相続

2018年02月16日

1人の相続人に全財産を与えたい!生前にできる対策はある?

自分の全財産を、1人の相続人だけに相続させることはできるのでしょうか。生前に対策が必要なのでしょうか。

  • 遺言書を書けば実現できる?
  • 遺留分を与えないことはできる?
  • 遺留分放棄が認められないのはどんなケース?

こういった疑問について「みんなの法律相談」に寄せられた実際の相談事例と弁護士の回答を元に解説します。

目次

  1. 1人の相続人に全財産を相続させるには?
  2. 遺留分を与えないことはできる?
  3. 遺留分の放棄が認められないこともある?
  4. まとめ

1人の相続人に全財産を相続させるには?

alt 1人の相続人だけに全財産を相続させることはできるのでしょうか。遺言書にそのような内容を書けばよいのでしょうか。

一人だけに相続させたい


相談者の疑問
長男(既婚)と嫁に行った長女のうち、息子は素行が悪いので長女だけに全財産(土地建物預貯金)を相続させたいのですが、遺言書を作成すれば可能でしょうか。


辰野 真也弁護士
相続人には「遺留分」といって、最低保証額がありますので、もし息子さんが遺留分を主張すれば、遺言がどうあれ、その分は確保されることになっています。

息子さんが「遺留分はいらない」と言ってくれたときのみ、全て娘さんに渡せるのです。

不用意に「娘に全部相続させる」という遺言を残すと、遺留分を求めた息子さんが娘さんを訴え、両者間で裁判になることがあり得ます。

費用はかかりますが、弁護士のアドバイスを聞きながら遺言の作成をされる方がよいと思います。

今かかる費用と比べると、お子さん同士で裁判になった場合に生じる弁護士費用の方がはるかに高額です。結果的に安くなるとも言えますので、お近くの弁護士に相談に行かれることをお勧めします。

一定の相続人には、遺留分という最低限の相続分が認められているようです。 遺言書で「●●に全ての遺産を与える」と書いたとしても、他の相続人が遺留分を主張した場合、遺産の一部を取り戻されてしまうでしょう。

遺留分を与えないことはできる?

alt 「遺留分も渡したくない」という希望を叶える対策はあるのでしょうか。

遺言書の書き方について


相談者の疑問
数年前に離婚し相続人は息子と娘ですが娘にすべて相続させたいと思っています。

色々調べると遺留分というのがあるようですが、そのことを考慮して遺言書を書くべきなのでしょうか?


奥田 真与弁護士
娘さんに全財産を相続させたいとの理由にもよりますが、合理的な理由があるなら、その旨息子さんに説明し、生前に息子さんにある程度の財産を渡し、遺留分を放棄してもらって(家庭裁判所の許可が必要 民法1043条)、その上で全ての遺産を娘さんに相続させるという遺言をするのが一番確実な方法だと思います。

遺言書の書き方については、公正証書遺言が確実と思われます。公証人役場に相談されるとよいと思います。

家庭裁判所の許可のもと、全財産を相続させたい相続人以外の人に、遺留分を放棄させるという方法があるようです。この場合、遺留分を放棄させたい相続人には、生前にある程度の財産を渡しておくなどの対策が必要になるでしょう。

遺留分の放棄が認められないこともある?

alt 遺留分の放棄には家庭裁判所の許可が必要なようです。許可が下りない場合もあるのでしょうか。

遺留分の放棄について


相談者の疑問
前妻との間に2人の子どもがいます(2人とも未成年)。今は再婚して1人の子どもがいます。前妻の未成年の子ども2人に遺留分の放棄をしてもらう方法はあるでしょうか?


寺尾 幸治弁護士
相続の開始前の遺留分放棄は、家裁の許可が必要です。前妻とのお子さんが未成年なら、親権者の前妻の方が、許可の申立てをすることとなります。

しかし、本人ら、または、親権者の意思に反して、強制的に放棄させることは、難しいと思われます。


梅村 正和弁護士
遺留分の放棄は被相続人の生前でもできますが、被相続人の生前の遺留分放棄は、家庭裁判所の許可が必要です。

未成年の場合は、親権者などが代理でする形になるので、未成年の子の利益を考えて、裁判所が許可しない可能性はあります。

本人の意思に反して強制的に遺留分を放棄させることはできないでしょう。放棄をさせたい人が未成年の場合、家庭裁判所が許可しない可能性もあるようです。

まとめ

全財産を1人の相続人に相続させるためには、遺言書に「●●に全財産を相続させる」と書くだけでは不十分なようです。 そのような内容の遺言書を書いたうえで、遺留分の権利がある相続人に遺留分を放棄させれば、全財産を1人の相続人に相続させることができるでしょう。 ただし遺留分の放棄には家庭裁判所の許可が必要です。トラブルを避けるためにも、遺留分を放棄させたい相続人には、生前にある程度の財産を渡しておくなどの対策が必要になるでしょう。

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