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産休・育児休暇

2017年09月19日

育休を取得するための条件と期間、育休中の給与の取り扱い

生まれた子どもがある程度成長するまでの期間、育児休業(育休)の取得を考える方も多いでしょう。 実際に育休を取得するとなると、どのくらいの期間休むことができるのか、会社が育休を取らせてくれない場合はどう対処すればよいのか、育休をきっかけに退職するように圧力をかけられたらどうしようか…などと不安に思うこともあるのではないでしょうか。

  • 育児休業を取得できる条件
  • 子の看護休暇について
  • 取得手続きの流れ

この記事では、こうしたポイントについて詳しく紹介します。育休の取得を考えている方はぜひ参考にしてみてください。

目次

  1. 育休とは
  2. 育休中の給料はどうなる?
  3. 育休の取得手続
  4. 育休取得を会社が拒否した場合の対処法

育休とは

一般的には「育児休暇」とも呼ばれる育休ですが、「育児・介護休業法」(育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律)において「育児休業」として定められている制度です。法は育休について次のような理念をかかげています。

子の養育を行う労働者の雇用の継続および育児により退職した者の再就職の促進を図ることにより、これらの者の職業生活と家庭生活の両立に寄与することを通じて福祉の増進を図ること。

端的には「仕事を辞めずに育児をしたい」「子どもがある程度成長したら復職したい」と考えている労働者のための制度です。 労働者本人から育休の申請があった場合、取得条件を満たしている限り、会社はそれを拒むことができません。

育休の取得条件

労働者は、1歳未満の子どもを養育するために育休を取得できます。 ただし、契約社員やアルバイト・パートといった有期雇用の労働者が育休を取得する場合、次の2つの条件を満たす必要があります。

  • その会社に雇用されている期間が1年以上であること
  • 子どもが1歳6か月になるまで、その労働契約(労働契約が更新される場合にあっては、更新後のもの)が満了することが明らかでないこと

なお、1日単位で雇用されている、日々雇用労働者は、育休を取得できません(ただし、形式上の日々雇用であり実際には自動更新を繰り返しているような場合は、実質的に期間の定めのない雇用契約と同等の状態と見なされ、申請できる場合もあります)。 育休を取得するのは、男女を問わず可能です。さらに、実子でなく養子のためのものであっても、育休を取得することができます。

育休期間

育児休業をすることができるのは、原則として、子どもが生まれた日から子どもが1歳に達する日(誕生日の前日)までの間で、労働者が申し出た期間です。 もっとも、子どもが1歳になっても、保育所に入れないなどの理由により、復職が困難な場合もあるでしょう。 法律上、子どもが1歳になる時点で、次の2つの条件を満たす場合には、子どもが1歳6か月になるまでの期間について、育休を延長することができます。

  • 子どもが1歳に達する日において、労働者本人または配偶者が育児休業をしている場合
  • 保育所に入所できないなど、1歳を超えても休業が特に必要と認められる場合

具体的には、保育所などにおける保育の利用を希望し、申込みを行っているものの、保育所に入れられないという場合や、常態として養育を行っている配偶者が死亡したり、負傷・病気などにより養育が困難な状態になった場合です。 さらに、平成29年10月1日施行の法改正によって、子どもが1歳6か月になっても上記と同様の事情がある場合には、2歳になるまで育休を再延長することができます。

パパ・ママ育休プラス(両親ともに育休を取る場合の特例)

育休を取るのは母親、というのが実態としては多いと思いますが、父親も育児へ積極的に参加することが望まれます。 そこで、法律上、父親の育児参加が容易になるような特例が設けられています(「パパ・ママ育休プラス」と呼ばれています)。 具体的には、両親ともに育休を取る場合で、次の条件を満たす場合には、育休の対象となる子どもの年齢が「1歳未満」であったところが、「1歳2か月未満」と延長されます。もっとも、育休を取得できる期間は、原則として、これまでどおり1年間です。

  • 育児休業を取得しようとする労働者(以下「本人」)の配偶者が、子どもの1歳に達する日(1歳の誕生日の前日)以前において育児休業をしていること
  • 本人の育児休業開始予定日が、子どもの1歳の誕生日以前であること
  • 本人の育児休業開始予定日が、配偶者がしている育児休業の初日以降であること

たとえば、母親が産後休暇を8週間取った上、子どもが1歳になるまで育休を取得した後、復職し、その後父親が、子どもが1歳になった日から1歳2か月になるまで育休を取得するといったケースです。 なお、パパ・ママ育休プラスとして子どもが1歳2か月になるまで育休を取得している場合であっても、子どもが1歳以後に保育所に入れないなど上述の条件を満たせば、1歳6か月まで育休期間を延長することができます(同様に、2歳まで追加延長可能)。

[補足]子の看護休暇

育休を終えて復職しても、急な病気など、子どもに突発的な事態が生じた場合には、仕事を休んで対応せざるを得ません。そのような場合には「子の看護休暇」を取得することができます。 小学校に上がる前の子どもについて、ケガをしたり、病気になった場合、あるいは、予防接種や健康診断のために、一年度において子ども1人につき5日間、2人以上の子どもの場合は10日間を限度として、子の看護休暇が取得できます。なお、1日の所定労働時間が4時間を超える労働者については、半日単位で子の看護休暇を取得することも可能です。

