遺留分

弁護士監修記事 2018年02月21日

遺留分すら渡したくない相続人がいる…どうすればよい?

一部の相続人には、遺留分という最低限の取り分が保証されています。ある相続人に一切財産を相続させたくない場合でも、遺留分を主張されれば、一定分を取り戻されてしまいます。 では、遺留分を減らすことや、遺留分すらも渡さないことはできるのでしょうか。「みんなの法律相談」に寄せられた実際の相談事例と弁護士の回答を元に解説します。

目次

  1. 遺留分を減らすことはできる?
  2. 遺留分すら渡したくない場合にできることは?
  3. 遺留分を放棄させるには?
  4. まとめ

遺留分を減らすことはできる?

alt 遺留分を減らすことはできるのでしょうか。

遺言状での遺産相続の遺留分は減らせますか?


相談者の疑問
私には兄が1人おります。兄は母と絶縁状態で、将来的に母が所有する土地を私1人に相続したいと申しています。その土地は先祖代々受け継いでいることから、他に売り渡したくないと私も母も考えています。

そこで母が遺言状を残すと言っていますが、たとえ全て私に受け継ぐと書き残したとしても兄には遺留分という権利があると聞きました。

1遺留分とはどの程度権利がありますか?

2遺留分をできるだけ減らすために母が生きている間に準備できることはありますか?(母の生活費などは現在全て私が払っています)

3遺留分として土地を渡すのでなく、お金で強制的に解決することは可能でしょうか?
(兄が土地がほしいと言い張った場合)


高島 秀行弁護士
1遺留分とはどの程度権利がありますか?

相続人が兄とあなたの2人であれば、兄には4分の1の遺留分があります。

2遺留分をできるだけ減らすために母が生きている間に準備できることはありますか?

母親名義遺産を減らすことだと思います。生活上の支出はお母さんの預貯金で出すようにして、不足分はあなたが貸しつけることとするのがよいと思います。

3、 遺留分として土地を渡すのでなく、お金で強制的に解決することは可能でしょうか? (兄が土地がほしいと言い張った場合)

あなたに対し、遺産を全部相続させるという遺言があって、兄が遺留分を行使してきた場合にあなたは金銭で支払うと主張することが、法律で認められているので、あなたが遺留分を金銭で支払うと主張すれば兄が土地がほしいと頑張っても土地を取得することはできません。

遺留分を減らすためには、生前に生活費として使う、贈与するなどして、相続財産を減らすことが有効なようです。

遺留分すら渡したくない場合にできることは?

alt 遺留分をゼロにすることはできないのでしょうか。

遺留分についての相談


相談者の疑問
私は今現在、33歳の独身です。近いうちに、私の意思のもとで遺言状の作成をする予定でいます。

遺言状には、親・兄弟などの親族の関係には相続の権利はないことと、亡くなった時点での私の遺産を国に寄付することを書く予定です。しかし、ここで問題なのは遺留分のことについてです。

今現在の時点では、遺留分の権利を主張できる親族は、私の父です。しかし、父親は私に対して、暴言や私に対しての侮辱をするなどの虐待をした上に、最近では、再婚した後妻と一緒になって、私が亡くなった時の遺産相続に関して、こだわるような発言をするなど、普通の親とは思えない行為をしています。

そんな親には、私が父親より先に亡くなっても、遺産どころか遺留分を得る権利などは与えたくないです。

1.遺留分の権利に関しては、法律上どのようなことでしょうか?
2.父親に対しての遺留分の権利を失くしたいですが、どのような手続きがありますか?
3.遺留分の権利を失うにあたっての理由とかは、どのようなことが該当するのでしょうか?


高島 秀行弁護士
1.遺留分の権利に関しては、法律上どのようなことでしょうか?

国に遺贈するとしても、お父さんだけが相続人である場合は、お父さんは法定相続分である全部の3分の1を国に請求できます。この権利が遺留分となります。

2.父親に対しての遺留分の権利を失くしたいですが、どのような手続きがありますか?

著しい虐待や重大な侮辱があれば相続人から廃除することが可能です。遺言で相続人の廃除をする場合は、あなたの死後家庭裁判所に相続人の廃除をする遺言執行者を定めておく必要があります。

3.遺留分の権利を失うにあたっての理由とかは、どのようなことが該当するのでしょうか?

相続人からの廃除は、被相続人に対して虐待をした場合、重大な侮辱をした場合、その他著しい非行があった場合に認められます。ただし、かなりハードルは高いです。

あなたがお父さんよりも長く生きるかお父さん以外の相続人を作ることの方が簡単だと思います。

遺留分すらも渡したくない相続人がいる場合、その人について推定相続人廃除の申立てを行えば、家庭裁判所の許可のもと、相続人から外すことができます。廃除された人は、遺留分を請求することもできません。 ただし、推定相続人廃除は一定の条件を満たす必要があり、簡単には認められないようです。

遺留分を放棄させるには?

alt 遺留分を渡さないためにできることとして、財産を渡したくない相続人に「遺留分を放棄させる」という方法もあるようです。

遺留分の放棄について


相談者の疑問
前妻との間に2人の子どもがいます(2人とも未成年)。今は再婚して1人の子どもがいます。前妻の未成年の子ども2人に遺留分の放棄をしてもらう方法はあるでしょうか?


寺尾 幸治弁護士
相続の開始前の遺留分放棄は、家裁の許可が必要です。前妻とのお子さんが未成年なら、親権者の前妻の方が、許可の申立てをすることとなります。

しかし、本人ら、または、親権者の意思に反して、強制的に放棄させることは、難しいと思われます。


梅村 正和弁護士
遺留分の放棄は被相続人の生前でもできますが、被相続人の生前の遺留分放棄は、家庭裁判所の許可が必要です。

未成年の場合は、親権者などが代理でする形になるので、未成年の子の利益を考えて、裁判所が許可しない可能性はあります。

本人の意思に反して強制的に遺留分を放棄させることはできないでしょう。放棄をさせたい人が未成年の場合、家庭裁判所が許可しない可能性もあるようです。 推定相続人廃除と同様、遺留分放棄もハードルは高いと言えそうです。

まとめ

遺留分を減らすためには、相続財産自体を減らす対策を行う必要があるようです。遺留分すらも渡したくない場合は、その相続人について推定相続人廃除の申立てを行うことで、相続人から外すことができます。 ただし、推定相続人廃除を家庭裁判所に認めてもらうためには一定の条件を満たす必要があり、ハードルは高いと言えるでしょう。 財産を渡したくない相続人に遺留分を放棄させるという方法もありますが、こちらも家庭裁判所の許可が必要で、ハードルは高いと言えそうです。

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