【弁護士Q&A】就業規則規定なし・残業70時間設定…こんなみなし残業は有効?

みなし残業を導入している会社でも、必ずしも制度がきちんと運用されているとは限らないようです。 場合によっては、みなし残業制度が無効と判断されることもあるようですが、それはどのようなケースなのでしょうか。 みんなの法律相談」に寄せられた実際の相談事例と弁護士の回答を元に解説します。

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目次

  1. みなし残業時間を超えて働いた分の残業代が支払われない
  2. 就業規則で定められていない場合
  3. みなし残業時間が長時間に設定されている場合

みなし残業時間を超えて働いた分の残業代が支払われない

みなし残業制度の職場で働いている場合、みなし残業時間を超えて残業をしていても、その分の残業代を別途請求することはできないのでしょうか。

みなし残業代のある会社で残業代請求できるか。等

相談者の疑問 基本給とは別にみなし残業代(52時間分)が支給されており、直近1年平均残業時間45時間30分(最大77時間、最小18時間)です。52時間を超えた月は4か月(57、65、77、69時間)でした。

残業代を請求できる時間は何時間でしょうか。

黒岩 英一の写真 弁護士の回答黒岩 英一弁護士 みなし残業代を超える分については残業代を請求できる可能性が高いといえます。

もしみなし残業時間を超えても残業代の超過分が支払われないのであれば、みなし残業規程は有名無実のものであって、全体が無効であると主張できる可能性もあります。

この場合、例えば52時間残業をしたときには、この時間全体の残業代を別途請求できます。

手待ち時間については、どれだけ労働から解放されていたかによりますので、実態を詳細に検討する必要があります。

みなし残業時間を超えて残業した場合は、その分の残業代を請求できます。そのような運用がされていない職場では、みなし残業の規定そのものが無効になる可能性があるようです。

就業規則で定められていない場合

みなし残業制度を実施する場合、就業規則などで規定する必要はあるのでしょうか。

みなし残業について教えてください。

相談者の疑問 うちの会社はみなし残業が45時間あります。

入社して1年8か月ほど経ちますが、残業代は出ておりません。入社する時に、みなし残業があることは言われておりませんでした。労働条件通知書をみても雇用契約書をみても就業規則みてもみなし残業については書いてないです。

この前、給与辞令がでて、辞令書で初めてみなし残業が45時間あるという表記を会社から渡された正式書類で見ました。

それまでは、噂程度でみなし残業45時間あるらしいよ、みたいなことを聞いていただけです。これは違法ですか。

労基署に通報すれば、監査が入って、残業代が出るようになりますか。

好川 久治の写真 弁護士の回答好川 久治弁護士 固定のみなし残業代と言えるためには、基本給や手当のいくらが残業手当いくらに対応するのかを就業規則などで明確にしておかなければなりません。

規程もなにもなければ、みなし残業代がある前提で取り扱えませんので、残業があれば基本給や手当の全額を基礎となる賃金とみて、残業代を計算して請求することが可能です。

残業代が支払われていないなら労基法違反ですから、労基署が指導すれば是正を強いられます。

職場でみなし残業制度を敷く場合、就業規則などで明確に規定する必要があります。そのような規定がない場合、みなし残業制度は無効になるでしょう。 残業代が支払われていない場合は、労働基準監督署に相談し、会社に対して是正を求めることを検討してもよいでしょう。

みなし残業時間が長時間に設定されている場合

みなし残業時間を、月70時間に設定することは、法的に問題ないのでしょうか。

みなし残業70時間は労働基準法上、問題ないのか

相談者の疑問 営業職をしています。年俸制で、ボーナスなどは一切ありません。みなし残業が、月70時間込みの年俸です。

募集時は、土日祝日休みとなっていましたが、交代で休日出勤をし、平日に代休を取っています。平均で3〜4日の休日出勤があるため、連休がとても取りづらいです。

実際の月の残業時間は20時間程度ですが、休みの日も24時間365日、常に携帯に出られる状態を作ること。直行直帰は禁止となっています。

そもそも、月のみなし残業が70時間というのは法に触れないのでしょうか。

周藤 智の写真 弁護士の回答周藤 智弁護士 解釈上争いがあります。厚生労働省は45時間以内を推奨しており、実際にも、45時間までは有効だが、それ以上のみなし残業を定めるのは違法だとした裁判例もあります(札幌高裁平成24年10月19日判決)。

その他、全部無効とした裁判例もあります(東京高裁平成26年11月26日判決等)。一方で、70時間を目安としたみなし残業を定めても、必ずしも違法とはならないとする裁判例もあります(東京高裁平成28年1月27日判決)。

このようにケースバイケースですので、一概には言えませんが、違法・無効の可能性はあるという限度で指摘はできるでしょう。

厚生労働省は、みなし残業時間の目安は月45時間以内を推奨しているようです。 ただ、月45時間を超える時間を設定がされている場合でも、一概には違法・無効になるとは言い切れないようです。

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