相続

弁護士監修記事 2018年02月21日

【相続】亡くなった人の預金口座を解約しない方がいいケースとは

家族の誰かが亡くなって相続の手続きを進めるときには、亡くなった人の預金口座を解約する手続きを行います。 しかし、解約をせずにそのまま放置した方がよい場合もあるようです。 どのような場合なのか、「みんなの法律相談」に寄せられた実際の相談事例と弁護士の回答を元に解説します。

目次

  1. 預金口座を解約しない方がよいケースとは?
  2. 相続放棄をする場合、口座はどうする?

預金口座を解約しない方がよいケースとは?

亡くなった人名義の預金口座を解約しない方がよいのは、どのようなケースなのでしょうか。

故人の預金通帳解約の件


相談者の疑問
夫が亡くなって預金通帳などの解約をしたいのですが、色々と準備する書類があって面倒です。

事実、凍結もされていないので、銀行の人は亡くなったことを知らないのだと思います。

通帳の残高もほとんどありませんし、亡くなったと余計なことを言わずに勝手に解約できないでしょうか?


鈴木 克巳弁護士
御主人が亡くなったことを金融機関にお話して、御主人の相続人全員が金融機関の所定の用紙に署名捺印(実印にて)し、相続人全員の印鑑証明書を揃えて提出する(その他、御主人が生まれてから亡くなるまでの改製原戸籍謄本・除籍謄本の全て、各相続人の戸籍謄本など、提出しなければならない文書があります)ことが必要です。

預金の残高が大した金額ではないとのことですと、上記の文書取寄せ費用や手続きの煩雑さを考えたときに、解約しないでそのまま放置という選択肢もあります(銀行が得をするので、悔しい話ですが)。

亡くなった人の預金口座を解約するには、相続人全員の印鑑証明書のほか、亡くなった人の死亡から出生までの改製原戸籍謄本・除籍謄本の全て、各相続人の戸籍謄本など多くの書類が必要になるようです。 書類の取寄せには手間も費用もかかるため、預金口座の残高が少ない場合は、解約せずに放置することを検討してもよい場合もあるようです。

相続放棄をする場合、口座はどうする?

亡くなった人に借金などがあり、相続放棄をする場合、口座はどうすればよいのでしょうか。解約などをした方がよいのでしょうか。

相続放棄 銀行口座はどうしたらいいですか?


相談者の疑問
父が亡くなり負債が多いので相続放棄の手続きをする予定です。

私を含む子どもや祖父・叔父全員が相続放棄します。父名義の銀行の通帳やキャッシュカード・印鑑、財布にあった現金は私が保管しています。

各銀行へ連絡して口座の凍結や解約などした方がよいのでしょうか?それとも何もせずこのまま保管しておけばよいでしょうか?

また、ネットバンキングのキャッシュカードがあるのですが、通帳がないため残高などがわかりません。


鈴木 克巳弁護士
◆ 特に何もしなくても問題はありませんが、各金融機関(ネットバンキングを含む)にお父様が亡くなったことと、今後は、相続放棄をするので、一切手続はしないことを言っておかれてもいいと思います。

◆ ご注意いただきたいのは、決して解約してはならないということです。解約という手続は、相続の承認に当たります。相続人でなければ解約という行為はできないからです。

◆ お父様の財産ですが、これは事実上管理ということでいいかと思います。形見分けの類い(服とか靴とか、市場性のないもの)は、もらっても大丈夫です(放棄ができなくなるということにはなりません)し、ブランド品ではない財布程度であれば、後々問題になることはないでしょう。

また、通帳それ自体は、価値のあるものではないので、捨ててしまっても問題はありませんし、印鑑は、それだけでは価値のある物とは評価できないので、形見分けの類いとしてもらってしまっても大丈夫だと思います。

ただし、現金とか、価値ある動産類は、保管していくしかありません。処分となると、これもまた、相続人でないと処分権限がないことになりますので、問題となります。

◆ 法的に一番正しい回答は、相続財産管理人選任の申立てをして、管理人に財産管理を引き継がせるということになるのですが、財産的価値があるものがほとんどないような方の場合、相続財産管理人選任の申立てをするということは実務上なされていません。

よって、ひたすら、事実上管理し続けるしかないということになります。

◆ ただ、いつまでも捨てることができないと困るというお話になりますが、これはあくまで私見ですが、私としては、10年が経過すれば、お父様の債権者の債権も時効消滅しますので、この段階になれば、多少価値あるものでも捨ててしまってもいいのではないか(第三者から追及されることはないので)と思っています。

相続放棄をする場合、口座を解約してしまうと、「相続を承認した(プラスの財産もマイナスの財産も全て引き継ぐという意思表示をした)」と見なされて、相続放棄ができなくなる可能性があるようです。 相続放棄をする場合は、口座に手をつけないようにしましょう。

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