退職代行会社を使った退職の適法性と対応について教えてください。

公開日: 相談日:2019年03月25日
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退職代行会社を使った退職の適法性と対応について教えてください。私は現在、ある会社のライン(会社の組織上の正式に設置されている部署の責任者とされているという意味)の管理職です。先日、自身のラインの部下(正社員)から退職代行会社を名乗る会社を通じ、本人が直ちに退職をしたいので退職の手続きを至急とり、離職票の交付など必要な手続きをして欲しいとのことでした。会社としては従業員本人との間で雇用契約を交わしており、就業規則上は退職する場合は原則1か月前に会社に連絡するよう定めています。また、入社の際に雇用契約書とは別に退職の際には引継ぎや退職に必要な手続きを履行した上で退職することを約した誓約書を書面で交わした上で雇用しています。一方で誓約書などには第三者を退職の際に介在させないことなどは約していません。他方で、退職代行会社についてですが、会社自体の素性や実態も良く分からない状態であり、本人の代理としての地位を持つものなのかよくわかりません。仮に誰かが悪戯で当該従業員が退職しようとしているなどといった虚偽の連絡をしている可能性も否定できません。この様な前提ですが、①退職代行会社を利用した退職は従業員と会社との間の関係に従業員側が会社に対して契約違反になるという法的責任はならのか。②退職代行会社の連絡をもって会社は退職手続きを採る法的な必要性があるのか。そもそも弁護士でもない退職代行会社なる存在は非弁行為に該当しないのか。③単に退職の意向を伝えるだけなら非弁行為にならない余地があるかもしれないが、退職代行会社がどこまで踏み込んだ内容の交渉ができるのか。④退職代行会社の介入があった場合、会社は本人へ直接連絡を取ることはできないのか。以上をお教えください。

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    初めまして。弁護士の結城と申します。
    大変お困りのことと存じます。以下のとおり、ご質問に回答いたします。

    ①→退職代行会社を利用したこと自体によって従業員に何か責任が生じるということは無いと考えます。もっとも、後記②への回答のとおり、退職の意思表示自体が無効と解されることから、そのまま本人から連絡がなければ無断欠勤と同様の状態であることから、労務提供義務の債務不履行状態であり、懲戒処分等の対象とはなるでしょう。

    ②→現時点で明確に判断した裁判例等は無いものの、弁護士資格を持たない退職代行会社による退職の意思表示は、いわゆる非弁行為(弁護士法72条)に該当する可能性が高いと考えます。また、非弁行為に該当した場合、私法上の効力も無効になると解されています。会社としては、非弁行為に該当することから有効な退職申出と取り扱うことはできない旨業者及び労働者本人に伝えるという対応は考えられます。

    ③→退職代行業者は、具体的な退職日や、有休消化、業務引継ぎ等について交渉する権限は持ちません。また、退職の意向を伝えるだけであっても、退職という法的効果を生じさせるものであり、非弁行為に該当する可能性は高いと考えます。
    もっとも、単に退職の意向を伝えるのみであれば、状況によっては、退職申出自体は受理してあげた方が無用なトラブルを防げるケースはあるでしょう。ただし、この場合も、本人の意思確認は慎重に行うべきです(ご指摘のとおり、悪質ななりすまし等の可能性も否定できません。)。

    ④→弁護士資格を持たない退職代行会社は本人を代理することはできませんので、会社が労働者本人に直接連絡を取ることは自由です。

この投稿は、2019年03月時点の情報です。
ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。

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