相続

弁護士監修記事 2018年01月30日

【相続】認知症の相続人がいる場合の遺産分割の進め方【弁護士が解説】

相続人の中に、認知症で判断能力がない人がいる場合、遺産分割はどのように進めればよいのでしょうか。

  • 認知症の相続人がいる場合の遺産分割の進め方は?
  • 成年後見人を選任せずに行った遺産分割は有効?
  • 成年後見人が選任されるまで遺産分割は進められない?

こうした疑問について「みんなの法律相談」に寄せられた実際の相談事例と弁護士の回答を元に解説します。

目次

  1. 相続人が認知症の場合、遺産分割はどうなる?
  2. 成年後見人を立てずに行われた遺産分割は有効?
  3. 成年後見人が選任されるまでにできることは?
  4. まとめ

相続人が認知症の場合、遺産分割はどうなる?

alt 相続人の中に認知症の人がいる場合、遺産分割をどのように進めればよいのでしょうか。

相続人に認知症がいる家の名義変更について


相談者の疑問
父の死後、持ち家マンションの名義変更を8年程放置していました。ローンはありません。一人っ子ですので、相続人は私と母だけです。父の遺言はありません。他に財産もありません。

6年前に母は認知症になり、今は意思の疎通ができません。現在、母の介護をしながらそのマンションに2人で暮らしています。

1. 自分で手続きをして、名義を自分に変えようと思いますが、母が認知症ですと、そのことに関して何か特別な手続きが必要になりますでしょうか?

2. 母に成年後見人をつけないといけないのでしょうか?

3. このまま名義変更手をせずにいた場合に被る不利益はありますか?


加藤 尚憲弁護士
(1)登記手続と遺産分割について
お父さんが所有していたマンションについて、相続登記を行うためには、(遺言書が存在しない以上)遺産分割を行う必要があります。

ところが、お母さんは認知症によりもはや意思疎通ができなくなっているので、有効に遺産分割を行うことができません。

また、遺産分割を行ったとしても、司法書士さんに登記を委任することもできません。

(2)後見について
現状で遺産分割を行うためには、お母さんの法定後見人を裁判所に選任してもらうことが唯一の方法になります。

もっとも、あなたとお母さんは、遺産分割に関しては利害相反の関係にあるため、あなたがお母さんを代理して遺産分割を行うことはできず、あなたが後見人になる場合は、別途、(遺産分割のための)特別代理人の選任を裁判所に申し立てる必要があります。

また、そもそも、後見人や特別代理人は、お母さんの権利を守るためにあるので、お母さんの取り分が法定相続分(つまり半分)以下になるような遺産分割を行うことを、裁判所が認めません。

(3)解決策
上記の通り、現在の状態で、マンションをあなたの名義にすることは困難です。お母さんが亡くなってからにすることをお勧めします。

もちろん、お母さんの相続が発生するまでは、マンションの売却などはできませんが、他は特に大きな不利益はありません。

認知症の相続人がいる場合に遺産分割の話合いをするためには、まず成年後見人を裁判所に選任してもらう必要があるようです。 成年後見人になる人が相続人の場合は、利益相反(お互いの利益が対立すること)となるため、別途特別代理人の選任も申し立てなければならないようです。

成年後見人を立てずに行われた遺産分割は有効?

alt 相続人が認知症の場合は、遺産分割を進めるにあたって、成年後見人を選任する必要があるようです。成年後見人を立てずに遺産分割の話合いがされた場合、それは有効なのでしょうか。

認知症の兄弟に相続された


相談者の疑問
認知症の母に対して、後見人をたてずに相続の分配を行いました。母は何も内容を覚えていません。法律違反になりませんか?


高島 秀行弁護士
認知症の母が、認知症により判断能力がなければ遺産分割協議は無効です。

母に成年後見人を立てて、成年後見人が遺産分割協議の無効を主張し、遺産分割のやり直しを請求することができます。

認知症の相続人について成年後見人を立てずに遺産分割の話合いを行なった場合、その話合いで取り決めたことは無効になるようです。 このような場合、まずは成年後見人の選任を家庭裁判所に申し立てましょう。その後、選任された成年後見人が遺産分割の話合いのやり直しを求めていくことになるようです。

成年後見人が選任されるまでにできることは?

alt 認知症の相続人がいる場合は、成年後見人を選任した上で遺産分割の話合いをする必要があるようです。成年後見人が選任されるまでの間、他の相続人はただ待つしかないのでしょうか。何かできることはあるのでしょうか。

遺産相続と成年後見人について


相談者の疑問
私たちは4人兄弟で、今年、実母が亡くなりました。遺産相続についての質問です。次男が認知症で、判断能力がありません。

遺産相続を行う際に成年後見人を立てずに遺産相続をすることはできますか。

姪(次男の長女)が成年後見を立てるにあたって、兄弟4人で費用を負担するべきと主張していますが、費用は兄弟4人で負担しなければいけないのでしょうか。

また、成年後見人が立つまで遺産相続に関することは何もできないのでしょうか。


森田 英樹弁護士
遺産相続を行う際に成年後見人を立てずに遺産相続をすることはできますか。

・できません。

姪(次男の長女)が成年後見を立てるにあたって、兄弟4人で費用を負担するべきと主張していますが、費用は兄弟4人で負担しなければいけないのでしょうか。

・誰かが立て替える必要がありますが、等分とするかどうかは協議次第で、その費用は成年後見人に後で清算を求めることができます。

成年後見人が立つまで遺産相続に関することは何もできないのでしょうか。

・一般的には、兄弟間で話し合いを進めることは可能で次男の法定相続分を確保できるような案を検討しておけば、成年後見人選任後、その案で応じてもらえることができます。

成年後見人が選任されるまでの間に、認知症の相続人に法定相続分を確保できるような遺産分割案を話し合っておくことで、成年後見人が決まった後、遺産分割をスムーズに進めることができるようです。

まとめ

相続人の中に認知症で判断能力がない人がいる場合は、成年後見人の申立てをする必要があるようです。成年後見人を立てずに遺産分割の話合いをしても、無効となってしまうでしょう。 成年後見人が選任されるまでの間に、認知症の相続人に法定相続分を取得できるような遺産分割案を考えておくと、選任されてからの話合いがスムーズに進むでしょう。

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