子どもがいない夫婦が相続でもめないためにできる対策【弁護士Q&Aまとめ】

子どもがいない夫婦が将来の相続対策を行う場合、どのような対策が有効なのでしょうか。対策を行うときにどんなことに注意すればよいのでしょうか。

  • 子どもがいない夫婦が遺産分割に備えてできる対策
  • 遺言書を作成するときのポイント
  • 前の配偶者との間の子どもがいる場合の相続対策

これらについて「みんなの法律相談」に寄せられた実際の相談事例と弁護士の回答を元に解説します。

目次

  1. 子どもがいない夫婦の相続対策とは?
  2. 遺言書を作成するときのポイントは?
  3. 元配偶者との間に子どもがいる場合の対策は?
  4. まとめ

子どもがいない夫婦の相続対策とは?

alt 子どもがいない夫婦が、将来相続が発生したときにスムーズに遺産分割を行うためには、どのような対策が有効なのでしょうか。

子供のいない夫婦の遺言書について

相談者の疑問 子どものいない夫婦で、現在42歳の主婦です。主人がもし先に亡くなってしまった場合、子どものいない夫婦は兄弟が相続に入り、大変だと知人から聞きました。主人には、どのように、いつ遺言を書いてもらえばよいのでしょうか。

松丸 伸一郎の写真 弁護士の回答松丸 伸一郎弁護士 夫に、夫の全財産をあなた(妻)に相続させるとの遺言書を書いてもらうことによって、夫の遺産は全部あなたが相続することになり、夫の兄弟が相続することはありません。

遺言書がないと、あなたと夫の兄弟が相続することになります。

なお、夫の兄弟には遺留分はありませんので、遺留分減殺ということもありません。

子どもがいない夫婦の場合、配偶者の兄弟姉妹が相続人となることがあるようです。彼らと遺産の分け方をめぐってトラブルになることを避けたい場合、配偶者に、全財産を自分に相続させるという内容の遺言書を書いてもらうとよいでしょう。 配偶者の兄弟姉妹には遺留分(遺産の最低限の取り分)がないため、遺産の一部を取り戻される心配もないでしょう。

遺言書を作成するときのポイントは?

alt 子どもがいない夫婦の相続対策としては、遺言書の作成が1つの方法といえそうです。遺言書を作成する際に気をつけたいポイントはあるのでしょうか。

子供がいない夫婦の遺言書についてお尋ねします。

相談者の疑問 子どもがいない夫婦です。双方に母親と既婚の子供がいる兄弟がいます。夫婦のどちらかが亡くなった場合お互いに遺産は配偶者のみに渡るようにしたいと思っております。

1 自筆で配偶者のみに遺産がいくように書き、名前、日付、印鑑を押した遺言書は有効でしょうか?

2 母健在の場合、遺言書があっても遺留分として6分の1が母にいくとありましたが、兄弟には遺留分はないのでしょうか?

3 母が亡くなっている場合は遺言書があれば全額配偶者に相続させられるのでしょうか?

森田 英樹の写真 弁護士の回答森田 英樹弁護士 1 自筆で配偶者のみに遺産がいくように書き、名前、日付、印鑑を押した遺言書は有効でしょうか?

・包括的遺言ですね。自筆証書遺言でも有効です。ただ被相続人が死亡した段階で家庭裁判所に検認手続をする必要があり、更に要件不備などで遺言無効訴訟などを提起される可能性がありますので、できれば公正証書遺言になさるのがよいです。

2 母健在の場合、遺言書があっても遺留分として6分の1が母にいくとありましたが、兄弟には遺留分はないのでしょうか?

・ありません。

3 母が亡くなっている場合は遺言書があれば全額配偶者に相続させられるのでしょうか?

・兄弟には遺留分がありませんのでそうなります。

遺言書を「自筆証書遺言」の形式で作成すると、相続発生後に家庭裁判所で検認を行う必要があります。また、内容が有効かどうかをめぐって相続人間で争いになる可能性もあるようです。 遺産分割の話合いをスムーズに進めたい場合は、「公正証書遺言」の形式で作成するとよいでしょう。 公正証書遺言は検認の必要がなく、公証役場で公証人のアドバイスを受けながら作成するため、書き方の間違いなどで無効になるリスクが少ないです。遺言書の有効性をめぐって争いになる可能性を避けられるでしょう。

元配偶者との間に子どもがいる場合の対策は?

alt 夫婦に子どもがいなくても、離婚した元配偶者との間に子どもがいる場合、相続対策として行った方がよいことはあるのでしょうか。不動産を購入するケースを想定して解説します。

前妻の子供への相続対策

相談者の疑問 旦那には前妻との間に子どもが2人います。

これからマンションを購入し頭金の500万円は私が独身時代の貯金を使用したとして、万が一20年後に旦那が亡くなった場合、半分を妻、残りの半分を前妻の子ども達に遺産相続として分ける必要があるかと思います。

頭金で払った私の500万円はそこから引かれるのでしょうか?その時のマンション価値が2000万円だとしたら、頭金の500万円を引いた1500万円が相続財産になるのでしょうか?

新保 英毅の写真 弁護士の回答新保 英毅弁護士 夫名義であれば、夫の逝去により、法定相続分(妻である相談者2分の1、残り2分の1を子どもらで頭割り)で承継するのが原則です。

対策として、①相談者が資金拠出した500万円に相当する持分の4分の1は相談者の名義にする(夫婦の共有名義とする)、②夫に本件マンション(を含む全財産)を相談者に相続させることの公正証書遺言を書いてもらうことです。

なお、遺言があったとしても、子どもらには遺留分として、法定相続分のさらに2分の1(全体の4分の1)の最低保障分は残ります。

上記のケースのように、前妻との間に子どもがいる夫婦が不動産を購入する場合は、資金を出した割合に応じて夫婦の共有名義にしておくことが相続対策となるようです。その上で、配偶者に全ての遺産を相続させるという内容の遺言書を作成するとよいでしょう。 ただし兄弟姉妹と違い、前妻との間の子どもには遺留分があるようです。子どもが遺留分減殺請求を行った場合、遺産の一部を取り戻されることになるため、配偶者が全ての遺産を相続することは難しいでしょう。

まとめ

子どもがいない夫婦の場合、相続が発生すると、配偶者の兄弟姉妹が相続人になることがあります。 遺産の分け方をめぐって兄弟姉妹とトラブルになりそうな場合、事前に「配偶者に全ての遺産を相続させる」という内容の遺言書を作成することで、遺産分割の話合いがスムーズに進むでしょう。兄弟姉妹には遺留分がないため、遺産の一部を取り戻されることはありません。 配偶者と前妻との間に子どもがいる場合、その子どもには遺留分があるため、「配偶者に全ての遺産を相続させる」という遺言を作成しても、遺産の一部を取り戻される可能性があります。

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