・所得税を納める

住民税を納める

住民税は、前年の所得をもとに計算され、翌年6月から翌々年の5月までに、「後払い」の形で納める仕組みになっています。 在職中は、その年の1年分の住民税を、6月から翌年5月までの12回に分割した額が、毎月の給与から天引きされていることが一般的です。 退職してしばらくの間は別の会社などで働く予定がない場合、自分で納める必要があります。住民税の支払い手続きの方法は、退職した時期によって異なります。 ここでは、給与が、当月締め・翌月払いの場合を想定して解説します。

6月〜12月に退職した場合

たとえば、平成30年8月末日に退職した場合、退職月(平成30年8月)分の住民税は退職した会社の給与から天引きされます。 一方、平成30年9月から翌年5月までの住民税は、市区町村役場から10月と翌年1月に送られてくる納付書にしたがって、自分で納める必要があります。

1月〜4月に退職した場合

たとえば、平成31年3月末日に退職した場合、退職月(平成31年3月)分の住民税は会社の給与から天引きされます。 一方、平成31年4月から平成31年5月までの住民税は給与から天引きできません。退職金もしくは3月分の給与から一括徴収されます。

5月に退職した場合

平成31年5月末日に退職した場合、退職月(平成31年5月)分の住民税は会社の給与から天引きされるので、その年度に関しては、自分で納付手続きをする必要はありません。

所得税

在職中は、会社に年末調整の手続きをしてもらうことで、所得税を納めすぎていた場合、納めすぎた分が返ってきます。 しかし、年の途中で退職して年内に次の職場に就職しなかった場合、年末調整を受けることができません。 このような場合、退職した年の翌年に確定申告をすることで、納めすぎた所得税が返ってきます。 確定申告の手続きは、あなたが住んでいる地域を管轄している税務署に対して行います。以下の書類などが必要です。

確定申告は、退職した翌年以降5年以内であれば行うことができます。

年の途中に退職して、年内に次の職場に就職した場合は、新しい職場で、前の職場の給与を含めて年末調整をしてもらうことができます。

失業保険の手続きをする

受給の条件

一定の条件をみたすと、次の仕事が見つかるまでの生活資金として、失業保険の基本手当を受給することができます。 以下の条件を満たす場合です。

失業状態であること

ここでいう失業状態とは、就職しようという意思と能力があり、積極的に転職活動をしているのに、就職できない状態のことです。 退職後、起業する人やフリーランスになる人は失業状態にあるとは言えないので、失業保険を受給することはできません。 病気やケガ、妊娠、出産などで、すぐに就職できないといった場合も、失業状態にはあたりません。 ただし、そうした状況が収まった後で、失業保険を受給することができます。簡単にいえば、受給期間を延長することができます。 病気やケガ、妊娠などの理由で、30日以上就職できなくなったときは、退職した日の翌日から最大で4年まで受給期間を延長することができます。 延長の手続きは、以下の書類をハローワークに提出します。郵送で提出することもできるし、代理人が提出を任せることもできます。

  • 受給期間延長申請書
  • 離職票(受給資格の決定を受けていない場合)または受給資格者証(受給資格の決定を受けている場合)

退職した日からさかのぼって2年の間に雇用保険の加期間が通算12か月以上あること

倒産・解雇などにより退職した場合は、退職した日からさかのぼって1年の間に、雇用保険に加入していた期間が通算6か月以上あればよいことになっています。

受給できる金額と期間

失業保険で受給できる1日当たりの金額を「基本手当日額」といいます。 金額は、退職した日の直前の6か月の賃金日額(賞与などは含みません)の50%~80%(60~64歳は45~80%)です。年齢の区分ごとに、上限額が定められています。

