遺言書

2018年01月26日

遺言書を隠した相続人のペナルティと遺産分割協議の進め方【弁護士Q&A】

相続人のうちの1人が遺言書を隠していて、他の相続人に見せようとしない…。 このような場合、遺言書を隠した人はペナルティを受けないのでしょうか。遺産分割の話合いはどのように進めていけばいいのでしょうか。 こうした疑問について「みんなの法律相談」に寄せられた実際の相談事例と、弁護士の回答をもとに解説します。

目次

  1. 遺言書を隠すとペナルティを受ける?
  2. 遺言書を隠しても相続権を失わないケース
  3. 遺産分割の話合いをどうやって進めればいい?

遺言書を隠すとペナルティを受ける?

亡くなった人が残した遺言書があるはずなのに、1人の相続人が隠し持っていて見せてくれない…。 このような場合に、遺言書を隠している相続人は何らかのペナルティを受けるのでしょうか。

遺言書隠匿と未分割財産の遺言書での承継指定


相談者の疑問
父の相続が未だ未分割の状態で分割協議に姉が応じません。遺言書はありますが姉が保持し開示しようとしません。また、姉は面会拒絶の状態が続いております。

①自筆証書遺言書を、相続人の1人が独占し、開示しない場合はどのような対処方法があるのでしょうか?※遺言書の検認の前と後の2つのパターンを教えて下さい。

②父の相続が未だ未分割の状態で分割協議に姉が応じません。父の遺産の未分割の相続分を、母の遺言書で、母の相続人へ相続させる旨の指定はできるのでしょうか?

③遺言書を紛失してしまった場合の対処方法にはどのようなものがあるのでしょうか?※遺言書の検認の前と後の2つのパターンを教えて下さい。


鈴木 崇裕弁護士
遺言書の保管者は、検認する義務を負い、この義務を果たさないと過料の制裁に課せられることがあります。

また、遺言書を故意に隠避したり破棄すると、相続欠格事由となることがあります。相続人ではなくなってしまうという、重大なペナルティです。

まずは、遺言書をお姉さんが確実に保持していることを証拠化し、それから、お姉さんに対して遺言書の開示を求めることになるでしょう。

なお、遺言書の検認は、家庭裁判所で行われる手続きです。検認の結果は相続人に通知され、遺言書の内容も開示されます。したがって、検認後に「開示しない場合」というものは、考えられないということになります。

父の遺産分割協議が未了であっても、父の相続人である母の遺言により、父→母→あなた(等)という相続分の指定は可能です。ただし、父の遺産分割協議の結果、母が当該財産を取得しないことになれば、その部分の遺言は無効となります。

遺言書をわざと隠したり破棄したりすると、その相続人は相続権を失う可能性があるようです。 また、遺言書を保管している人には、家庭裁判所で遺言書の検認という手続きをする義務があり、この義務を果たさないと、過料のペナルティが課される場合があるでしょう。

遺言書を隠しても相続権を失わないケース

遺言書を隠しても、相続欠格にはあたらないとして、相続権を失わないケースもあるようです。どのような場合でしょうか。

遺言書を隠してしまった場合


相談者の疑問
父は既になくなり、母がこの度亡くなりました。相続人は私と妹です。

母は、遺言を残しておりまして、妹宅の金庫にしまっておりました。ところが、妹はその遺言を存在しないなどといって隠匿しております。

この状況で調停を起こした場合、妹は相続人でなくなる可能性はありますか?


持田 大輔弁護士
遺言書の「隠匿」は、民法上、相続人の欠格事由とされています(民法891条5号)。

もっとも、遺言書を保管していた相続人が、遺言書の内容が自分に有利なものであると確信できなかったことを理由に遺言書を隠匿していた事案について、実際の内容が保管者である相続人に有利なものであり、被相続人の最終的な処分意思を害したものとはいえず、不当な利益を得る目的に出たものとは言えないとして、民法891条5号の「隠匿」にはあたらないとした裁判例(大阪高裁平成13年2月27日判決)もありますので、欠格事由に該当し、相続人となることができなくなるかは具体的な事実関係によると思われます。

上記のケースのように、不当な利益を得る目的で隠しているわけではないとして、相続欠格事由に該当しないと判断した裁判例もあるようです。 遺言書を隠しているからといって、必ずしも相続権を失うとは言い切れないようです。

遺産分割の話合いをどうやって進めればいい?

遺言書が隠されていて開示を求めることが難しい場合に、遺産分割の話合いを進めるためにはどうすればいいのでしょうか。

遺言状の隠匿について


相談者の疑問
母が亡くなり法定相続人は私と弟の2人だけです。財産分割でもめておりますが、そもそも母が亡くなる1年前に母が直筆で母の名義の実家の土地は私と弟で2人で半分づつにしなさいとの旨が書かれていて、実印が押してありました。

私はそれが置いてある場所も知っていて、生前数回確認していましたが、母の葬儀の日に実家で確認したところ、なくなっていました。すぐに弟の配偶者がもっていったとわかりました。

5月に母が亡くなり、9月に弟の配偶者にメールでその一筆の所在を確認したところ、やはり彼女がもっていました。それも法定相続人の弟にもその一筆の存在を隠していて、ちょうど9月に弟に教えたとのことでした。弟も4か月知らなかったわけです。

それから今日まで家裁への提出もなく、私にコピーすらくれません。私は書かれている内容などを全部知っていますが、遺言状の隠匿にあたると思うのですが、いかがでしょうか。

財産分割がうまくいかない場合私は調停を申し立てようと思いますが、その際遺言状の隠匿が認められ、弟は相続権をはく奪されるのでしょうか?弟の配偶者が遺言状をもっていたというメールは証拠として残してあります。


加藤 尚憲弁護士
(1)相続人の欠格事由について
民法891条5号は、相続人の欠格事由として、相続人が遺言書を隠匿した場合を定めています。

ところが、遺言書の隠匿したのは、相続人である弟さん本人ではなく、その配偶者に過ぎません。

しかも、弟さんも隠匿されていたことを知らなかった訳ですから、民法891条5号を適用する余地はないものと考えられます。

(2)今後の方針について
元々、あなたも弟さんも、法定相続分は2分の1ずつある訳ですから、遺言書の存在は、法定相続分を変更するものではありません。

弟さんの奥さんが遺言書を隠匿すること自体が、法的には意味のない行為なのですが、この行動の裏には、弟さんに不動産を全て相続させようという意図があるものと思われます。

このような状況で、当事者同士で普通に話し合うのは難しいので、速やかに裁判所に遺産分割調停を申し立て、調停委員を間に挟んで話し合った方が、ストレスも少なく、解決も早いと思われます。

以上、ご検討ください。

当事者同士での話合いが難しい場合、家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てるという方法があるようです。 調停では、法律の専門知識がある調停委員から、財産の分け方などについて客観的で公平なアドバイスを受けることができます。

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