就職・転職

弁護士監修記事 2019年03月01日

【弁護士Q&A】転職するとき懲戒処分歴や前科を隠しておくことのリスク

前職で懲戒処分を受けていたり、前科があったりしたとき、転職活動の面接では正直に伝えなければならないのでしょうか。入社して後から発覚した場合、解雇されるなどのリスクがあるのでしょうか。 みんなの法律相談」に寄せられた実際の相談事例と弁護士の回答を元に解説します。

目次

  1. 採用面接で懲戒処分歴は正直に伝えなければならない?
  2. 前科があることを面接で伝えるべきか
  3. まとめ

採用面接で懲戒処分歴は正直に伝えなければならない?

alt 前職で懲戒処分を受けたことを採用面接で正直に伝える必要はあるのでしょうか。

転職活動での懲戒処分申告について


相談者の疑問
転職活動をする中で、近く面談を受けることになりました。懲戒処分を受けたことは伝えた方がよいのでしょうか?

聞かれた場合、けん責程度でも伝える必要はありますか?不利に働くのではと心配しています。


影山 博英弁護士
経歴の詐称は、就業規則で懲戒解雇事由として定められていることが多く、そうでなくとも普通解雇事由となりえます。

懲戒歴は、採否の判断に影響することがありえますので、懲戒歴の詐称も、経歴の詐称の一種として懲戒解雇事由又は普通解雇事由にあたるとされる可能性があります。

ただし、一般的には、積極的に虚偽の申告をした場合が「詐称」とされるのであって、問われてもいないことについて自ら告げなかったというだけで「詐称」にあたるとは評価されません。

この点、懲戒歴についてではありませんが、自己の言動がセクハラ、パワハラとして告発されて勤務先で調査中である事実について自ら告げなかったことが解雇事由とされた事案で、裁判所は、「告知すれば採用されないことなどが予測される事項について、告知を求められたり、質問されたりしなくとも、雇用契約締結過程における信義則上の義務として、自発的に告知する法的義務があるとまでみることはできない」と述べて、解雇事由に当たることを否定しています(学校法人尚美学園事件H24.1.27労判1047号5頁)。

懲戒処分があったことは、採用するかどうかの判断に影響する可能性があるので、積極的に虚偽の申告をした場合などは、解雇の理由になる可能性があるようです。 たとえば、面接で「懲戒処分歴があるか」と聞かれて、実際はあるにもかかわらず「ない」とウソをついた場合は、解雇理由になる可能性があるでしょう。 ただし、懲戒処分歴について聞かれていないのであれば、懲戒処分歴があることを自発的に伝えなかったとしても経歴詐称とは評価されないようです。

前科があることを面接で伝えるべきか

alt 前科がある場合、採用面接で伝える必要はあるのでしょうか。伝えないまま入社して後から発覚した場合に、懲戒処分などを受ける可能性はあるのでしょうか。

採用時に聞かれてもいない前科の存在を理由に、会社から懲戒処分を受ける妥当性について


相談者の疑問
執行猶予付き判決の前科を隠して企業に就職をしました。猶予期間が終わり、就職活動を行って今の会社に入りました。

その際、履歴書に賞罰欄がなく、面接等で聞かれもしなかったのでその前科があることは会社に伝えませんでした。

ですが、そのことが会社にばれてしまったようで「そのような重大なことを採用時に告知をしなかったことは懲戒処分に相当する」「それがわかってあれば採用しなかった」いうことを理由に現在会社での処分が検討されており、今は出勤を停止させられている状況です。

このようなケースで採用時に履歴書の賞罰欄や質問などがなくても、前科についてはこちらから積極的に会社側に伝える義務があるのでしょうか。

今回解雇を含めたなんらかの懲戒処分を受けるのはやむを得ないでしょうか。


影山 博英弁護士
採用の過程で犯罪歴(前科)について事実を偽ることについては一般的に懲戒解雇事由として認められる傾向にあります。

しかし、問われてもいない自己の前科を自ら告知する義務があるとしたのでは、更生の道を閉ざすことになりかねず相当でないというべきでしょう。

経歴詐称が懲戒解雇事由となりうることを認めた炭研精工事件東高判H3.2.20労判592号77頁(最判H3年9月19日労判615号16頁によって上告棄却)も、学歴の詐称を懲戒事由として認めつつ、質問を受けていない公判係属中の刑事事件について告知する義務があったということは相当でないとし、自ら告知しなかったことが懲戒事由に該当することを否定しています。

懲戒処分歴と同様に、面接で前科について問われなかったとき、あえて自分から伝える義務まではないようです。 入社した後に発覚しても、面接で前科を伝えなかったという理由での懲戒処分を受け入れる必要はないでしょう。

まとめ

懲戒処分歴や前科について、採用面接などで聞かれた場合は、正直に答えないと経歴詐称になる可能性があります。経歴詐称が入社後に発覚した場合、解雇されるなどのリスクがあるでしょう。 一方、面接で聞かれていないのであれば、言う必要はないと考えられます。そのような場合に、後から懲戒処分歴や前科が発覚しても、面接で言わなかったからという理由で解雇や懲戒処分が認められる可能性は低いでしょう。

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