年齢区分 上限額
30歳未満 6750円
30歳以上45歳未満 7495円
45歳以上60歳未満 8250円
60歳以上65歳未満 7083円

基本手当を受給できる日数は、90日~360日の間で決まります。退職した日の年齢、雇用保険に加入していた期間や退職理由などによって変わります。

いつから手当てが支給されるのか

会社の倒産や解雇など会社の都合で職を失ったときは、基本手当は、ハローワークに離職票の提出と求職の申込みをした日から数えて7日間経った後に支給されます(待機期間)。

実際に手当が口座に振り込まれるのは、離職票を提出してから約1か月程度経ってからであることが一般的です。

一方で、犯罪行為など、明らかに従業員側に非があって解雇された場合と、自分の都合で退職した場合は、7日間の待期期間が終わった後、さらに3か月間(給付制限)が経ってから支給されます。 実際に手当が口座に振り込まれるのは、離職票を提出してから約4か月後程度であることが一般的です。

自己都合退職でも3か月の給付制限がかからない場合

ただし、自己都合退職の場合でも、長時間労働など会社の労働条件の悪化などが退職の大きな理由になっている場合は、給付制限が免除され、7日間の待機期間が終われば、基本手当が支給されます。 たとえば、以下のような理由で退職した場合です。

  • 働き始める前に提示された労働条件と実際の労働条件が著しく違った
  • 給与の額の3分の1を超える額が支払い期日までに支払われなかった
  • 上司や同僚から過度な嫌がらせを受けた
  • セクハラを受けていることを会社が知っていたのに、改善措置を講じてもらえなかった
  • 退職勧奨を受けた
  • 退職の直前6か月のうちに、一定時間以上の時間外労働をした
  • 労働契約の期間が満了し、更新がなかった
  • 体力不足や病気、ケガなどで仕事を続けることが難しくなった
  • 妊娠、出産、育児などで退職し、受給期間の延長措置を受けた
  • 父または母の扶養や看護が必要になった
  • 配偶者などとの別居を続けることが難しくなった
  • 結婚に伴う住所変更などで通勤することが難しくなった
  • 会社の人員整理などで、希望退職者の募集に応じた

手続きの方法

失業保険を受給するための手続きは、住んでいる地域を管轄するハローワーク(こちらから検索できます)で行います。 以下のような書類を持参しましょう。

  • 離職票
  • 個人番号確認書類(マイナンバーカード、通知カード、個人番号の記載のある住民票のうち、どれか1種類)
  • 本人確認書類(免許証やマイナンバーカード、パスポート、写真付きの資格証明書など)
  • 写真(最近の写真、正面上半身、縦3.0cm×横2.5cm)2枚
  • 印鑑
  • 本人名義の預金通帳またはキャッシュカード

退職理由に疑問があるときはハローワークに相談する

会社の都合で退職したのに、離職票の退職理由の記載が「自己都合」となっているような場合は、ハローワークに相談しましょう。 ハローワークが事実関係を調査して、退職した理由を判定してくれるので、退職理由が「会社の都合だった」と判断してもらえれば、受給できる時期がはやまる可能性があります。

求職の意思があることを示す

失業保険を受給するには、働く意思があることが必要です。そのため、ハローワーク書類を提出するときに、求職の申込みも同時にする必要があります。

受給が決まったら「雇用保険の受給に関する説明会」に出席する

受給が決まったら、「雇用保険の受給に関する説明会」という説明会の日時が指定されるのでに出席しましょう。 説明会では、「雇用保険受給資格者証」と「失業認定申告書」という書類を発行してもらうことができます。

受給資格を得た後も定期的にハローワークに通う必要がある

受給資格を得た後も、原則として4週間に1回、指定された日にハローワークに足を運び、失業状態にあることを確認してもらう必要があります。 このとき、雇用保険の受給に関する説明会で発行される、「失業認定申告書」に必要事項を記入して持参しましょう。「雇用保険受給資格者証」も必要です。 また、受給資格を得た後も、ハローワークから紹介された仕事や職業訓練などを正当な理由なく拒否すると、ペナルティとして手当が支給されない可能性があるので、注意しましょう。

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