遺言書を破り捨てた相続人にペナルティはある?
ある相続人が遺言書を破り捨ててしまった…。このような場合、遺言書を破棄した相続人には何らかのペナルティがあるのでしょうか。
相談者の疑問
遺産相続の時に、弟が父の遺言書を破り捨ててしまいました。兄弟4人に400万円ずつ配られましたが、弟は相続失格者になりますか。その場合、お金を返させることはできますか。
弁護士の回答鈴木 克巳弁護士
弟が御父様の遺言書を破棄した時点で(御父様が生存中の出来事であれば、その破棄時点から、御父様が他界された後の出来事であれば相続開始時に遡って)、弟は相続欠格者となります。
したがって、弟が相続人であることを前提としたお金(相続財産)を取得しているのであれば、返還請求できます。
ただし、弟が遺言書を破棄をしたことの立証が必要となります。
問題は、返還請求ができる額ですが、弟が破棄した遺言書の内容を立証できれば、当該遺言に基づく配分となります(遺留分の問題は話が複雑になるので割愛します)。
遺言書の内容の立証が難しいのであれば、各相続人が自分の取得分に足りない額を弟に対して返還請求が可能です。
地元の弁護士に相談された上での解決が望ましいかと拝察します。
遺言書を破棄した相続人は相続欠格者となるため、破棄をした時点で相続権を失うようです。 すでに相続財産を取得している場合は、返還するよう求めることができるようです。 ただし、その相続人が遺言書を破棄したことを立証する必要があります。
破棄された遺言書の内容を確認するには?
遺言書を破棄された場合、そこに書かれていた内容を確認する方法はあるのでしょうか。
親戚の配偶者が親戚である自分の事を書いた遺言書が親戚に捨てられた場合
相談者の疑問
私の彼女は母子家庭で、親戚がおじだけだそうです。そのおじの配偶者が亡くなられたそうなのですが、株をしていたらしく、それなりの額の遺産があるそうです。
おじによると、配偶者はおじと彼女とその母親の3人で等分してほしいとの内容が書かれた遺言書を残していたそうです。
しかし、おじはその遺言書を捨ててしまい、一銭もやらないと言ったそうです。そこで先生方に質問が2つございます。
1.この場合はやはり遺産はいただけないのでしょうか。
2.少しでもよいので、彼女の方に遺産が行くようにする方法はないでしょうか。
弁護士の回答岡村 茂樹弁護士
裁判所は、遺言書の状態を書面に残し、遺言書や封筒のコピーなどとともに、「検認調書」と呼ばれる書面にまとめます。相続人は、裁判所に検認調書の謄本の交付を申請することができます。検認をした裁判所と検認の時期がある程度分かれば、可能性があります。
遺言書にはいくつかの形式がありますが、「公正証書遺言」以外の遺言は、家庭裁判所で「検認」という手続きを受ける必要があります。 遺言書が破棄される前に検認を受けている場合、検認をした裁判所と検認の時期がわかれば、相続人は検認調書の謄本の交付を申請できます。 その謄本によって、遺言書の内容を確認できるでしょう。