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健康診断

特殊健康診断とは:対象者や診断項目

健康診断には、大きく分けて一般健康診断と特殊健康診断があります。特殊健康診断とは、法令で定められた業務または特定の物質を取り扱う労働者を対象にした健康診断です。作業による健康障害を未然に防ぐことを目的としているため、配置替えの際および、6カ月以内ごとに1回実施する必要があります。

目次

  1. 特殊健康診断とは
  2. 特殊健康診断の受診対象者
  3. 特殊健康診断の項目
  4. 労働者の健康診断受診義務

特殊健康診断とは

特殊健康診断とは、一定の有害業務に従事する労働者に対する健康診断です。有害業務が身体に影響を及ぼすことを未然に防ぐことを目的としていて、作業内容および作業環境と特殊健康診断結果との関連を検討するために行われるもので、6か月以内ごとに1回実施することを事業主に義務付けています。

特殊健康診断の受診対象者

特殊健康診断の対象者は、以下の有害な業務に常時従事する労働者です。

  • 屋内作業場等における有機溶剤業務に常時従事する労働者
  • 鉛業務に常時従事する労働者
  • 四アルキル鉛等業務に常時従事する労働者
  • 特定化学物質を製造し、又は取り扱う業務に常時従事する労働者および過去に従事した在籍労働者(一部の物質に係る業務に限る)
  • 高圧室内業務又は潜水業務に常時従事する労働者
  • 放射線業務に常時従事する労働者で管理区域に立ち入る者
  • 除染等業務に常時従事する除染等業務従事者
  • 石綿等の取扱い等に伴い石綿の粉じんを発散する場所における業務に常時従事する労働者および過去に従事したことのある在籍労働者

じん肺健診の受診対象者

常時、粉じん作業に従事する労働者および従事したことのある労働者は、雇い入れる際、または当該業務へ配置換えの時、および離職した時に、「じん肺健診」を受診する必要があります。そして、じん肺の所見があると診断された場合には、労働局に健診結果とエックス線写真を提出する必要があります。

粉じん作業従事との関連 管理区分 健康診断の頻度
常時粉じん作業に従事 1 3年以内ごとに1回
常時粉じん作業に従事 2 1年以内ごとに1回
常時粉じん作業に従事したことがあり、現在は非粉じん作業に従事 2 3年以内ごとに1回
常時粉じん作業に従事したことがあり、現在は非粉じん作業に従事 3 1年以内ごとに1回

じん肺管理区分とは

じん肺管理区分とは、じん肺健康診断の結果を管理1から管理4までに区分しているもので、この管理区分に応じて健康管理を行う必要があります。

管理1

じん肺の所見がないと認められるもの。

管理2

エックス線写真の像が第一型で、じん肺による著しい肺機能の障害がないと認められるもの。

管理3

エックス線写真の像が第二型で、じん肺による著しい肺機能の障害がないと認められるもの。エックス線写真の像が第三型又は第四型(大陰影の大きさが一側の肺野の3分の1以下のものに限る)でじん肺による著しい肺機能の障害がないと認められるもの。

管理4

エックス線写真の像が第四型(大陰影の大きさが一側の肺野の3分の1を超えるものに限る)と認められるもの。エックス線写真の像が第一型、第二型、第三型又は第四型(大陰影の大きさが一側の肺野の3分の1以下のものに限る)で、じん肺による著しい肺機能の障害があると認められるもの。

歯科医師による健診の受診対象者

塩酸、硝酸、硫酸、亜硫酸、弗化水素、黄りんその他歯又はその支持組織に有害な物のガス、蒸気又は粉じんを発散する場所における業務に常時従事する労働者は、雇入れの際、当該業務への配置替えの際及び当該業務についた後6か月以内ごとに1回、歯科医師による健診を受診する必要があります。

特殊健康診断の項目

特殊健康診断(法令で義務づけられているもの)には、その業務内容に応じて、次のものがあります。

鉛健康診断

鉛業務に常時する労働者を雇い入れる際、または当該業務へ配置換えの際およびその後6ヶ月以内(はんだ付け等の一定の業務については1年以内)ごとに実施する必要があります。

必ず実施すべき項目

  • 業務の経歴の調査
  • 鉛による自覚症状および他覚症状の既往歴の調査
  • 血液中の鉛の量および尿中デルタアミノレブリン酸の量の既往の検査結果の調査
  • 自覚症状または他覚症状の有無の検査
  • 血液中の鉛の量の検査
  • 尿中デルタアミノレブリン酸の量の検査

