相続

弁護士監修記事 2018年02月13日

借金を抱えたが親族が亡くなったら…知らない間に借金を相続することになる?

親や配偶者に多額の借金があることがわかっている場合、彼らが亡くなって相続が発生する前に、相続放棄の手続きを行って安心したいと思う人もいるかもしれません。

  • 被相続人が生きている間に、相続放棄の手続きを行えるの?
  • 相続放棄の期限は?
  • 相続放棄の手続きを行う上での注意点は?

これらの疑問について「みんなの法律相談」に寄せられた実際の相談事例と弁護士の回答を元に解説します。

目次

  1. 生前に相続放棄の手続きを行える?
  2. 死亡したことを知らずに3か月以上経ってしまったら?
  3. 相続放棄をする場合の注意点とは?
  4. まとめ

生前に相続放棄の手続きを行える?

alt 相続が発生する前でも、相続放棄の手続きを行えるのでしょうか。

生前の相続放棄について


相談者の疑問
1000万円くらいの借金をして父親が逃げ回っています。父親が亡くなる前に相続放棄の手続きをすることはできないでしょうか?


新保 英毅弁護士
被相続人の生前に相続放棄をすることはできません。相続放棄の申述期間は、相続開始を知ってから3か月以内です。

したがって、父が逝去したことを知ってから3か月以内に家庭裁判所に相続放棄の申述をすればよいので、心配される必要はないでしょう。(父の逝去を知らなければ、放棄の期間は進行しません)

相続放棄は被相続人の生前には行えないようです。相続発生後3か月以内に家庭裁判所に対して手続きを行うことになるでしょう。 相続が発生すると自動的に借金を引き継いでしまうのでは?と思う人もいるかもしれませんが、そうではありません。決められた期限内に相続放棄の手続きを行えば、借金の返済義務を負うことはないでしょう。

死亡したことを知らずに3か月以上経ってしまったら?

alt 相続放棄の手続きは、相続発生後でなければ行えないようです。では、被相続人と疎遠で、亡くなったことを知らないまま3か月が経過してしまった場合、相続放棄はできないのでしょうか。

相続放棄の期限について


相談者の疑問
借金ばかり残して亡くなった父親の相続放棄の手続きができるのは、亡くなってから3か月以内でしょうか?それとも亡くなったのを知らされてから3か月以内でしょうか?


齋藤 健博弁護士
それとも亡くなったのを知らされてから3か月以内でしょうか?
→基本はこちらです。下記の条文が根拠になります。

(相続の承認又は放棄をすべき期間)
第九百十五条 相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から三箇月以内に、相続について、単純若しくは限定の承認又は放棄をしなければならない。ただし、この期間は、利害関係人又は検察官の請求によって、家庭裁判所において伸長することができる。

ただ、子どもの場合は、通常すぐに亡くなったことを知ることが多いので、亡くなってから3か月以内とカウントされるケースが多いです。

しかし、お父様と疎遠になっていた事情があれば、原則に戻り、「知った時」から3か月以内となります。

ご参考までに。

相続放棄の手続きを行う期限である「3か月以内」というのは、「自己のために相続の開始があったことを知ったとき」からカウントされるようです。 被相続人と疎遠で、亡くなったことがすぐにわからなかった場合でも、「亡くなったことを知ったときから3か月以内」に手続きを行えば問題ないようです。

相続放棄をする場合の注意点とは?

alt 相続放棄の手続きを行う上で注意したいのが、法律のルールで決められた一定の行為をすると、相続放棄ができなくなってしまう可能性があるということです。どのような行為なのでしょうか。

相続放棄と滞納家賃の請求、家財道具の撤去について


相談者の疑問
先日、伯父(母の兄)が亡くなりました。伯父の妻(私の伯母)と両親(私の祖父母)は既に亡くなっており、兄弟は妹になる母のみです。

死亡の連絡を受けた際に、家賃を滞納していること、借金があるかもしれないことを聞きました。多額の借金をしていた場合には返済できませんので、相続放棄を行うつもりでいます。

大家さんから滞納していた家賃と室内に残っている家財道具の撤去を求められています。まだ相続放棄の手続きは行っていませんが、家賃と家財道具の撤去、原状回復を行う必要はあるのでしょうか?

母が相続放棄を行った場合に母の従兄妹や伯父叔母(祖母の兄弟)が相続人になってしまうことはあるのでしょうか?

また、伯父宅に祖父母の位牌と伯母の位牌、祖母の遺骨がありました。伯母の位牌は無理でも、祖父母の位牌と祖母の遺骨は持ち出して供養してあげたいのですが、持ち出しても大丈夫でしょうか?


西田 広一弁護士
相続財産の処分をしてしまうと、法定単純承認となってしまいます。ですから、相続放棄をするならできるだけ相続財産には触らない方がよいでしょう。相続放棄をしてしまえば、撤去や原状回復の義務もなくなりますから、家主から請求されるいわれもありません。

ただ、家主に迷惑をかかないため、家財の撤去のみ行いこれを家などに保管しておくという方法がよいでしょう(その範囲なら単純承認となりません)。おっしゃる親族は相続人となりません。

位牌、遺骨は、葬祭の対象物で取引価値のあるものではないので持ち出ししても単純承認にはなりません。

なお、相続放棄すると、滞納家賃の支払義務はありませんし、原状回復義務もありません。これらを相続財産で支払など行うと単純承認となしますが、あなたの出費で支払う分には問題ありません。

遺産の一部を使ってしまったり、売ってしまったりすることは、「法定単純承認」と見なされる可能性があります。法定単純承認にあたる行為をすると、「相続することを認めた」と扱われ、相続放棄ができなくなってしまうようです。

まとめ

被相続人が生きている間に相続放棄の手続きを行うことはできないようです。相続が発生してから3か月以内に手続きを行えば、借金などの負債を引き継いでしまうことはないでしょう。 ただし、相続財産の一部を処分するなど、法定単純承認とみなされる一定の行為をしてしまうと、相続放棄ができなくなくなる可能性があるため、注意しましょう。

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