遺産から葬儀費用を支払ったら「相続放棄」ができなくなる?

相続放棄を検討している場合に、亡くなった人の葬儀費用を遺産から支払うと、単純承認とみなされて相続放棄ができなくなってしまうのでしょうか。遺産でお墓を買うことも問題があるのでしょうか。これらの疑問について「みんなの法律相談」に寄せられた実際の相談事例と弁護士の回答を元に解説します。

目次

  1. 葬儀費用を遺産から支払ったら相続放棄できない?
  2. 遺産でお墓を購入したら相続放棄はできない?
  3. まとめ

葬儀費用を遺産から支払ったら相続放棄できない?

alt 亡くなった人の遺産から葬儀費用を支払った場合、相続放棄はできなくなってしまうのでしょうか。

相続放棄、預金を葬儀費用に。

相談者の疑問 父が亡くなり、翌日に父の預金からお金を引き出し、葬儀費用に充てました。母に負担を掛けぬよう、長女が引き出しました。

お金を使ったのは母ですが、引き出したのは長女です。共に相続放棄できないのでしょうか。

鈴木 克巳の写真 弁護士の回答鈴木 克巳弁護士 大阪高等裁判所平成14年7月3日の決定は、

「葬儀は人生最後の儀式として執り行われるものであり社会的儀式として必要性が高いものである。・・・葬儀を執り行うためには必ず相当額の支出を伴うものである。

・・・被相続人に相続財産があるときは、それをもって被相続人の葬儀費用に充当しても社会的見地から不当なものとはいえない。また、相続財産があるにもかかわらず、これを使用することが許されず、相続人らに資力がないため被相続人の葬儀を執り行うことができないとすれば、むしろ非常識な結果といわざるを得ない・・・。

したがって、相続財産から葬儀費用を支出する行為は、法定単純承認たる「相続財産の処分」(民法921条1号)には当たらないというべきである」

と判示しており、これが通説・多数説と言っていいでしょう。

しかし、使った葬儀費用が、社会的に相当な葬儀費用の額を超えているような場合は、相続放棄はできないとの結論が取られるリスクはあります。

前述した裁判所の決定も、「相続人に資力がないと葬儀が行えないとなると、死者が気の毒だ。相当額の支出なら、遺産から出しても致し方ない」という価値判断があってのことです。

したがって、おろしたご長女にしても、使ったお母さまにしても、葬儀費用が社会的に見て妥当な金額(これがいくらかは何とも言えませんが、ちなみに、前述した裁判所の事例では「273万5045円」でした)であれば、相続放棄は有効と判断される可能性が高いでしょう。

過去の裁判例によれば、葬儀費用が社会的に見て妥当な金額であれば、亡くなった人の遺産から支払っても、相続放棄ができる可能性が高いようです。

遺産でお墓を購入したら相続放棄はできない?

alt では、亡くなった人の遺産でお墓を買った場合はどうなのでしょうか。

相続放棄 葬儀費用 墓石

相談者の疑問 1人暮らしの母が部屋で倒れて亡くなってしまい、警察に安置されています。

本人確認ができ次第、預貯金など貴重品を受け取るようなのですが、相続放棄なども視野に入れた場合に、受け取った預貯金などは放棄財産となるのでしょうか?

手を付けずにしまっておくべきなのでしょうか?葬儀費用や墓などお金がかかるので質問させていただきます。

近藤 公人の写真 弁護士の回答近藤 公人弁護士 受取った預貯金などは放棄財産となるのでしょうか?手を付けずにしまっておくべきなのでしょうか?

その通りです。

葬儀費用は、相続放棄をしても大目に見てもらえますが、基本は手をつけないことです。

遺産で墓の購入は、単純承認となり、相続放棄が認められない可能性があります。

亡くなった人の遺産でお墓を買った場合、単純承認とみなされ、相続放棄ができなくなる可能性があるようです。

まとめ

葬儀費用については、ある程度の金額であれば、亡くなった人の遺産から支払っても相続放棄ができるようです。遺産でお墓を買うと単純承認となってしまい、相続放棄ができなくなる可能性が高いので、注意しましょう。

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