医師が必要と判断した場合には、実施しなければならない項目

  • 作業条件の調査
  • 貧血検査
  • 赤血球中のプロトポルフィリンの量の検査
  • 神経内科学的検査

特定化学物質等健康診断

特定化学物質を製造または取り扱う業務に常時従事する労働者を雇い入れる際、または当該業務へ配置換えの際およびその後6か月以内ごとに実施する必要があります。

検査項目

業務の経歴の調査をする他、物質別に検査項目が分類されます。

石綿健康診断

石綿を製造または取扱う業務に常時従事する労働者を雇い入れる際、または当該業務へ配置換えの際およびその後6か月以内ごとに実施する必要があります。

検査項目

  • 被ばく歴の有無の調査およびその評価
  • 白血球数および白血球百分率の検査
  • 赤血球数および血色素量またはヘマトクリット値の検査
  • 白内障に関する眼の検査
  • 皮膚の検査

一次健康診断項目

  • 業務の履歴の調査
  • 石綿によるせき、たん、息切れ、胸痛等の他覚症状または自覚症状の既往歴の有無の検査
  • せき、たん、息切れ、胸痛等の他覚症状または自覚症状の有無の検査
  • 胸部のエックス線直接撮影による検査

二次健康診断項目

  • 作業条件の調査
  • 胸部のエックス線直接撮影による検査の結果、異常な陰影がある場合で、医師が必要と認めるときは、特殊なエックス線撮影による検査、喀痰の細胞診または、気管支鏡検査

電離放射線健康診断

放射線業務に従事する労働者で管理区域に立ち入る者に対し、雇い入れの際または当該業務への配置換えの際およびその後6か月以内ごとに実施する必要があります。

検査項目

  • 被ばく歴の有無の調査およびその評価
  • 白血球数および白血球百分率の検査
  • 赤血球数および血色素量またはヘマトクリット値の検査
  • 白内障に関する眼の検査
  • 皮膚の検査

有機溶剤健康診断

有機溶剤の製造または取扱い業務に常時従事する労働者を雇い入れる際、または当該業務へ配置換えの際およびその後6か月以内ごとに実施する必要があります。

必ず実施すべき項目

  • 業務歴の調査
  • 有機溶剤による健康障害・自覚症状および他覚症状の既往歴の検査、異常所見の既往の有無の調査
  • 尿中代謝物の既往の検査結果調査
  • 自覚症状または他覚症状の有無の検査
  • 尿中の有機溶剤の代謝物の量の検査……※1
  • 尿中の蛋白の有無の検査
  • 肝機能検査(GOT,GPT,γ-GTP)……※1
  • 貧血検査(赤血球数、血色素量)……※1
  • 眼底検査……※1

(このうち※1は特定有機溶剤種類に限る)

医師が必要と判断した場合には、実施しなければならない項目

  • 作業条件の調査
  • 貧血検査
  • 肝機能検査
  • 腎機能検査(尿中の蛋白有無の検査を除く)
  • 神経内科学的検査

高気圧業務健康診断

高圧室内業務または潜水業務に従事している労働者に対して、雇い入れ時、配置換えの際、およびその後6か月以内ごとに実施する必要があります。

必ず実施すべき項目

  • 既往歴及び高気圧業務歴の調査
  • 関節、腰若しくは下肢しの痛み、耳鳴り等の自覚症状又は他覚症状の有無の検査
  • 四肢しの運動機能の検査
  • 鼓膜及び聴力の検査
  • 血圧の測定並びに尿中の糖及び蛋たん白の有無の検査
  • 肺活量の測定

医師が必要と判断した場合には、実施しなければならない項目

  • 作業条件調査
  • 肺換気機能検査
  • 心電図検査
  • 関節部のエックス線直接撮影による検査

四アルキル鉛健康診断

四アルキル鉛等の業務に従事している労働者に対して、雇い入れ時、配置換えの際およびその後3ヶ月以内ごとに実施する必要があります。

検査項目

  • いらいら、不眠、悪夢、食欲不振、顔面蒼白、倦怠感、盗汗、頭痛、振顫、四肢の腱反射亢進、悪心、嘔吐、腹痛、不安、興奮、記憶障害その他の神経症状又は精神症状の有無の検査
  • 血圧の測定
  • 血色素量又は全血比重の検査
  • 好塩基点赤血球数又は尿中のコプロポルフイリンの検査

労働者の健康診断受診義務

労働者は、事業者が行なう健康診断を受けなければならない義務があります。

ただし、事業者が指定した医師又は歯科医師が行なう健康診断を受けることを希望しない場合で、他の医師又は歯科医師の行なう労働安全衛生法に基づく健康診断に相当する健康診断を受け、その結果を証明する書面を事業者に提出した時には、事業者が行なう健康診断を受診する必要はなくなります。

特殊健康診断の費用負担

特殊健康診断は、事業の遂行により当然実施する必要がある性格のものです。したがって、特殊健康診断の受診費用は会社が負担するべきものとされています。

また、健康診断は、所定労働時間内に行われることが原則で、特殊健康診断の実施に要する時間は労働時間にあたると解釈されますので、もし所定労働時間外に特殊健康診断を行った場合は、割増賃金を支払う必要があります(昭和47.9.18 基発第602号)。

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