特定の人に一切財産を相続させたくない…推定相続人廃除が認められる条件

宗教に大金をつぎ込む、親や兄弟に暴力を振るうーー。家族の誰かが亡くなって相続の手続きを行うとき、このような問題行動を起こす人物には、財産を一切相続させたくないと考える人もいるでしょう。実際に、そのようなことが可能なのでしょうか。こういった疑問について「みんなの法律相談」に寄せられた実際の相談事例と弁護士の回答を元に解説します。

目次

  1. 遺言書に「一切財産を相続させない」と書けばよい?
  2. 推定相続人廃除が認められるケースは?
  3. まとめ

遺言書に「一切財産を相続させない」と書けばよい?

alt 特定の人に一切財産を相続させないためにはどうすればよいのでしょうか。遺言書にその旨を書けばよいのでしょうか。

父の遺産相続に関する遺言書について、配偶者である母親に相続の権利を与えないことは出来ますか?

相談者の疑問 父名義の自宅土地建物の相続人を長男の自分だけにすることは可能でしょうか?遺産相続に該当する人物として、息子である自分、長女姉、次女妹、配偶者母親がいます。

「宗教にのめり込みすでに多額のお金をつぎ込んでいる母親には一切渡したくない」と、父、自分、姉との話し合いで結論が出ています。妹は宗教活動していませんが、母親の言いなりとなっております。

先日から父と母は別居をしており、父と自分2人自宅で生活をしております。母の宗教活動はそろそろ20年近くなり、その間1度離婚してますが、妹の出産による子育ての手伝いのために7年程前に復縁しています。

母の宗教活動による物品購入で3000万円近く使われています。母方の両親、兄弟も多額の金銭を使われてしまい絶縁となっております。このようなことが起こっているため、母親には父の遺産相続には一切関わらせたくありません。

川崎 政宏の写真 弁護士の回答川崎 政宏弁護士 お父様が、お母様に一切相続させない内容の遺言を残したとしても、お母様には法定相続分の2分の1の遺留分(4分の1)がありますから、遺留分減殺請求されれば、4分の1は取り戻されてしまいます。

お父様が完全に、お母様を相続から除きたいのであれば、推定相続人廃除の手続きをとり、相続人からのぞいておく必要があります。

家庭裁判所に審判申立てが必要となり、生前でもできますし、遺言に書いて遺言執行者にゆだねることもできます。ただ、廃除が認められるためには、3000万円の使い込みが重大な非行にあたるかどうかがポイントとなります。

特定の人について「一切相続させない」という内容を遺言書に書くことはできますが、遺留分減殺請求をされた場合、最低限の財産は取り戻されてしまうでしょう。 「推定相続人廃除」の審判を申し立てることで、その人を事前に相続人から外すことができるようです。家庭裁判所に推定相続人廃除を認めてもらうためには、「重大な非行があった」いえるかどうかという点がポイントになるようです。

推定相続人廃除が認められるケースは?

alt どのような事情があれば、家庭裁判所に推定相続人廃除を認めてもらえるのでしょうか。

相続人廃除

相談者の疑問 夫の兄のことで相談です。現在、義兄40代と義母70代の2人が同居生活していますが、かれこれ10年以上義兄は職にも就かず、母の年金と貯蓄を切り崩して生活しています。

義兄は朝から酒を飲み暴力は振るわずとも暴れて家具を壊したり、大声で義母を罵倒するなどして義母が今まで何度も110番通報し、近所の交番の警察官から厳重注意されています。

義兄は家族が注意すれども、家族の話には一切耳を傾けずただ反抗するばかり。義母は親子の縁を切りたいと言っていますが、それは現実難しいので相続人の廃除手続きを考えています。こういうケースは廃除事由にあたるのかどうか、ご回答宜しくお願いいたします。

梅村 正和の写真 弁護士の回答梅村 正和弁護士 被相続人を虐待した場合、被相続人に対して、重大な侮辱を与えた場合、推定相続人にその他の著しい非行があった場合などに推定相続人としての地位を廃除できることは法律で定められていますが、現実に裁判所がこれを認める態度は非常に慎重です。

相手方から異議が出れば、まず廃除は認められないと思っていた方がよいです。また、仮に廃除が認められても、代襲相続までは否定できないので、廃除されたお兄さんの子どもが法定相続人になってしまいます。

可能ならば、お兄さんに全く相続させないような遺言を書いてもらうのよいかもしれません。遺留分を請求されると、その分は持って行かれますので、その辺は、メリット・デメリットを考慮して行うということでしょう。

推定相続人廃除のメリット
遺留分までも否定できる。

推定相続人廃除のデメリット
1廃除された兄に子どもがいると、その子が相続人になってしまう。
2推定相続人廃除が認められる可能性が低い。

法律上は、被相続人に対する虐待や重大な侮辱を与えた場合などに、推定相続人廃除が認められると定められているようです。しかし、実際はなかなか家庭裁判所が推定相続人廃除を認めることはないようです。

まとめ

特定の人に財産を一切相続させたくない場合は、遺言書にその旨を書き残すよりも、推定相続人廃除の手続きを行い、その人を事前に相続人から外しておく方が確実なようです。 ただし家庭裁判所に推定相続人廃除を認めてもらうためには、重大な侮辱や著しい非行があったなどの条件を満たす必要があり、ハードルは高いと言えるでしょう。

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