育休以外の育児のための制度

育児をしながら仕事をするのは親である労働者にとって負担となるので、育児・介護休業法は、育休以外にも次ののような規制・制度を設けています。

所定外時間規制事業主は、3歳未満の子どもを養育する労働者が請求した場合、事業の正常な運営を妨げる場合を除き、所定労働時間を超えて労働させることはできません。

ただし、日々雇用労働者を除きます。また、労使協定がある場合、その事業主による雇用期間が1年未満の者や1週間の所定労働時間が2日以下の者も請求できません。

時間外労働規制事業者は、小学校就学前の子どもを養育する労働者が請求した場合において、事業の正常な運営を妨げる場合を除き、1か月に24時間、1年に150時間を超えた時間外労働をさせることはできません。

ただし、日々雇用労働者を除きます。また、労使協定がある場合、その事業主による雇用期間が1年未満の者や1週間の所定労働時間が2日以下の者も請求できません。

深夜労働規制事業者は、小学校就学前の子どもを養育する労働者が請求した場合において、事業の正常な運営を妨げる場合を除き、午後10時から午前5時までの間において労働させることはできません。

ただし、日々雇用労働者を除きます。また、その事業主による雇用期間が1年未満の者や深夜においてその子どもを常態として保育できる同居の家族がいる者、1週間の所定労働時間が2日以下の者、所定労働時間の全部が深夜にある者も請求できません。

短時間勤務制度3歳未満の子どもを持つ以下の条件を満たす労働者は、1日の勤務時間を6時間までに短縮するよう請求することができます。

①1日の所定労働時間が6時間以下でないこと
②日々雇用される者でないこと
③ 短時間勤務制度が適用される期間に現に育児休業をしていないこと
④労使協定により適用除外とされた以下の労働者でないこと
ア その事業主に継続して雇用された期間が3年未満の労働者
イ 1週間の所定労働日数が2日以下の労働者
ウ 業務の性質または業務の実施体制に照らして、短時間勤務制度を講ずることが困難と認められる業務に従事する労働者

育休中の給料はどうなる?

会社が定めるルール次第ではありますが、基本的に、育休中は、会社から給料はもらえなくなります。もっとも、その代わり、雇用保険から「育児休業給付金」が支給されます。

育児休業給付の取得条件

育児休業給付は、復職を前提として支給されるので、育休中に退職する予定の場合は支給されません。 もっとも、育休取得前は復職するつもりであっても、子どもと過ごすうちに気持ちが変わることもあるでしょう。 受給資格確認後に退職する予定となり、退職した場合は、その退職日を含む支給単位期間(原則として30日間)の一つ前の支給単位期間までは支給対象となります。 また、原則として、育休開始日前の2年間の中で、雇用保険に加入していた期間が12か月以上必要になります。 期間の定めのある労働者が育児休業給を受け取る場合は、1年以上の継続雇用の実績と、子どもが1歳6か月になるまでの間に労働契約が更新されないことが明らかでないこと必要があります。 産休に続いて育休を取得した女性の場合、出産日から58日目で支給対象となります。これは、産後8週間、すなわち、出産日を含めて57日間は産休であり、出産手当金の支給対象となっているからです。また、男性が育休を取得した場合は、配偶者の出産日から支給対象になります。

育児休業給付の金額

育児休業給付として実際に受け取る金額は、「休業開始時賃金日額×支給日数×67%」となります。ただし、育児休業の開始から6か月経過後は50%に引き下げられます。 休業開始時賃金日額とは、育休前6か月間の給料の総支給額(保険料等が控除される前の金額。賞与は除きます)を180で割った額です。 たとえば、平均月収20万円の方の場合は13.4万円前後が、6か月経過後は10万円前後が支給額となります。

育休の取得手続

育休を取得するには、まず会社の規定に従って人事部などへ届け出をします。できるだけ早い届け出が望ましいです。期限は、休業開始希望日の1か月前までとなっています。 その後、育休中の給付金のための「育児休業給付金支給申請書」と、育休中の社会保険料免除のための「育児休業等取得者申出書」を提出しましょう。多くの場合、その後の手続は会社が行ってくれます。

育休取得を会社が拒否した場合の対処法

労働者が取得条件を満たしていない場合を除き、会社は育休の申請を拒否できません。申請を拒否されてしまった場合は、法律の内容を確認しつつ、会社と交渉しましょう。 法令の正確な内容や説明は、厚生労働省のホームページでも閲覧・ダウンロードが可能です。 育休を取得できたものの、退職を勧奨または強要されたり、ひどい場合は解雇される(いわゆる育休切り)なども現実にあることです。 どちらも法で定めがある「不利益取扱いの禁止」に違反する行為ですので、できる限り客観的な証拠を揃え、各都道府県の労働局や労働基準監督署、弁護士などの専門家に相談しましょう。

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