【弁護士Q&A】配置転換・出向・転籍が拒否できる場合をケース別に解説

会社員は配置転換や出向、転籍を命じられることがあります。自分の意に反する異動だった場合、拒否することはできるのでしょうか。 配置転換、出向、転籍のそれぞれについて、「みんなの法律相談」に寄せられた実際の相談事例と弁護士の回答を元に解説します。

目次

  1. 配置転換は拒否できるのか
  2. 出向は拒否できるのか
  3. 転籍は拒否できるのか

配置転換は拒否できるのか

自分の意に反する部署に配置転換命令が出た場合、拒否できないのでしょうか。

不当な異動について

相談者の疑問 現在、社内のPCやネットワーク、各種OA機器の管理をする、社内SEのようなポジションで仕事をしております。

入社時に「IT方面の知識に明るい人」「ステークホルダーと円滑なコミュニケーションが取れる人」という評価を会社側からもらい、その評価に恥じぬような仕事をしてきたつもりでおります。

ところが、次回の人事異動で未経験の部署に異動させられるような噂を耳にしました。

専門職として入社したのは、出世と給与アップの確率が総合職より低い事実を甘んじて受け入れてでも、他の部署への異動を嫌った経緯があるためで、その事実は経営陣も知っていると思われます。

もし懸念されるような異動が事実としてあった場合、私はこれを拒否できるのでしょうか?

鈴木 祥平の写真 弁護士の回答鈴木 祥平弁護士 企業は、人事権の一内容として配転命令権という権限を持っています(就業規則に定められているのが一般的です)。

すなわち、会社の社員をそれぞれの部署に配転をするという権限です。

原則としては、会社の配転命令には従わなければなりません。配転命令に従わないことは、会社の業務命令に従わないということになるので、懲戒処分の対象にもなります。

ただ、何でもかんでも会社の配転命令に従わなければならないということではありません。配転命令が違法な場合には従う必要はありません。配転命令が違法な場合というのは、以下の類型があります。

1.職種限定契約がある場合(職種の限定)
2.職場限定契約がある場合(職場の限定)
3.権利(配転命令権)の濫用の場合

配置転換は、原則として従わなければならず、拒否すれば懲戒処分の対象になることもあるそうです。 ただし、職場や職種を限定した雇用契約を結んでいる場合や、権利の濫用にあたるような場合については、配置転換が違法となり、従う必要はないようです。

出向は拒否できるのか

関連会社などへの出向を命じられた場合は、拒否できるのでしょうか。

事業譲渡に伴う転籍前提の出向命令における、包括的同意の有効性について

相談者の疑問 他社への事業譲渡に際し、会社から以下の説明がありました。

・当該事業に従事していた者には、譲受先への出向を命じる。
・出向期間満了後は、出向の延長、もしくは転籍で対応する。
・出向の拒否はできない(就業規則に包括的な同意に関する記載はあり)。
・出向の際は、地理的に転居を要する。

転籍、もしくは無期限の出向を前提とした辞令です。このような出向命令は転籍命令と同等であり、転籍と同じく個別的な同意が必要と主張することは妥当でしょうか。

杉浦 智彦の写真 弁護士の回答杉浦 智彦弁護士 出向については、包括的同意だけがあっても有効ではなく、その他の条件面で出向労働者の利益に配慮した規定があるかどうかで有効性が判断されます。

そのため、お給料や出向期間、勤続年数の取扱いなどの事情(これは例示で、これ以外にも重要な要素はございます)を詳しく伺うことが必要でしょう。

帰任を要求できるかどうかも、有効性の判断の1つの事情になるかと思います。これも、就業規則に記載されているかどうかの問題となります。

条件面で労働者に配慮していない出向は、無効となる可能性があるようです。 具体的には、給料、出向期間、帰任が要求できるのか、といったことが、有効か無効かを判断するポイントになるでしょう。

転籍は拒否できるのか

別の会社に転籍するよう命令を受けた場合は、拒否できるのでしょうか。

別会社への会社都合転籍について

相談者の疑問 現在A社で働いているのですが会社都合で急遽、子会社でもない別会社(B社)への転籍を強いられました。

回答を3日以内に決めて報告するように言われており、困ってます。転籍を拒否できないのでしょうか。

西田 広一の写真 弁護士の回答西田 広一弁護士 転籍は、元の企業との労働契約関係が終了し、新たに他の企業(転籍先)との労働契約関係に入ることをいいます。

転籍は包括的な同意では足りず、従業員本人の個別的な同意が必要であると解されています(東京地判平7.12.25三和機材事件)。

ですから、転籍については、配転や出向と異なり、企業は基本的に一方的な転籍命令権を有することありません。

従って、あなたは、転籍を拒否でき、これが強行されたとき争うこともできます。

転籍については、配置転換や出向とは違い、会社が一方的に命令する権利はありません。従業員本人の意思が尊重されるため、拒否することもできるようです。

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