解雇

弁護士監修記事 2019年04月25日

契約期間中なのに会社から解雇されてしまった場合の対処法

会社と期間を決めて雇用契約を結んでいるのに、期間の途中で、一方的に会社から解雇されてしまうケースがあります。 原則として、契約期間中に会社が一方的に解雇することは認められていません。 この記事では、契約期間中に会社から解雇された場合の対処法について解説します。

目次

  1. 会社は原則として契約期間中に解雇できない
  2. 解雇の有効性を争う方法
    1. 労働局にあっせんを申し立てる
    2. 裁判所に労働審判を申し立てる
    3. 裁判

会社は原則として契約期間中に解雇できない

会社と期間を決めて雇用契約を結んでいる場合、原則として期間の途中で解雇されることはありません。 法律では、「やむを得ない事由」があるときは、契約期間中でも会社は解雇することができることになっています(普通解雇)。 「やむを得ない事由」があったといえるかどうか、裁判で争われることがありますが、裁判所は厳しく判断する傾向があります。 一般的な期間制限のない雇用(正社員)を解雇する場合は、客観的に合理的な理由と社会通念的に解雇することが相当といえる事情が求められています。 契約期間中の解雇については、これに加えて、解雇せざるをえない特別の事情が必要だと裁判例などでは考えられています。 サンプルとして、解雇が認められた裁判例を紹介します。

このほか、犯罪行為をしたり、長期間の無断欠勤が続くなど就業規則に違反する事情があるときは、懲戒処分として解雇される可能性があります(懲戒解雇)。この記事では普通解雇について解説しています。

「やむを得ない理由」による解雇が認められた裁判例

この裁判は、ある証券会社と1年間の雇用契約を結んだ外国人の従業員が、6か月間の試用期間中に解雇されたため、雇用契約上の地位にあることの確認や、残っている契約期間の未払い賃金の支払いなどを求めた事例です。 裁判所が認定した事実は、主に以下のような内容でした。

* 従業員は証券アナリストとして課長職の肩書きで採用された
* 入社前の試験で提出した日本語のレポートが評価されて採用となったが、日本人である配偶者に文章をチェックしてもらったことを会社に伝えていなかった
* 入社後に日本語で作成したレポートには誤字脱字や文法の誤りが多かった
* 会社は従業員の日本語の能力が採用時に期待したレベルに遠く及ばないだけでなく、上司の指示に違反する行為を繰り返すことなどがあったため、従業員を解雇した

こうした事情をもとに裁判所は、ただちに雇用を終了させざるを得ないような特別の重大な事由があると判断し、会社の解雇を有効だと判断しました。

この他、契約期間中の解雇の有効性は、「従業員の業務を改善するために具体的な指導をしたか」「解雇にいたるまでの手続きは適正だったか」など、様々な事情を考慮して判断することになります。解雇が妥当かどうか自分で判断するのが不安な場合は、弁護士などの専門家に相談しましょう。

解雇の有効性を争う方法

契約期間中に会社から解雇された場合、まずは会社に理由を聞き、納得できないときは、解雇を取り下げるよう交渉しましょう。 また、交渉に応じてもらえないような場合は、以下の手段を検討してみてもよいでしょう。

  • 労働局であっせんを申し立てる
  • 裁判所で労働審判を申し立てる

上記以外にも裁判所の「民事調停」なども利用できますが、ここではあっせんと労働審判について紹介します。

労働局にあっせんを申し立てる

労働局とは、労働者と会社との間でトラブルが発生した場合に、労働者からの相談に応じ、問題解決のために必要な助言や指導などを行ってくれる公的な機関です。 労働局では、「あっせん」という手続き利用することができます。 あっせんは無料で利用できます。労働局にあっせんを利用したことを理由に、解雇や降格などの不利益を与えることは法律で禁止されています。安心して相談しましょう。 あっせんとは、相談者と会社との間に、弁護士や大学教授、社会保険労務士といった労働問題の専門家で構成する「紛争調整委員」が入り、話合いを促進することで、紛争の解決を目指す手続きです。 紛争調整委員は、それぞれから事情を聞いた上で、問題解決の方法を、「あっせん案」として提案してくれます。 あっせん案の内容について会社と合意できれば、あっせんは終了します。 合意できない場合も、不調としてあっせんは終了となりますが、他の解決手段について説明・紹介してもらうことができます。 労働局であっせんをしてもらいたい場合は、厚生労働省のホームページから、最寄りの窓口を探しましょう。

