妊娠後に遠方の職場へ異動、休んだら迷惑と叱られた…マタハラ実例と対処法

妊娠や出産、育児を理由に、職場で不利益な扱いを受けることをマタハラといいます。この記事では、具体的にどのような行為がマタハラにあたり、マタハラの被害を受けた場合に会社に対してどのような請求ができるかを、「みんなの法律相談」に寄せられた実際の相談事例と弁護士の回答を元に解説します。

目次

  1. 妊娠を機に、今より遠く、労働時間も長い店舗への異動を命じられた
  2. 将来妊娠する可能性があることを理由に、降格をほのめかされた
  3. 妊娠して休みを取ったら、「現場に迷惑をかけている」と言われた
  4. まとめ

妊娠を機に、今より遠く、労働時間も長い店舗への異動を命じられた

alt 妊娠したあとに、通勤2時間以上、朝から夜まで欠員だらけで働きづめの店舗に異動することになった、というケースはマタハラにあたるのでしょうか。

マタハラ人事ですか?

相談者の疑問 現在6か月半ばに入る所の初妊婦です。今の会社には8年ほど在籍しております。職場復帰をして1か月が経ちますが、その前2か月は切迫流産でお休みしておりました。

先日、5月から新店舗のアシスタントとしての異動を命ぜられました。

「店長として今のお店にいるより、副店長として異動した方が産休にいつでも入れる」「身体のことを考えた人事だ」と…。聞こえはいいですが、実際は、その店舗はアルバイトが集まらず、朝から夜、夜勤帯まで欠員だらけです。

通勤も2時間以上かかります。今は通勤緩和として10時出勤をしているので、考慮されるか聞いたところ、シフト欠員でてるから、無理だよと…。

これはマタハラにあたるのですか?実働7時間半、レジ入店で立ってないといけないのはさすがに辛いです。

西田 広一の写真 弁護士の回答西田 広一弁護士 転勤、配置換えなどは原則として会社の業務上の必要性に基づいてされ適法ですが、濫用となるときは許されません。

あなたの妊娠している状況に対して2時間以上かかる、労働時間も長いとなると、違法となる可能性が高いように思います。マタハラともいえるでしょう。

妊娠後に、通勤時間や労働時間が今よりも長くなるような店舗への異動を命じられた場合は、マタハラにあたる可能性があるようです。

将来妊娠する可能性があることを理由に、降格をほのめかされた

alt 続いて、将来妊娠するかもしれないことを理由に、降格や遠方への異動の可能性を示唆されたケースを紹介します。

マタハラ、パワハラについて

相談者の疑問 結婚して3年目。2年ほど、不妊治療を続けてきました。その過程で卵巣が破裂してしまい1か月ほど会社を休むことになりました。

復帰後、繁忙期に入る9月より転居を伴わない異動はあるけれど契約社員で店長という役職をいただき、繁忙期も無事乗り越え必死に勤務してきました。

そして、12月に妊娠が発覚。上司はお子さんもいる女性上司だったことと、ハードワークだったこともあり早めに報告しようと思い、5週で報告しました。

すると、「まだまだ、妊娠はしないと聞いていたから店長にしたのに。無責任だと思う 」と言われました。

その後、染色体異常や出血が続き、医師から安静にするように伝えられたため、しばらくお休みをいただき安静に過ごしていました。

しかし、私が休んでいる間に、上司から「今回の店長会議には彼女(パートの子)に出てもらうことにします」との発言があり、私は辞める意思など伝えてないのですが、その方向でどんどん話が進んでしまいました。

今回は、残念なことに稽留流産となってしまったのですが、上司に「手術後から出勤してまた頑張りたい」と伝えました。

すると、「また、妊娠とかするかもしれないでしょ?同じ立場では戻せない。あなたには、ママになってほしいからうちの会社じゃなくて座っての仕事のほうがいいんじゃないか。どうしてもウチの会社がいいのなら、パートで頑張ってもらうか、遠方とかに異動になるかもしれない」と言われました。

これは、マタハラにあたりますか?

村上 誠の写真 弁護士の回答村上 誠弁護士 妊娠ないし妊娠の可能性を理由として、店長降格や遠方異動を強いられるとしたら、マタニティハラスメントに当たると思います。

実際に妊娠している場合だけではなく、将来妊娠する可能性があることを理由に降格や異動を命じられた場合も、マタハラにあたる可能性があるようです。

妊娠して休みを取ったら、「現場に迷惑をかけている」と言われた

alt 下記のケースのように、妊娠後に休みを取ろうとしたところ嫌がらせを受け、退職に追い込まれそうな場合も、マタハラにあたるのでしょうか。マタハラ被害を受けた場合に会社に対して請求できることと併せて解説します。

休職が認められない。これはマタハラですか?

相談者の疑問 先月悪阻にて吐き気と頭痛が治らず産婦人科医に行ったところ、脱水の症状が出ているため、2週間ほどの自宅安静が必要との診断を受けました。

事情を上司に説明しお休みをいただきましたが、その後も体調が回復せず、診断書をもらってくるので安定期までお休みを延長したい旨を相談しました。

しかし、「現場に迷惑を掛けているから明日は出勤して皆に事情を説明して回れ」「勤務態度が非常に問題視されている」「社会人として責任ある行動を期待する」と言われ当日欠勤も許されない状況になってしまいました。

休職を否定されたわけではないですが、体調が悪い中、通勤2時間かけて皆さんに事情の説明と謝りに行くのは体力的にも精神的にも辛くて仕方ありません。

他にも、以下のように、マタハラでは?と思うことが多々あります。私は退職するしかないでしょうか?

・診断書があるにも関わらず当日欠勤や休職について叱られる。

・診断書があり休職を申し出たところ、休職は会社が決めることと返事を保留にされ、傷病手当の申請もできない。現在は欠勤状況。

・育児休暇取得後の異動を断ったところ、貴方にはそれしか道がないと言われる。

高橋 淳の写真 弁護士の回答高橋 淳弁護士 マタハラです。改善要求及び慰謝料請求が可能です。退職に追い込まれた場合には、逸失利益の請求も可能です。

上記のように、妊娠後に休みを取ると嫌がらせを受けるなどの状況は、マタハラといえるでしょう。 マタハラの被害を受けた場合、会社に対して改善要求や慰謝料請求ができます。会社の人事労務などの担当者に相談したり、会社の人に直接言いにくい場合は、労働局(厚生労働省が管轄する国の機関)に相談したりすることができます。 マタハラによって退職に追い込まれた場合は、逸失利益(退職しなければ得られたであろうお金)の請求もできるでしょう。

まとめ

妊娠や出産によって、より遠方の職場への異動を命じられたり、降格を示唆されるなどの不利益な扱いを受けることは、マタハラといえるでしょう。 マタハラの被害を受けた場合は、会社に対して改善要求や慰謝料請求、退職に追い込まれた場合は逸失利益の請求ができます。 会社の人事労務などの相談担当者や労働局に相談することで、改善に向けて働きかけてもらえます。 慰謝料や逸失利益の請求は、会社から任意に支払ってもらえない場合、最終的には裁判を起こして請求していくことになります。弁護士などの専門家に相談することを検討するとよいでしょう。

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