遺産分割を放置したまま数年経過…今からでも話し合える?

家族の誰かが亡くなった直後に相続の手続きをしなかった場合、それから数年経った後でも、相続人同士で遺産の分け方などを話し合えるのでしょうか。

  • 遺産分割に期限はある?
  • 遺産分割の時期が遅くなることのリスクとは?
  • 一部の相続人が勝手に遺産を分けていたら?

これらの疑問について「みんなの法律相談」に寄せられた実際の相談事例と弁護士の回答を元に解説します。

目次

  1. 数年間放置していた遺産分割の話合い…今さらできる?
  2. 遺産分割の話合いを放置することのリスクとは?
  3. 遺産を勝手に自分のものにしている相続人が…どう対処する?
  4. まとめ

数年間放置していた遺産分割の話合い…今さらできる?

alt 遺産分割の話合いをしないまま数年経った後でも、相続人同士で遺産の分け方を話し合うことはできるのでしょうか。

7年前に相続発生。話し合いなし・・・

相談者の疑問 7年前に母が亡くなった時に弟が同居していたため、相続の話をせずにきていますが、弟も糖尿病なので持ち家が相続の対象になると思います。

相続放棄などはしていませんが、さかのぼって兄弟3人で分割できますか?弟には離婚した相手との間に子供が1人います。

加藤 尚憲の写真 弁護士の回答加藤 尚憲弁護士 (1)現状の分析
お母さんの相続の発生により、現在、兄弟3人で(お母さんの相続財産である)ご実家の土地建物を共有しています。遺産分割に時効はないため、いつでも遺産分割を行うことが可能です。

(2)今後の方針について
できれば、弟さんが生きているうちに遺産分割を行うことをお勧めします。仮に、弟さんが亡くなった後でお母さんの遺産分割を行うと、弟さんのお子さんが、弟さんに代わって当事者になります。法定相続分は全員3分の1ずつです。

しかし、あなたにとっては、普段あまり縁のない弟さんのお子さんと遺産分割を行うことは、気が重いのではないかと思います。

また、弟さんは離婚されているので、もしかすると弟さん自身もご実家の土地建物をお子さんが相続することを望んでいないかもしれません。

したがって、後々のことを考えれば、弟さんが生きているうちに、お母さんの相続について兄弟で話し合い、決着をつけておいた方がよいと思います。

遺産分割に時効はないので、家族が亡くなってから数年経った後でも、遺産分割の話合いをすることができるようです。

遺産分割の話合いを放置することのリスクとは?

alt 遺産分割に期限はないようですが、家族が亡くなった後にすぐ話合いをしないことには、リスクがあるのでしょうか。

遺産分割協議には期限はありますか? 

相談者の疑問 相続した遺産の分割協議には、法的な期限ってあるのでしょうか?他の相続人が協議に応じない場合は、どうすればよいのでしょうか?

國安 耕太の写真 弁護士の回答國安 耕太弁護士 遺産分割に期限はありませんが、相続放棄は3か月、税務申告は10か月の期間制限があります。

また、時間が経つと、二次相続(相続人が死亡し、さらに相続が発生すること)が発生し、相続人間の調整が難しくなることがあります。そのため、できるだけ早めに着手した方がよいと思います。

遺産分割に期限はないものの、話合いを放置している間にある相続人が亡くなって別の相続が発生した場合、相続人や相続財産の数が増えて状況がより複雑になる可能性があります。 期限がないとはいえ、遺産分割の話合いはできるだけ早めに始めて早めに終えることが望ましいでしょう。

遺産を勝手に自分のものにしている相続人が…どう対処する?

alt 遺産分割の話合いをしないまま、一部の相続人が勝手に遺産を自分のものにしてしまったような場合、他の相続人はどうすればよいのでしょうか。

相談無しに勝手に相続されてしまった場合の対応方法について

相談者の疑問 30年前、父が亡くなった際、母は当時19歳であった私(他に妹あり)に相談なく勝手に父の財産を全て1人で相続してしまっておりました。財産は土地、建物、金銭など(額は不明)となります。

その後、15年ほど前に、やはり私に何の相談もなく、その土地の上に妹の旦那名義の建物を新築し、妹夫婦と同居してしまいました。建物は妹の旦那が建てました。土地は母の持ち物のままです。

さらに、2年前、その土地を妹へ生前贈与してしまいました。やはり私には全く相談はありません。登記簿を確認して事実を知りました。おまけに、その贈与した土地には妹の旦那が持つ別の投資建物の抵当権まで設定されています。

母は昔から妹と仲がよく、私だけが蚊帳の外状態です。父の財産を母が全て相続してしまった当初の件に関しても、母が亡くなった後に、遺留分請求をしてやろうと思っていました。しかし、生前贈与まで勝手に行ってしまうとは想像はしておりませんでした。

私が正当に権利を主張する方法はあるのでしょうか。

緒方 直人の写真 弁護士の回答緒方 直人弁護士 30年前に開始したお父さんの相続の事案ですね。遺産分割協議がなされなかったか、またはご相談者を除いて遺産分割協議がなされ、登記手続まで終了した可能性があります。

この場合、少なくとも相続人1人を除外した遺産分割協議は無効なので、本来、遺産分割協議の無効を主張して、再度、遺産分割を請求することができます。

しかしながら、30年も時が経過しています。「母が亡くなった後に、遺留分請求をしてやろうと思っていました」と書いておられますが、遺留分減殺請求(お母さんの相続は開始していませんから、お父さんの相続における遺留分を問題にされているのだと思いますが)は、相続の開始及び減殺すべき贈与または遺贈があったことを知った時から1年間で消滅します。

ご相談の事案は、お父さんの相続に関する遺産分割の問題であって、遺留分減殺請求の問題ではないのですが、このような形でお母さんの単独での不動産の占有を知りながら、30年も放置してきた場合(お母さんの占有が所有の意思をもった占有である必要がありますが)、お母さんに取得時効が完成している可能性があります。その場合は、打つべき手はないことになります。

もちろん、お母さんが亡くなって、お母さんの財産について相続が開始し、遺産分割が問題になる場合は、正々堂々と相続権の主張ができますし、すべきです。しかし、ご相談の事案では、その時点では遺産が生前贈与や遺贈などにより、分割すべき遺産がないこともあり得ますね。その場合は、遺留分減殺請求の問題が生じます。

もう少し具体的な事実関係を明確にして、弁護士にご相談になったらいかがでしょうか。

相続人が全員参加していない状態で行われた遺産分割の話合いで決めたことは無効になるようです。話合いに参加できなかった相続人は、話合いで決めたことが無効だと主張して、やり直しを求めることができるでしょう。

まとめ

遺産分割には期限がないため、家族が亡くなってから数年後に相続人同士で話し合って遺産を分けても、法的には問題ないようです。 ただし、二次相続の発生などのリスクを考えると、話合いはできる限り早めに始めて、長引く前にまとめることが望ましいでしょう。 相続人が全員参加していない状態で行われた話合いで決めたことは無効になります。一部の相続人が勝手に遺産を処分しても、それは無効になるでしょう。このような場合は、再度遺産分割の話合いを行うよう求めることができるようです。

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