あっせん案について会社と合意できた場合でも、会社に対し、あっせん案の内容を強制的に従わせることはできません。あっせん案の内容に会社が従わないときは、裁判所に訴訟をおこして判決を得る必要があります。

裁判所に労働審判を申し立てる

「労働審判」は、経験豊富な労働審判官(裁判官)と、労働関係について専門的な知識を持つ労働審判員(労働組合の役員経験者、企業の人事担当経験者など)が、労働者と会社の間に入り、話合いを行う手続きです。 原則として、3回以内の話合いで終了するため、裁判よりも迅速な労働問題の解決が期待できます。 労働審判は、次の3パターンいずれかの結末にたどり着きます。

  • 話合いによって労働者と会社が合意する(調停成立)
  • 話合いがまとまらない場合は、労働審判委員会が解決案を示す(審判)
  • 審判の結論に納得できない場合は、裁判で争う

労働者と会社の話合いにより、お互いに歩み寄って合意の上で結論を出すことができれば、「調停」が成立します。 話合いがまとまらない場合は、審判官が解決策を提示します。これを「審判」と言います。 労働局によるあっせんと同様に、労働者と会社が話合いを行うことになりますが、調停と審判の場合は、裁判の判決と同じように法的な拘束力を持ちます。 つまり、会社は調停・審判で示された内容に従って対応させることができます。 一方、審判により審判が提示した解決策の内容に納得できない場合、裁判所に異議を申し立て、裁判で争うことになります。

自分自身で審判を行うことに不安がある場合は、弁護士に依頼することを検討してもよいでしょう。弁護士は法律の専門家という立場から、依頼者の代理人として適切な主張をしてくれます。

地方裁判所に申し立てる

調停は、会社の所在地を管轄する地方裁判所に申し立てます。 どの地方裁判所に申し立てればよいのかは、裁判所のホームページで検索できます。必要となる書類や費用は、管轄の裁判所に確認しましょう。 また、労働審判の申立書の記載例が、東京地方裁判所のホームページで紹介されているので、参考にしてもよいでしょう。

労働審判の流れ

労働審判のイメージ 当日は裁判所に出廷し、丸テーブルで話合いをすることになります。 話合いでは、審判官が審判を申し立てた労働者(申立人)と、審判の相手になる会社(相手方)から主張を聞き、事実関係を明らかにしていきます。 裁判のようにどちらかが一方的に尋問されるのではなく、審判官が気になった点をその場で両者に問いかけていくような形式です。 1回目の話合いで、争点と事実関係が確認できた場合は、合議の後に審判官・審判員から調停案が提示される場合があります。 調停案について、申立人と相手方がそれぞれ納得すれば、調停が成立します。 1回目の話合いで明らかにならなかった争点や事実関係がある場合や、調停案について両者が納得しないような場合には、2回目の話合いに続きます。 2回目の話合いでも話合いがまとまらなかった場合は、3回目の話合いを行うことになりますが、審判は原則的に3回までの話合いで解決を目指す手続きです。 3回目の話合いが終わった段階で審判官・審判員が示す調停案に両者が納得できない場合は、審判官・審判員が審判の形で最終的な結論を出します。 審判の内容に納得がいかない場合は、審判から2週間以内に異議を申し立てることで、裁判で結論を得ることになります。

裁判

調停・審判で解決できなかった場合、最終的には裁判で判決という形で決着をつけることになります。 裁判では、自分の主張を認めてもらうために、法的に正しい主張を適切に組み立てて、それを証拠で証明する必要があります。 一般の人がこれらのことを行うのは容易ではありません。訴訟を検討している場合は弁護士に依頼することをおすすめします。

  • 参考リンク

厚生労働省のホームページ 総合労働相談コーナーの所在地 裁判所ホームページ 裁判所の一覧 東京地方裁判所ホームページ 労働審判申立書の記載例

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