遺産を独り占めしようとする相続人がいるときの対策と遺産を使われた場合の対処法

全ての遺産を独占しようとしている相続人がいるーー。このような場合、遺産を奪われることを防ぐために、他の相続人はどのような対策ができるのでしょうか。 すでに遺産の一部を使われたり、使い果たされたりしている場合はどうすればよいのでしょうか。 こうした疑問について「みんなの法律相談」に寄せられた実際の相談事例と弁護士の回答を元に解説します。

目次

  1. 遺産を独り占めさせないためにできることは?
  2. 遺産を独り占めしようする相続人が遺産総額を明かさない場合は?
  3. 遺産を使い込まれてしまったら?

遺産を独り占めさせないためにできることは?

遺産を独り占めしようとする相続人が、預貯金などの遺産を勝手に使うことを防ぐために、他の相続人はどのような対策ができるのでしょうか。

財産分与 一切分けないと一点張りで困ってます。

相談者の疑問 父が倒れ、意識が回復しないまま他界しました。遺言書はありません。倒れて、亡くなるまでの数日で母が父の銀行口座から貯金を自分の通帳へ移動してます。

その後父が亡くなり、財産分与の話になりましたが、一切分けないと母は一点張りです。

母はここ10数年で買い物依存症のようになり、お金があれば全て使い果たしてます。財産分与してある程度確保しておかなければ全てを使い果たしてしまうほどです。

私達から言っても聞かないので、順序よく行いたいと思い、こちらにご相談いたしました。まずは何から始めるのがよろしいでしょうか?

鈴木 崇裕の写真 弁護士の回答鈴木 崇裕弁護士 遺産分割協議(調停)を行うことを前提として、まずは何よりも「財産を使い果たされないこと」に緊急に対応する必要があります。お金がなければ、損害賠償請求権を得たとしても絵に描いた餅です。

具体的には、
被相続人(亡くなったお父様)の口座は凍結させ、遺産分割協議が終わるまで誰も払戻しを受けられないようにすること

相手方(お母様)の口座は、仮処分などによって一定程度の財産を使えないように抑えておくこと

が必要となります。

口座凍結の手続は簡単ですが、お母様の口座を抑えるのは裁判所の手続です。弁護士に依頼しないと無理かと思いますので、早急に相談することをお勧めいたします。

財産が費消されない状態にしてから、ゆっくり遺産分割協議をしていけばよろしいでしょう。

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遺産を独り占めしようする相続人が遺産総額を明かさない場合は?

遺産を独り占めしようとしている相続人が、遺産総額を他の相続人に明かさない場合、遺産総額を調べる方法はあるのでしょうか。

相続遺産の独り占め。遺産が一体、どれくらいあるのか?

相談者の疑問 今年、祖母が他界しました。法定相続人は、母と叔母です。

母は数年前に大病を患い、体が不自由となり、判断能力も落ちている感がありますが、成年後見制度は利用していません。祖母と母の身辺の世話は叔母が行っており、母の実印は叔母が保管しています。

上記の通り、祖母の財産は全て叔母が管理しており、遺産が一体いくらあるのか叔母が開示しません。祖母の葬儀や今後の法要でお金が必要だから自分(叔母)が持っておくと言い張ります。唯一把握できる遺産は、祖母名義の土地と建物です。

その、土地と建物は既に叔母の名義に変っていました。母は、「何の書類だか分らないが、署名をした」そうです。遺産分割協議書であった可能性があります。母の実印は上記の通り、叔母が保管しています。

母に法定分の相続をさせてあげたいのですが、もしも既に上記の通り、母がよく分らずに遺産分割協議書にサインをしてしまっていた場合、訴訟で無効や取消にすることは可能でしょうか?

遺産が一体、どれくらいあるのか、どうやって調べればよいのでしょうか?数年程前から叔母が、祖母の年金などをすべて管理していたため、明らかにすることは困難でしょうか?

森田 英樹の写真 弁護士の回答森田 英樹弁護士 事情から察すると、遺産分割協議の不存在無効を争うことはできると思います。

不動産以外の預金について、相続人であるお母さん自身が金融機関で祖母の預金の取引明細を求めることができます。

ただ、お母さんが行動できない状況でしたら、お母さんのご意向を確認の上、弁護士に依頼されることをお勧めします。

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遺産を使い込まれてしまったら?

事前に対策ができず、遺産の一部を使われたり、使い果たされたりした場合、他の相続人はどのような方法で自分の相続分を取り戻せばよいのでしょうか。

被相続人の預金を使い込んだ相続人に対する不当利得返還請求訴訟

相談者の疑問 遺産分割協議は全くしていませんが、不当利得返還請求訴訟を提起することは法律的には可能でしょうか。

相手に連絡しても無視され、全く話し合いができないため、遺産分割協議も全くできていないのです。

高島 秀行の写真 弁護士の回答高島 秀行弁護士 被相続人の預金を使い込んだ相続人に対し、不当利得返還請求あるいは不法行為に基づく損害賠償請求は可能です。

遺産分割調停で話し合うとしても、相手方が争うと、結局その部分は除いての遺産分割調停になり、預金の使い込みについては、訴訟で解決する必要があります。

今の相手の状況であれば、遺産分割調停なら応じるというわけでもなさそうなので、訴訟と遺産分割調停を並行してやられた方が解決が早いと思います。

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