納骨の方法をめぐって親族で対立…遺骨の所有権は誰にある?

家族の誰かが亡くなった後、納骨の方法について意見が分かれることがあるかもしれません。

  • そもそも遺骨は誰のもの?
  • 祭祀承継者はどうやって決まるの?
  • 祭祀承継者の責任の範囲は?

これらの疑問について「みんなの法律相談」に寄せられた実際の相談事例と弁護士の回答を元に解説します。

目次

  1. 遺骨の所有権は誰にある?
  2. 祭祀承継者はどうやって決まる?
  3. 祭祀承継者の義務は?
  4. まとめ

遺骨の所有権は誰にある?

alt そもそも遺骨は誰のものなのでしょうか。所有権は誰にあるのでしょうか。

遺骨の所有権について。なんらかの手段はありますでしょうか?

相談者の疑問 先日、祖母がなくなりました。葬儀、火葬はすませ、納骨の手前の段階です。

祖母の子どもは2人のみで、長女、次女という構成です。どちらも既婚者で祖母とは名字が違います。

祖母と一緒に住んでいたこともあり一応、喪主は長女となっておりますが、葬儀代、火葬代は完全に次女と折半しました。

長女の意向により、公営の合葬式墓地(直接合葬)にするということでした。次女としては、個人墓に入れてあげたいようですが今現在お墓はありません。また、長女は、自分が喪主であるから好きなようにするという主張です。

そもそも次女に遺骨の所有権がないのであれば諦めるしかないと思いますが、所有権があるのならば、直接合葬される前にくい止めたいです。なんらかの手段はありますでしょうか?

加藤 尚憲の写真 弁護士の回答加藤 尚憲弁護士 判例・通説によれば、遺骨は、祭祀承継に関する財産(たとえば、お墓や仏壇がこれにあたります)として、祭祀承継者のみに帰属します(東京高判昭和62年10月8日など)。

祭祀承継者が誰かについては、ご記載の事情からは確定的に判断できるものではありませんが、特段の事情がない限り、お祖母さんと同居し、喪主を務めた長女の方が祭祀承継者に最も近い立場にあると思われますから、仮に裁判所の審判で祭祀承継者を指定した場合、長女さんが祭祀承継者になる可能性が高いと思います。

したがって、あなたとしては不本意かもしれませんが、本件は長女さんのご判断に任せるしかないと思われます。

なお、あなたが祭祀承継者になりたいということであれば、長女さんと協議の上、長女さんが同意すれば、あなたが祭祀承継者になることも可能です。

ただし、その場合は、逆にあなたが祭祀承継のすべてを引き受ける覚悟が必要です。その覚悟がないのなら、自分で責任を負えないことについて、口出しはしない方が賢明であると思います。

遺骨やお墓、仏壇は「祭祀承継者」のものになるようです。納骨の方法は、祭祀承継者に委ねられると考えられるでしょう。

祭祀承継者はどうやって決まる?

alt 祭祀承継者はどのように決まるのでしょうか。

永代供養のお墓の祭祀財産承継者について

相談者の疑問 父が亡くなったとき、母が永代供養の墓を購入しました(2人が埋葬されたことで、完結する一代限りの墓)。現在両親は埋葬されております。

母が亡くなった際に、使用権が母となっていたために名義変更の手続きを行いました。長女に、墓地から近いこともあり私(次女)に変更する旨を伝えましたが、何も問題ないような素振りでしたので、変更手続きを行いました。

その後、長女が、祭祀財産承継者に自分がなりたいと言ってきました。そもそも、永代供養の墓で管理費用が発生しないお墓についても祭祀財産なのでしょうか。

長女はいずれ、改葬するつもりでいることを母に話していました。しかし母は、一度埋葬した骨を改葬するようなことはしてほしくないため、夫婦一代限りの永代供養のお墓を購入しています。

私は両親の意向を聞いている以上、簡単に長女へ名義変更はできません。このような場合どうすればよいのでしょうか?

松原 脩雄の写真 弁護士の回答松原 脩雄弁護士 1 祭祀承継は、まず第1に、亡くなったお母さんの意思によって決まります(民法897条1項但し書き)

2 このお母さんの意思は、遺言がなくともお母さんの生前の意思で貴方を指定しているなら口頭でもよいと解されています。

3 したがって、お母さんの意思で上記2のように解されることがなかったかどうかを調べてください。

4 お姉さんと結局、意見がまとまらなければ、家庭裁判所に訴えて決めてもらうことになります(同条2項)。その場合、家庭裁判所は、貴方の意見を十分考慮することになるだろうと思います。

祭祀承継者は被相続人の意思で決まるようです。遺言書のように書面ではなく口頭で決めてもよいようです。 親族間で祭祀承継者が誰なのかもめた場合は、家庭裁判所に訴えを起こし、調停や裁判で決めていくことになるでしょう。

祭祀承継者の義務は?

alt 祭祀承継者には、遺骨を納骨する法的義務も発生するのでしょうか。

祭祀承継者は、墓に入れることを拒否できますか。

相談者の疑問 兄より私が祭祀承継者の権利を引き継いだと仮定するとして、お伺いしたいです。

私には義理の姉がいるのですが、将来、義理の姉の相続人より要求された場合、兄と義理の姉の墓を私が造ることとなるでしょうか。また、喪主を務めることとなるでしょうか。

私の考えでは、母方の家の祭祀承継者ではなく、兄のみの祭祀承継者であり、義理の姉の祭祀承継者でないと主張できますか。

村上 誠の写真 弁護士の回答村上 誠弁護士 祭祀承継とは、先祖代々の祭祀に関する権利を承継することですので、「母方の家の祭祀承継者ではなく、兄のみの祭祀承継者であり、義理の姉の祭祀承継者でない」とは、主張できないと思います。

ただ、祭祀承継者は、祭祀に関する権利を承継しますが、喪主を務めたり、墓を建てたり、納骨したり、法要を行ったりという祭祀を行う法的な義務はありませんので、それらをしなかったからと言って、法的責任を問われることはありません(あくまで道義上の責任があるだけです)。

祭祀承継者になったとしても、「喪主を務める」「お墓を建てる」「納骨する」「法要する」といったことを行う法的な義務を負うわけではないようです。

まとめ

遺骨やお墓、仏壇などの所有権は祭祀承継者にあるようです。納骨の方法も、祭祀承継者に委ねられるようですが、納骨や法要をする法的な義務は負わないと考えられます。 祭祀承継者は被相続人の生前の意向をもとに決まるようですが、誰が祭祀承継者なのかをめぐって親族間でもめた場合は、家庭裁判所の調停や裁判で決めていくことになるでしょう。

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