相続

弁護士監修記事 2018年01月31日

亡くなった人の連帯保証人だった場合でも相続放棄をする意味がある?

亡くなった人の借金を相続したくない場合、相続放棄という手続きを行う必要があります。では、亡くなった人の連帯保証人になっている場合でも、相続放棄をする意味はあるのでしょうか。こういった疑問について「みんなの法律相談」に寄せられた実際の相談事例と弁護士の回答を元に解説します。

目次

  1. 連帯保証人が相続放棄すると返済義務を負わないの?
  2. 連帯保証人が相続放棄をするメリットは?
  3. 賃貸の連帯保証人になっている場合の注意点は?
  4. まとめ

連帯保証人が相続放棄すると返済義務を負わないの?

alt 亡くなった人の連帯保証人になっている場合でも、相続放棄をすると、連帯保証人としての返済義務を負わないのでしょうか。

連帯保証の相続放棄について


相談者の疑問
親の連帯保証人になっている場合、親が亡くなったとき、相続放棄をしても、その債務は子どもである私に残りますか?債務の返済義務がありますか?


鈴木 克巳弁護士
◆ 相続放棄によって支払い義務を免れるのは、親御様が負っていた債務です。

◆ 残念ながら、貴殿の連帯保証債務は、親御様の債務ではなく、貴殿ご自身の債務ですので、相続放棄の対象とはならず、存続します。

◆ 連帯保証債務の支払いが困難、厳しい、無理というような状況に至ってしまった場合は、債務整理(任意整理・個人再生・破産)も検討せざるを得ないところです。

亡くなった人の連帯保証人になっている場合、相続放棄をしても、連帯保証人としての返済義務は負い続けることになるようです。どうしても返済が難しい場合は、債務整理を検討した方がよい場合もあるでしょう。

連帯保証人が相続放棄をするメリットは?

alt 亡くなった人の連帯保証人になっている場合、相続放棄をするメリットはあるのでしょうか。

相続放棄、連帯保証人について


相談者の疑問
弟が亡くなりました。弟には息子と娘がおります。それから、父親と姉の私がおります。これら、4名が弟の相続人なのですが、この度、子どもたちは相続放棄をいたしました。

父親に相続権が移るので、父親もこれから放棄をするのですが、父親は弟の負債の連帯保証人になっているため、相続放棄をしても免れないとのこと。

この場合、父親は相続放棄の手続きはしなくてもよいのですか?第3相続人の私は、どうしたらよいのでしょうか?


新保 英毅弁護士
父親は相続放棄したとしても、連帯保証人としての責任は残ります。この場合、相続放棄する実益があるかどうかはケースバイケースです。

たとえば、連帯保証していない債務(相続放棄によって完全に免れる債務)が多くある場合、被相続人に財産がない場合は、相続放棄するメリットがあると思います。

他方で、被相続人の債務の中で連帯保証していない債務がほとんどなく、プラスの相続財産も存在する場合、あえて、父親が相続して債務とともにプラスの財産を承継した方が合理的な場合もあるでしょう。

相談者は、父が相続放棄してはじめて相続人になりますので、その時から3か月以内に相続放棄の申述をされればよいでしょう。父が相続放棄しない場合は相談者は相続人とはなりません。

一度、お近くの弁護士に相談されることをお勧めします。

連帯保証していない債務が多い場合や、亡くなった人に財産がない場合は、連帯保証人であっても、相続放棄をするメリットがあるようです。 連帯保証していない債務がほとんどなく、かつ、預貯金などプラスの財産があるような場合は、相続放棄をするとプラスの財産を相続できなくなってしまうようです。注意しましょう。

賃貸の連帯保証人になっている場合の注意点は?

alt 亡くなった人が住んでいた賃貸物件の連帯保証人になっている場合、相続放棄をしても、未払いの家賃を支払う必要はあるのでしょうか。

相続放棄 連帯保証人


相談者の疑問
今年9月に父が亡くなり相続人全員が相続放棄する予定です。父は離婚しており賃貸アパートで1人暮らしをしていました。この賃貸アパートの連帯保証人は私になっています。

相続放棄をするのでアパートには手をつけていないのですが(片付けや家賃の支払い)、先日、不動産屋さんから連帯保証人様が処分や未払い家賃を払ってくださいお願いしますと言われました。応じる必要はありますか?


鈴木 克巳弁護士
未払い家賃については、連帯保証人として支払わなければなりません。

この際、領収証については「連帯保証人名」宛てでもらっておくべきだと思います。間違っても、宛名が「お父様の相続人○○」などという領収証は貰わないでください。相続放棄と矛盾してしまいますので。

明け渡しや片付け、これは、本来は「居住している賃借人」の債務であり、連帯保証人の債務とはいえないでしょう。

しかし、実務上は、賃借人が行方不明になったり、死亡されたときなどは、連帯保証人の方や遺族の方らが、事務管理行為として行っていることが多いです。

これは、賃貸人に迷惑を掛けてはならないという道義的な意味合いもありますが、片付け(原状回復)がなされないと「本当の意味での明渡」にならないので、それまで家賃が発生するおそれがあり、そうなると、連帯保証人や遺族の方にとっても、不利益となるという要素があるからです。

原状回復請求を受け、これを支払った場合の領収書の宛名も、「お父様の相続人○○」とならないよう事前に賃貸人に言っておくべきです。

なお、仮に、原状回復をした後、敷金に余りがあり、賃貸人からこれを返されるという場合は、連帯保証人としても、相続放棄をするのであれば、受け取らない方がよいでしょう。

連帯保証人は、敷金の返還を受ける権利はなく、相続人でなければ、敷金の返還を受けることはできないからです。(相続人の誰か1人でも放棄をしない人がいれば、その方は受け取っていいのですが)

最後に、絶対に注意しておいていただきたいのが、未払い家賃にせよ、原状回復費用にせよ、その支払い原資は、ご相談者様やご親族の方々「ご自身の財産(預貯金・現金)」から出さなければならないということです。

決して、お父様の遺産(預貯金・現金)には手を付けないでください。お父様の預貯金などから支払ってしまうと、もはや相続放棄はできなくなってしまいますので。(相応の葬儀費用とかは被相続人の財産から出しても相続放棄を認めてくれる裁判所も多いですが、家賃とか原状回復費用は被相続人の財産からは出しては駄目です)

亡くなった人が住んでいた賃貸物件の連帯保証人になっている場合、相続放棄をしても、未払い家賃を支払う義務があるようです。 返済するとき、亡くなった人の預貯金などから支払うと、相続放棄ができなくなってしまうため、注意が必要です。

まとめ

亡くなった人の連帯保証人になっている場合は、相続放棄をしたとしても、連帯保証人としての返済義務を負い続けるようです。 しかし、亡くなった方に連帯保証していない債務(借金など)が多くある場合は、相続放棄をすることで、その債務の返済義務は引き継がないことになるため、そうした場合は連帯保証人であっても、相続放棄を検討してもよいでしょう。 亡くなった人が住んでいた賃貸物件の連帯保証人になっている場合、亡くなった人の預貯金などから家賃を支払うと、「単純承認」として相続放棄ができなくなる可能性があるので、注意しましょう。

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