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残業代

2017年07月03日

「フレックスタイム制」出社・退社が自由でも残業代が発生するケースは?

フレックスタイム制は、始業・終業の時間を、労働者自身で決めることができる、その名の通り柔軟な働き方を実現する制度です。一方で、どんな場合に残業代を会社に求めることができるのか、そもそもフレックスタイム制で残業代は発生するのか、疑問に思う方もいるでしょう。

  • フレックスタイム制とは
  • フレックスタイム制でも残業代・割増賃金が発生するケース
  • フレックスタイム制を導入するための条件

この記事ではこうしたポイントについて詳しく紹介します。

目次

  1. フレックスタイム制とは?
  2. 労働時間はどうやってカウントするのか?
  3. 残業代・割増賃金が発生するケース
  4. 制度を導入するための手続き
  5. 残業代の請求方法

フレックスタイム制とは?

本来、労働者の始業時刻と終業時刻は、「9時から17時」といったように、固定されていることが通常です。 これに対して、「フレックスタイム制」は、始業時間・終業時刻を、労働者が自分で決めることができる制度です。 労働者にとっては、通勤ラッシュを避けて余裕をもって通勤できたり、通院や子の世話をしてから出社できたりするなど、私生活と仕事との調和を図るメリットがあると考えられています。 フレックスタイム制を導入している会社は、「労働者が選択して労働することができる時間帯(フレキシブルタイム)」を定めています。これに加えて、「労働しなければならない時間帯(コアタイム)」を定めているケースも少なくありません。 たとえば、次のようなケースです。 フレックスタイム制の例 この場合、労働者は、「コアタイム」である11時から16時までは、休憩時間を除き必ず労働する必要があります。その代わり7時から11時、16時から22時の間で、出社・退社の時間を調整できることになります。 このとき考えられる勤務時間は、たとえば次のようになります。

  • 7時〜16時(労働時間8時間/休憩時間1時間)
  • 11時〜20時(労働時間8時間/休憩時間1時間)

労働時間はどうやってカウントするのか?

フレックスタイム制のもとでは、「ある日は5時間だけ働いて退社したけど、別の日は10時間働いた」というように、日によって労働時間に差がでてきます。 そのため、労働者が労働すべき時間は、週・月など、あらかじめ定めた一定の期間で設定します。この一定の期間を「清算期間」といいます。 清算期間の総労働時間は、「1週40時間以内」という法定労働時間の枠におさまる必要があります。具体的には、次のような上限があります。

1か月の日数 法定労働時間の上限(週40時間)
31日 177.1時間
30日 171.4時間
29日(うるう年の2月) 165.7時間
28日(2月) 160時間

商業、映画・演劇業、保健衛生業、接客娯楽業など特定の事業で、従業員数が10人未満の事業所の場合は、法定労働時間の上限は44時間となっています。

残業代・割増賃金が発生するケース

法律では、原則として1日8時間・週40時間(法定労働時間)を超える労働をした場合には、時間外労働として残業代や割増賃金を労働者に支払う必要があります。 一方で、フレックスタイム制では、たとえば「1日12時間働いた」という日があったとしても、清算期間の総労働時間の枠内に収まっていれば、残業代・割増賃金は発生しないことになります(深夜・休日の割増賃金は除きます)。 たとえば、時給1000円、清算期間として定められた総労働時間の枠は160時間、清算期間1か月(31日)で、実労働時間が180時間だったというケースを考えてみましょう。 この場合、法定労働時間の上限は177.1時間で、会社が定めた清算期間の総労働時間をうわまっていることになります。 つまり、総労働時間の枠を超えて働いたとしても、法定労働時間の上限を超えるまでは(160時間を超えて177.1時間まで)、発生するのは法内残業として、就業規則所定の残業代(例:時給1000円×時間分の賃金)で、割増賃金は発生しません。 一方、177.1時間を超えた2.9時間分については、法定労働時間を超えていることになるので、法外残業として割増賃金(25%〜)が発生することになります。 図にすると次のようになります。 残業代・割増賃金が発生するケース

深夜割増賃金の支払および休憩・休日に関する規定は、原則通り適用されます。

残業代が発生しないケース

フレックスタイム制では、労働者が1日の労働時間の長さを一定の範囲で自由に決めることができます。 そのため、清算期間全体で見たときに、実労働時間が所定労働時間を下回ってしまう可能性があります。その場合、主にの2つの方法で処理されます。

  1. 不足分の賃金をカットする
  2. 清算期間内で不足した労働時間を、次の清算期間に繰り越す(前期の過払賃金と当期の賃金を相殺する)

制度を導入するための手続き

フレックスタイム制を導入するには一定の手続きが必要です。 就業規則などで「始業・終業時刻を各労働者の決定にゆだねる」ことを定め、労使協定で次の事項を定めます。

  • フレックスタイム制の対象となる労働者の範囲
  • 清算期間とその起算日
  • 清算期間における総労働時間
  • 標準となる1日の労働時間の長さ
  • コアタイムを定める場合には、その時間帯の開始・終了の時刻
  • フレキシブルタイムを定める場合には、その時間帯の開始・終了の時刻

こうした条件や手続きをみたしていない場合には、その会社で導入されているフレックスタイム制は「無効」となる可能性があります。 その場合は、法定労働時間(1日8時間、週40時間)の原則にしたがって、残業代や割増賃金が発生することになります。 法定労働時間の原則にしたがって残業代・割増賃金を請求する場合の計算方法について詳しく知りたい方は、次の記事をご覧ください。

残業代の請求方法

会社に残業代を支払ってもらうための手続きを詳しく知りたい方は、次の記事をご覧ください。

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