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残業代

2017年06月07日

「名ばかり管理職」にあたる場合の対処法…残業代が請求できる場合とは?

「管理職だから残業代は支払われない」ーー。会社からそう告げられ、残業代を支払ってもらうことをあきらめていませんか? 「課長」「マネージャー」など、管理職のような役職についていても、場合によっては残業代を請求できる可能性があります。 納得できない思いを抱えている方は、この記事で、自分が残業代を請求できる「名ばかり管理職」にあたらないか確認してみましょう。

  • 管理職には残業代を支払われない?
  • 「名ばかり管理職」にあたるのはどんな場合?
  • 残業代はどうやって請求すればいい?

目次

  1. 労基法の「管理監督者」とは
  2. 「管理監督者」にあたるのはどんな場合なのか
  3. 「名ばかり管理職」にあたる場合、残業代・割増賃金を請求できる

労基法の「管理監督者」とは

会社と労働者の関係については、労働時間(1日8時間、週40時間、休憩時間)や休日、時間外労働をした場合の割増賃金など、労働基準法で労働者を保護するためのルールが定められています。 こうしたルールの例外として、たとえば労働基準法の「管理監督者」にあたる場合は、一般的な労働者とは異なるあつかいをすることができます。 具体的には、会社は「管理監督者」を次のようにあつかうことができます。

  • 法定労働時間を超えて労働させてもよい
  • 休憩時間を与えなくてもよい
  • 法定休日(1週1日、または4週4日)を与えなくてもよい
  • 時間外労働をさせても、割増賃金を支払わなくてもよい
  • 休日労働の際に、割増賃金を支払わなくてもよい

「管理監督者」でも、深夜労働(22時〜5時)の場合は割増賃金(125%〜)を支払う必要があります。

管理監督者にあたるための条件

このようなあつかいが認められるのは、「管理監督者の場合には、労働時間を自由裁量で定めることができるから、労基法1条の基本理念、37条の趣旨に反するような事態(過重な長時間労働など)が避けられる。だから労働者の保護を欠くことにならない」という考えが前提があるからです。 そのため、管理職のような役職を与えられていても、上司から業務について厳しく管理されるなど裁量がなく、実質的にみて管理職とはいえないような場合は、法律上の「管理監督者」とは認められません。 一般の労働者と同様、残業代や割増賃金を会社に請求することができます。

「管理監督者」にあたるのはどんな場合なのか

確立された判例があるわけではありませんが、裁判例などでは、法律上の「管理監督者」にあたるのかどうかについて、主に次の3点を総合的に考慮して判断しているものが少なくありません。

  • 企業経営の重要事項に関与している
  • 勤務の形態が労働時間などの規制になじまない
  • 管理監督者としてふさわしい待遇を受けている
「管理監督者」の要件 具体例
職務内容、権限や責任に照らして、企業経営の重要事項に関与している(経営者と一体的立場にある) ・経営方針の決定に参加している
・労務管理上の指揮権限がある
勤務の形態が労働時間などの規制になじまない ・出勤・退勤の時間が自由
・職務遂行上、時間外労働または休日労働が避けられない状況ではなかった
管理監督者としてふさわしい待遇を受けている ・賃金や手当の額が優遇されている
・社内において、給与または賃金の額が他の役職の従業員に比較して高い

具体的にどう判断されるのか、「日本マクドナルド割増賃金請求事件(東京地裁2008年1月28日判決)」と呼ばれる裁判例をサンプルにみてみましょう。 この裁判は、ハンバーガーチェーンのマクドナルドの店長が、「自分は労基法上の『管理監督者』にあたらない」と主張して、日本マクドナルドに対して過去の時間外・休日労働の割増賃金の支払いなどを求めた裁判でした。 判決では、原告の店長は「管理監督者にあたらない」として、マクドナルドに付加金を合わせて約750万円の支払いを命じました(控訴審で和解が成立)。 判決では詳細な事実認定をおこなっていますが、おおまかにまとめると次のような事実などを認定して、原告の店長が「管理監督者にあたらない」と判断しました。

  • アルバイトの採用・販促活動など一定の権限があるが、店舗内のことがらに限られる(経営者と一体的立場といえるような権限が与えられていたわけではない)

  • 日本マクドナルドが決めたルール(「営業中はシフトマネージャーを置く」など)を守るため、店長自身がシフトに入る必要があり、長時間長時間労働を余儀なくされることがあった(労働時間に関する裁量がなかった)

  • 店長とファーストアシスタントマネージャー(店長に次ぐ立場・非管理職)との間に年収の差はあったが、店長の長時間労働の実態なども考えると、管理監督者の待遇として十分といえない。

このように、裁判では、「管理監督者」の判断について、権限・勤務態様・処遇などから実質的に判断されているといえるでしょう。

「名ばかり管理職」にあたる場合、残業代・割増賃金を請求できる

あなたが「名ばかり管理職」にあたる場合、通常の労働者と同じく、会社に対して残業代・割増賃金を請求することができます。 残業した場合、発生する1時間あたりの賃金は一概に同じとはいえません。残業代として支払われるべき時間あたりの金額は、労働条件によって異なります。 時間外労働には労働基準法に基づいて、最低でも25%の割増賃金が加算されるため、以下のとおり、「残業時間×基礎時給×1.25」という計算で残業代を計算します。

残業代= 残業時間 × 基礎時給 × 労基法上の最低の最低割増賃金率
  原則として、
1分単位で計算
  月給ー除外賃金
ーーーーーーーーーー
1か月の平均所定労働時間
  1.25
(〜1.75)

深夜・休日労働などで更に加算される

深夜労働や休日労働の条件にあてはまる場合は、割増賃金率はさらにあがります。 たとえば、深夜(22時〜5時)に時間外労働をおこなった場合は、割増賃金率は50%(25%+25%)以上になります。労働基準法に基づくと、最大で75%以上まで上がります。 ただし、会社によっては、割増賃金率などが労働基準法より有利に定められているケースもあります。まずは、会社の就業規則・賃金規定を確認しましょう。

割増賃金の種類 割増賃金率 条件
(法定)時間外労働 +25%〜 法定労働時間を超えて働いた場合
深夜労働 +25%〜 22時〜5時に働いた場合
(法定)休日労動 +35%〜 *法定休日に働いた場合
月60時間を超える時間外労働 +50%~ 月60時間を超える時間外労働をした場合
(※一部の中小企業は対象外)

時間外労働と法定休日の割増賃金率は重複しません。たとえば、法定休日に法定労働時間を超える9時間の労働をしたとしても、賃金は35%以上の割増です。

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