相続

2018年02月09日

今住んでいる家を他の人が相続することに…すぐ退去しければならないのか?

亡くなった人名義の家に住んでいるが、その家を他の人が相続することになった場合、すぐに退去しなくてはならないのでしょうか。 こうした疑問について「みんなの法律相談」に寄せられた実際の相談事例と弁護士の回答を元に解説します。

目次

  1. 今住んでいる家を他の人が相続することになったら?
  2. 亡くなった人と内縁関係だった場合は?
  3. まとめ

今住んでいる家を他の人が相続することになったら?

alt 亡くなった人名義の家に住んでいるが、遺言書に「自宅を他の相続人に相続させる」という内容が書かれている場合、すぐに退去しなければならないのでしょうか。

公正証書の効力について


相談者の疑問
公正証書遺言が見つかりました。自分が今住んでいるところが姉の相続になっていますが、すぐに出なくてはいけないのですか。


鈴木 克巳弁護士
◆ 遺言公正証書で「貴殿が居住している不動産(遺産)を姉に相続させる」と書かれていれば、それは、相続開始と同時に、姉に所有権が帰属します。したがって、貴殿は姉に対して、不動産を明け渡すべき義務があると一応は言えます。

◆ しかし、その遺言公正証書の内容が非常に姉に有利な内容となっていて、貴殿の遺留分を侵害しているようなものであれば、貴殿は、姉に対して遺留分減殺請求をすることが可能です。

◆ 遺留分減殺請求を行使すれば、貴殿は、上記の不動産についても、貴殿の遺留分に相応する持分を取得することができます。

そうなると、姉は、貴殿の遺留分に相応する金額を貴殿に支払うということ(価額弁償)をしないと、貴殿の持分を消滅させることはできず、それまでの間は、貴殿は、姉からの不動産の明け渡し請求を拒むことができます。

◆ 遺留分が侵害されているような公正証書なのかどうか、この辺りの判断は、遺産の評価の問題もあり、弁護士にきちんとご相談なされるべきかと思います。

◆ また、公正証書がすべての遺産について書かれているものではなく、公正証書に書かれていない価値ある遺産があるような場合は、その価値ある遺産についての遺産分割協議が必要となりますので、ご注意下さい。

◆ お近くの弁護士に面談相談なされることをお勧め申し上げます。

遺言書で、亡くなった人名義の家を相続する人が指定されている場合、相続開始と同時にその人が家の所有者となるようです。自分ではない人が家の相続人に指定されている場合は、退去して、その人に家を明け渡さなければならないでしょう。 遺留分を侵害されている場合は、遺留分減殺請求をすることで、遺留分に相当する金額を受け取るまでは家の明け渡しを拒むことができるようです。

亡くなった人と内縁関係だった場合は?

alt 亡くなった人名義の家に住んでいるが、内縁関係の場合、相続人からの退去要求に応じる必要はあるのでしょうか。

内縁の妻名義のマンションから追い出されかけています。


相談者の疑問
内縁の妻が今年の初めに亡くなりました。マンションの名義は妻にしていました。妻の兄が唯一の相続人ですが、最近「出て行ってほしい」と言われています。

私は内縁なので法律上の権利はないのですが、出て行かなくてはならないのでしょうか?マンションの支払には私のお金も使っていますが、妻に現金を手渡ししているので証拠がありません。

10年半ほど暮らしてきましたし、妻の思い出のある住まいから出たくないのです。妻の財産はこのマンション以外、全てその兄が持って行きました。

妻の方が若く、内縁の遠慮もあってマンションの名義は妻にしていました。追い出されない方法はないのでしょうか?


濵門 俊也弁護士
この問題は、古いですがいまだに存在する法律問題です。

内縁の奥様に相続人がいない場合は、借地借家法の保護があるのですが、相続人がいた場合には、本件の問題が顕在化します。

法定相続人による明渡請求がなされれば、貴殿にとって生活上あまりにも影響が大きすぎます。そこで、居住する権利の主張を認めた裁判例があります。

ただ、あくまでも居住権を認めただけであり、内縁配偶者の相続権を認めたわけではありません。また、あくまでも裁判例ですから、すべての場合に適用されるわけでもないことにはご注意ください。

①賃借権は相続人に相続されること、また、内縁の妻は相続人が相続した賃借権を援用して賃貸人に対して建物に居住する権利を主張できることを確認した判決。
(最高裁判昭和42年2月21日判決)

②賃借権の相続人にその建物を使用すべき差し迫った必要性がないような場合などは、相続人が内縁の妻に対してその建物の明渡を請求することが権利の濫用に当たるとして、明渡請求は認められないとした判決。
(最高裁判昭和39年10月13日判決)

亡くなった人と内縁関係にあった人には相続権がないため、本来であれば、亡くなった人名義の家に住み続けることはできないようです。 ただ、いくつかの裁判例では、内縁関係の人にも家に住み続ける権利を認めており、絶対に退去しなければならないとも言い切れないでしょう。

まとめ

亡くなった人名義の家から退去するよう迫られたとしても、必ずしもすぐに出なければならないわけではないようです。 遺言書が遺留分を侵害する内容だった場合、遺留分減殺請求をすることで、遺留分に相当する金額を受け取るまでは家の明け渡しを拒むことができるでしょう。 亡くなった人と内縁関係だった人は、相続権がないため、本来であれば亡くなった人名義の家に住み続けることはできず、明渡しに応じなければならないでしょう。 ただし、裁判例の中には、内縁関係の人に対して、家に住み続ける権利を認めるものもあるようです。

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