隠し子にも相続権はある?
隠し子にも財産を相続する権利はあるのでしょうか。
相談者の疑問
妻の実父(10数年前に離婚)に隠し子(現在中学生)が1人いることが発覚しました。相手方との婚姻関係はなく親権は母(義父の不倫相手)にあります。
今後起こるであろう遺産相続についての質問ですが、妻が長女、妻の妹が次女、隠し子が1人計3人の子どもで均等に割ることになるのでしょうか?
弁護士の回答鈴木 崇裕弁護士
その「隠し子」を、奥様のお父上が認知しているかどうかが問題となります。
認知していれば、法律上の「子」として相続人になります。以前は、婚姻関係のない異性との間の「子」の相続分は、そうでない子の2分の1でしたが、平成25年12月11日以降は、「子」であれば平等です。
したがって、それ以降に発生した相続については、ご理解のとおり、奥様、奥様の妹様、「隠し子」がそれぞれ3分の1ずつということになります。
認知していない場合には、法律上の「子」とはならないのですが、「死後認知」によって、奥様のお父上の死後も認知することになる場合があります。
隠し子が認知されている場合、相続権が認められるようです。現時点で認知されていなくても、死後認知という方法で被相続人の死後に認知されれば、相続権が認められるでしょう。
隠し子に財産を相続させたくない…そんなことが可能?
隠し子に財産を一切相続させたくないと思う人もいるかもしれません。そのようなことができるのでしょうか。
相談者の疑問
身内が余命宣告をうけましたが、身辺整理をするにあたって20歳を過ぎた隠し子がいることがわかりました。
十分な養育費を渡したようで、財産に関しては放棄してほしいと思っているようです。隠し子に財産がいかないようにするのには、遺言書しか方法はないのでしょうか?
余命宣告を受けた本人は少ない財産を同居して世話をしてくれた妻や子ども(3人)に渡したいと思っているようです。隠し子を認知したかどうかは、高齢のために忘れたと言っています。
弁護士の回答森田 英樹弁護士
遺言書を作成すれば、相手の権利は遺留分にとどまります。ただ隠し子の権利をゼロにできるわけではありません。
隠し子が遺留分を超える財産を生前に贈与されていたということが証明できればゼロとなります。
あるいは隠し子が遺留分放棄の許可をとるか、遺留分減殺請求権を行使しなければゼロになります。
隠し子に一切財産を相続させないという内容の遺言書を作成したとしても、隠し子には遺留分という最低限の相続分があるようです。 隠し子が遺留分を放棄するか、遺留分減殺請求権を行使しない限り、最低限の取り分は相続させることになるでしょう。 隠し子が配偶者から生前に遺留分以上の贈与を受けていたことを証明できれば、それ以上の財産を相続させなくてもよいようです。
まとめ
親や配偶者に隠し子がいることがわかった場合、その子が認知されていれば、相続権が認められるようです。 隠し子が認知されている場合、「一切財産を相続させない」という内容の遺言書を作成したとしても、遺留分という最低限の相続分が認められます。 隠し子が遺留分を放棄するか、遺留分減殺請求権を行使しない限り、最低限の取り分は相続させることになるでしょう。 ただし、隠し子が配偶者から生前に遺留分以上の贈与を受けていたような場合、それ以上の財産を相続することはできないようです。