相続

2018年01月25日

借金を相続したくない…相続放棄のやり方と注意点【弁護士Q&A】

相続の対象となるのは、預貯金や不動産といったプラスの財産だけではなく、借金などマイナスの財産も含まれます。

  • 借金以外の財産だけ相続できる?
  • 相続放棄ってどんな手続き?
  • 相続放棄をするときの注意点は?

これらの疑問について「みんなの法律相談」に寄せられた実際の相談事例と、弁護士の回答をもとに解説します。

目次

  1. 借金以外の財産だけを相続できる?
  2. 相続放棄をする上での注意点は?

借金以外の財産だけを相続できる?

もしも死亡した被相続人に借金の疑いがある場合、相続人はその借金も財産と一緒に相続しなければならないのでしょうか。 借金以外の財産だけ相続することはできないのでしょうか。

遺産を相続すると借金などもついてきますか?


相談者の疑問
①遺産が相続されるのですが、借金などがあれば、遺産と一緒に借金もついてくるのでしょうか?

②借金などがあったとしたら、それを除いて資産だけもらうことはできますか?

③相続について気をつけなければならないこと、今すぐすべきことなどありましたらご教授ください。

離れて暮らしていた父が他界しました。具体的な遺産の内容はまだわかりません(貯金なのか不動産なのか…)離婚後、母のほうにお金も無心にきていたので借金もあるかもしれません。


桑原 義浩弁護士
遺産を相続するとなると、負債、借金も相続することになります。

CICやJICCという信用情報機関で、借金の情報を取り寄せて調査することはできますから、その調査後に、相続するか、相続したくないなら相続放棄するか、あるいは、プラスの財産の限度で負債も相続する限定承認というのがありますが、これらを選択することになります。

なくなったのを知って負債などを知ってから3か月以内に家庭裁判所に手続をしなければなりませんので、時間がないようなら、期間を延長する上申書を裁判所に出しておいた方がいいでしょう。手続き的には、弁護士に依頼しておくことが無難かもしれません。

相続では、亡くなった人のプラスの財産もマイナスの財産も全て引き継ぐことになるため、借金を除いた財産だけを相続することはできないようです。 借金を相続しないためには、プラスの財産も含めて一切の財産を相続しない「相続放棄」か、プラスの財産の限度で借金などを相続する「限定承認」のどちらかを選ぶことになります。 相続放棄も限定承認も、借金などがあることを知ってから3か月以内に、家庭裁判所で手続きを行わなければなりません。

相続放棄をする上での注意点は?

相続放棄の手続きをするときに注意したいのは、期限だけではありません。「あること」を行うと、相続放棄ができなくなってしまう可能性があります。

相続放棄をする際の注意点について


相談者の疑問
1人暮らしをしていた父が亡くなりました。父は生活保護と年金で暮らしておりました。アパートの退去に伴う諸々の費用を私に捻出することができず、やむを得ず相続放棄しようと考えております。

01.生活保護の方から葬祭扶助として火葬費用が支給されるとのことで、先日火葬を終えました。後日、役所の方から「遺留金があるのならそれを全て火葬費用の一部に充てるので支払ってほしい」とのことで、私が申請者となる書類が届きました。

父の自宅にあった現金及び通帳などは現在私の所で保管しております。その中の現金で払ってしまって大丈夫でしょうか?

02.また同じく役所の方より、事務的な手続きの都合で、亡くなった後に今月分の生活保護が口座に振り込まれてしまったのでそれを口座から引き出して返還してほしいと納付書も届きました。

相続放棄をするにあたり故人のお金を勝手には動かせないと思うのですが、上記の作業に問題はありますか?

03.父が住んでいたアパートの管理会社から退去手続きに関する書類が送られてきました。鍵は私が保管しておりますが放置しておいても大丈夫でしょうか?

04.公共料金など、私が金額的に払える範囲の請求を相続放棄完了後に私が支払ってもよろしいでしょうか?


谷林 一憲弁護士
「01.生活保護の方から葬祭扶助として火葬費用が支給されるとの事で先日火葬を終えました。後日、役所の方から「遺留金があるのならそれを全て火葬費用の一部に充てるので支払ってほしい」との事で、私が申請者となる書類が届きました。父の自宅にあった現金及び通帳等は現在私の所で保管しております。その中の現金で払ってしまって大丈夫でしょうか?」

→民法921条で、相続人が相続財産の全部又は一部を処分したときは、相続を単純承認したことになると規定されています。よって、理屈の上では、亡父の現金を使用すれば単純承認となります。

02.また同じく役所の方より、事務的な手続きの都合で、亡くなった後に今月分の生活保護が口座に振り込まれてしまったのでそれを口座から引き出して返還してほしいという事で納付書も届きました。相続放棄をするにあたり故人のお金を勝手には動かせないと思うのですが上記の作業に問題はありますか?

→処分行為は単純承認にあたりますが、管理行為は単純承認には当たりません。もともと亡父の財産にはならない金銭ですから、それを返却する行為は管理行為に当たり、単純承認にはなりません。

03.父が住んでいたアパートの管理会社から退去手続きに関する書類が送られてきました。鍵は私が保管しておりますが放置しておいても大丈夫でしょうか?

→鍵は管理会社に返還すべきです。これも管理行為です。アパートの中にある家財道具は、一応は相続財産です。ですが、金銭的な価値がないものの場合、誰がどう処理するか、管理会社と相談した方がよいでしょう。

04.公共料金など、私が金額的に払える範囲の請求を相続放棄完了後に私が支払ってもよろしいでしょうか?

→あなたの財産から支払うことは単純承認にはなりません。

以上です。1人暮らしの高齢者が増えているので、このような相談は結構多いです。

相続放棄の手続きをしている間に、亡くなった人の現金を使うなどすると、「相続をすることを認めた」(単純承認)と扱われて、相続放棄ができなくなる可能性があるようです。

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