前妻との間の子は相続人になる?
亡くなった夫に前妻との間の子どもがいる場合、その子も相続人になるのでしょうか。
相談者の疑問
再婚で連れ添った主人が亡くなりました。主人と前妻の間にはすでに成人した子がいるのですが、もう何十年と連絡は取り合っていませんでした。
遺産相続には私とその息子さんとになると聞いたのですが、そんなに大それた物もなく、貯金と家くらいなのですが、私が今も住んでいる家も対象になるのでしょうか?
この家は主人が建てた家ではありますが、私も生活を支えてきました。家を半分に分けることなどできませんので、住むのなら向こうの相続分を支払わないと住み続けることはできないのでしょうか ?
弁護士の回答加藤 尚憲弁護士
(1)法定相続人と法定相続分について
ご主人が亡くなったことにより、あなたと、ご主人の息子さんが、法定相続人になります法定相続分は2分の1ずつです。
(2)遺産分割について
遺産分割は、法定相続人全員(すなわち、あなたとご主人の息子さん)の合意により行います。
遺産分割の対象は、ご主人名義の不動産と預貯金を含む全ての財産です。
誰が家に住んでいるかは、関係がありません。
生活費をあなたが一部出していたと言っても、基本的には、夫婦は相互に生活扶助義務を負っているため、相続とは関係がありません。また、しばらくご主人の息子さんと連絡がないことも関係がありません。
(3)遺産分割の基準について
遺産分割は、相続人全員が合意すれば、どのような分け方でも(例えば、あなたが全て相続するという内容でも)構いません。
ただし、合意ができない場合は、上記の法定相続分が基準となります。
分け方は、持分を半分ずつにするという方法もありますが、他人同士で不動産を共有しても仕方がないので、あなたが不動産の価値の半分を支払って、息子さんの持分を買い取る方法が考えられます。
(4)相続の手続について
不動産の名義変更や、預貯金の解約を行う際に、窓口で遺産分割協議書の提出が必要となります。
大変だからと言って、遺産分割を行わないと、登記名義の変更も、預貯金の解約もできないので、問題は解決しません。
(5)調停について
遺産分割について合意ができない場合は、遺産分割調停を行うことになります。ご自身で行うことが大変な場合は、弁護士に依頼されることをお勧めします。
前妻が再婚している場合は?
亡くなった夫と前妻の間に生まれた子も相続人となるようですが、前妻がすでに再婚している場合はどうなるのでしょうか。
養子縁組をした父親がいる子供は血の繋がった父親の遺産を相続する権利があるのか?
相談者の疑問
今年中に結婚予定のバツイチの男性がいます。
離婚は5年前で、離婚の原因は前妻の浮気。子どもは2人(男8歳、女7歳)で親権は前妻。前妻は離婚後すぐ再婚をしており子どもは新しい父親と養子縁組をしているそうです。前妻が再婚したため、養育費は現在は払っておらず、面会もしていないそうです。
そこでふと疑問に思ったのですが、将来先に彼が亡くなったと仮定して、その遺産は前妻との子どもにも受け取る権利があるのでしょうか?
新しい父親と養子縁組をしている以上、新しい父親の遺産も受け取る権利があるので、彼の遺産も…となるとなんだか腑に落ちません。
(彼は前妻との子どもとは1年ほどしか一緒に暮らしていないそうで、子どもたちは彼のことを覚えていないと思います。彼のことを前妻が子どもたちに話しているかどうかは分かりませんが…)
新しい父親と養子縁組をしていなかったり、前妻がシングルマザーとかなら分かるのですが、そうではないなら今後生まれるであろう私と彼との子どもに残してあげたいのです。
弁護士の回答岡村 茂樹弁護士
そこでふと疑問に思ったのですが、将来先に彼が亡くなったと仮定して、その遺産は前妻との子どもにも受け取る権利があるのでしょうか?
1.離婚しても親子関係は継続するので、当然、そうなります。
新しい父親と養子縁組をしている以上、新しい父親の遺産も受け取る権利があるので、彼の遺産も…となるとなんだか腑に落ちません。
1.相続は、法律上の親子関係の存在があれば認められてしまいます。
(彼は前妻との子どもとは1年ほどしか一緒に暮らしていないそうで、子どもたちは彼のことを覚えていないと思います。彼のことを前妻が子どもたちに話しているかどうかは分かりませんが…)
1.一度も親の顔を見ていない子どもにも相続権があります。
もし二重に受け取る権利があるのだとしたら、離婚・再婚し子どもを養子縁組させた人が得をするように思えてしまって納得できないのです。
1.相続人は、親ではなく子どもです。
新しい父親と養子縁組をしていなかったり、前妻がシングルマザーとかなら分かるのですが、そうではないなら今後生まれるであろう私と彼との子どもに残してあげたいのです。
1.私と彼との子どもに全財産を相続させる遺言をすることはできます。
2.ただし、前妻との子どもは遺留分があります。