【弁護士Q&A】パワハラでうつ病に…労災認定のポイントと証拠の集め方

職場でパワハラの被害を受けてうつ病と診断された場合に、労災認定を受けられるのでしょうか。

  • うつ病で労災認定が認められるためのポイント
  • 会社がうつ病の労災認定に協力しない場合の対処法
  • うつ病の労災認定に必要な証拠

これらの疑問について「みんなの法律相談」に寄せられた実際の相談事例と弁護士の回答を元に解説します。

目次

  1. うつ病で労災が認められるための要件とは
  2. 労災申請に会社が協力してくれない場合にどうすればよいのか
  3. まとめ

うつ病で労災が認められるための要件とは

職場でパワハラなどの被害を受けてうつ病になった場合、労災認定を受けられるのでしょうか。認定を受けるためには、どんな点がポイントとなるのでしょうか。

パワハラでの労災申請について

相談者の疑問 パワハラでうつ病になってしまったので労災申請をしようと思っています。

今の職場でのいじめとパワハラが原因です。職場に行くと体調と情緒が安定しなくなります。

精神的な労災申請は審査が厳しいとききました。またパワハラは証拠がなかなか残らないため立証も難しいともききました。

一応パワハラだと思われる会話の内容はメモに残したり、ボイスレコーダーに記録したりと少ないながら証拠もあります。証言してくれる味方もいます。やっぱり労災申請は厳しいですか?

西田 広一の写真 弁護士の回答西田 広一弁護士 近年、仕事によるストレス(業務による心理的負荷)が関係した精神障害についての労災請求が増え、その認定(発病した精神障害が業務上のものと認められるかの判断)を迅速に行うことが求められ、厚生労働省は、平成11年に定めた労災認定方針を平成23年12月に改め、より迅速な判断ができるよう「心理的負荷による精神障害の認定基準」に定め、これに基づいて労災認定を行うことにしました。

労災認定のための要件は、①認定準対象精神障害を発病、②認定基準の対象となる精神障害の発病前おおむね6か月の間に、業務による強い心理的負荷が認められること、③業務以外の心理的負荷や個体側要因により発病したとは認められないことです。

あなたの例では、②が問題となるのでしょう。詳細に検討する必要がありますが、「特別な出来事」=主に長時間労働があれば認定はまずまず容易ですが、パワハラは認定はかなり厳しいと思われて下さい。

厚生労働省の資料では、「特別な出来事」に該当することがあった場合に、ポイント②「業務による強い心理的負荷」を満たすと説明されています。 「特別な出来事」の一例を以下に挙げます。

  • 生死にかかわる、極度の苦痛を伴う、又は永久に働けなくなる後遺障害を残す業務上の病気やケガをした
  • 強姦や、本人の意思を抑圧して行われたわいせつ行為などのセクハラを受けた
  • その他、上記に準ずる程度の心理的負荷が極度と認められるもの
  • 発病直前の1か月におおむね160時間を超えるような時間外労働をおこなった

労災申請に会社が協力してくれない場合にどうすればよいのか

会社が労災申請に協力してくれない場合、どう対処すればよいのでしょうか。

うつ病労災申請について

相談者の疑問 パワハラ、過剰残業、違法行為の強要などでうつ病になり労災申請をしています。

職場では、労災に対し一切協力はしない、弁護士さんを入れて戦いますと連絡が来ました。

これから先、どうなるのでしょうか?

伏見 宗弘の写真 弁護士の回答伏見 宗弘弁護士 今後は、
・まず弁護士に依頼される
・労働審判を申し立てる
・相手方が結果に不服を申し立てるのであれば、訴訟になる
という流れになります。

労働審判は3回で終わる手続で、申立てから大体4~5か月には終わります。訴訟になった場合はそれにプラスしてだいたい1年程度です。

長い戦いになります。

今できることとしては、証拠集めだと思います。

・上司の発言を記録したICレコーダーなどがあればそれを保管しておく

・思い出せる限りで職場の様子をメモに書き出す(言われたこと、残業時間、違法行為を強要されたことなど)

・職場のタイムカードが手元にあれば整理しておく

などが考えられます。
 
まずは弁護士のもとに行き、今後の方針について相談されるのが一番かと思います。併せて、今は療養していただき、社会復帰に向けて準備を整えられてください。

会社が労災申請に協力的ではないケースでは、弁護士に依頼して労働審判を申し立てることになるようです。

まとめ

パワハラを理由に労災認定を受けるためには、パワハラなどを受けたことの証拠が必要です。 上司の発言の録音や、長時間労働したことを示すタイムカードがあれば保管しておきましょう。パワハラの内容のメモも、証拠となる可能性があります。 労災申請をしたいけれど会社が協力してくれない場合は、弁護士など専門家に相談して、労働審判や裁判を起こすことを検討してもよいでしょう。

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