相続

2018年01月25日

音信不通だった親が亡くなった…相続の手続きの進め方【弁護士Q&A】

家族が亡くなると、相続の手続きを進めることになります。では、音信不通だった親が亡くなったことを知った場合、どのように相続を進めればいいのでしょうか。

  • 財産の内容を調べる方法
  • 借金を残していた場合に返済をしなくて済む方法

これらの疑問について「みんなの法律相談」に寄せられた実際の相談事例と、弁護士の回答をもとに解説します。

目次

  1. 音信不通だった親の財産を調べるには?
  2. 相続自体が面倒…そんな時はどうする?
  3. 相続放棄をするときの注意点

音信不通だった親の財産を調べるには?

音信不通だった親が亡くなった場合、財産の内容や借金の有無を調べるにはどうすればいいのでしょうか。

音信不通の父の相続放棄について


相談者の疑問
酒乱の父から離れ、20年以上音信不通で暮らしています。

先日、父の住む役所から訃報の書類が届きました。遺骨や墓の継承について連絡がほしいと書いてあり、連絡し放棄する意向を伝えました。「土地や建物に関しての相続は役所では分からない。司法書士などに相談して下さい」と言われました。

どのくらいあるのかも分からないですし、相続も放棄したいのですが、どうすればいいか分かりません。


井上 祐司弁護士
相続放棄の申述は,自分のために相続の開始があったことを知った時(通常は被相続人の死亡を知った時になります)から3か月以内に、被相続人(御父様です)の最後の住所地の家庭裁判所に対して行います。

ただし、特別な事情がある場合には3か月を過ぎても受け付けてもらえることが、判例実務上認められています。

家庭裁判所にある相続放棄の申述書のほか、①被相続人の住民票除票または戸籍附票、②申述人(放棄する方)の戸籍謄本、③被相続人の死亡の記載のある除籍謄本または改製原戸籍謄本などの書類が必要になります。詳しくは家庭裁判所の受付で教えてもらえるはずです。

まずは名寄台帳を取り寄せるなどして相続財産の調査が先決ですが、ご事情からするとそれも難しそうでしょうか。
ご兄弟がいれば相続放棄は全員に関係しますので協議されることをおすすめします。

不動産については、御父様の最終住所地の市役所の税務課に行き固定資産課税台帳(名寄台帳)を調べることが多いでしょう。
ただし、相続人と被相続人の関係がわかる戸籍謄本などの書類の提出が必要です。

預貯金については、取引のあった金融機関に対して、同じく御父様の相続人であることを示して、口座の有無や取引の履歴を開示してもらうことが必要になります。

この対応は弁護士法を通じて弁護士が行うことが多いですが、金融機関ごとに対応が実にまちまちであり、一般的にここまでは開示してもらえるなどのアドバイスができません。

負債についてはCICなど信用情報を登録している機関に問い合わせて、借入が残っていないか調べる方法があります。

いずれにしてもご本人のみで調査することは非常に負担が重いと思われますので、相続財産の調査をするご意向があればお近くの弁護士などにご相談される方がよいでしょう。

財産の内容は、不動産であれば市役所の税務課、預貯金は金融機関、借金などの負債は個人信用情報機関に問い合わせることなどにより、調べることができるようです。 亡くなった親が借金を残していて、その借金の返済義務を負いたくない場合、相続放棄の手続きを決められた期限内に行う必要があります。 相続放棄の手続きを行う期限は、自分のために相続の開始があったことを知った時(通常は被相続人の死亡を知った時)から3か月以内です。

相続自体が面倒…そんな時はどうする?

相続の手続きをすること自体が面倒だという場合、何も手続きをせず放置していてもいいのでしょうか。

行方不明で疎遠の父が孤独死し発見された。相続放棄した方が良いのか?


相談者の疑問
友人代理でのご質問です。45年以上前に行方不明になっていた父が孤独死し発見されたと、警察署から連絡があったようです。

行方不明になってから、全く音沙汰もなく、もはや他人に近い関係であったので遺体の引き取りは拒否したそうです。

生前の生活環境や、住まいなども全く不明で、借金などがあるかもわからないようです。今後、借金や色々な問題が起きないように、相続を放棄した方が良いのかと悩んでいるのですが、このような場合も、相続放棄の手続きは必要なのでしょうか?


川添 圭弁護士
お父さんの死亡を知った日から3か月以内に相続放棄の申述をしなかった場合、単純承認とみなされてしまいます(民法921条2号)。つまり、負債を相続したくないのであれば、相続放棄の手続は必要です。

目ぼしいプラス財産がなく、後日債権者から予期しない高額の請求が来た場合には、請求が来た段階で相続放棄を受理してもらえる場合もありますが、救済措置としての意味合いも強く、当然に認めてもらえるわけではありません。

相続放棄すべきかどうかは個別事案による判断ですので、本件でどうすべきかはあなた自身のご判断となります。

長期にわたり交流がなく、財産の相続自体が面倒である(仮にプラス財産の方が多かったとしても後悔しない)ならば、きちんと家庭裁判所へ相続放棄の手続を採るべきだと思います。

もし資産と負債の状況次第で単純承認することもアリとお考えであれば、財産と負債の状況を調査することになるでしょう(相続の承認・放棄に必要な期間の伸長申立てをすることもできます)。

親が亡くなったことを知った日から3か月以内に相続放棄をしなかった場合、プラスの財産も、借金などのマイナスの財産も引き継いだ(単純承認)とみなされます。 このような場合、相続放棄ができなくなり、亡くなった親が残した借金を相続することになってしまう可能性があります。 亡くなった親と長年にわたって交流がなく、相続の手続き自体が面倒な場合でも、借金が疑われるのであれば、相続放棄の手続きを行った方がよいようです。

相続放棄をするときの注意点

相続放棄の手続きをする際、気を付けたいのは期限だけではありません。 亡くなった親の「財産の処分」にあたることをしてしまうと、相続放棄ができなくなる可能性があります。

亡くなった父の口座からお金を引くと


相談者の疑問
行方不明だった父が亡くなり、相続放棄を考えています。遺体、遺骨も受け取り拒否しました。警察署から、銀行口座にわずかな貯金がありますと聞きました。

その日、主治医の先生にお礼の電話をしたら、父にお金を貸していると聞きました。父の口座から、借りている方に返済するといけないのでしょうか?


高島 秀行弁護士
相続放棄をするのであれば、父の借入金について返済義務は相続しませんので返済する必要はありません。

父の預金口座からお金を引き出すと、相続の単純承認となってしまう可能性があるので、止めた方がよいと思います。

相続放棄をする場合、亡くなった親の預貯金を引き出すといった「財産の処分行為」をすると、プラスの財産もマイナスの財産も引き継いだ(単純承認)とみなされるようです。 つまり、相続放棄ができなくなってしまう可能性があるので、注意しましょう。

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