【法定後見】保佐の制度で受けられるサポートの内容

判断能力が衰えた人の財産を、家庭裁判所に選ばれた人が本人に代わって管理したりする「法定後見制度」は、物事を判断する能力がどの程度あるかによって、「後見」「保佐」「補助」という3種類に分けられます。 ここでは、中程度の認知症などで、判断能力が全くないわけではないものの、著しく不十分であるという人が利用の対象となる「保佐」について、以下のポイントを中心に解説します。

目次

  1. 保佐が利用できるケース
  2. 保佐制度で受けられる支援の内容
  3. 保佐人の義務

保佐が利用できるケース

「保佐」は、法定後見制度の3つのタイプの中で、物事を判断する能力の低下レベルが「中程度」の人が対象となる制度です。 3つのタイプの中でも、「後見」は判断能力が全くない人が対象の制度です。それに比べて、保佐は、判断能力が全くないわけではないけれど、著しく不十分という人が対象となります。 たとえば、次のようなケースで、保佐制度が適用されます。

  • 中程度の認知症
  • 1人暮らしができ、日常生活を送ることはできるが、重要な法的判断が難しい

具体的には、次のようなケースで保佐制度の利用が認められています。

最高裁判所事務総局家庭局「成年後見関係事件の概況 平成12年4月から平成13年3月~」より・本人は中程度の認知症を発症していた。
・本人は1年前に夫を亡くしてから一人暮らしをしていた。
・以前から物忘れが見られたが、最近症状が進んだ(買物の際に1万円札と5000円札のどちらを出したか分からなくなることが多くなった)。
・こうしたことから、日常生活に支障が出てきたため、長男家族と同居することになった。

保佐制度の支援を受けることになる人を「被保佐人」、支援をする人を「保佐人」といいます。 保佐制度を利用するためには、本人の親族などが、家庭裁判所に申立てを行います。 その後、裁判所によって本人の判断能力の鑑定や調査などが行われ、本人を支援する保佐人が選ばれます。

保佐制度で受けられる支援の内容

被保佐人を支援するために、保佐人には次のような権限が与えらます。

  • 同意権

同意権とは、本人が契約などをするときに、その行為が本人にとって不利益でないかを検討して、問題がなければ同意する権利です。成年後見人等は、同意がない本人の法律行為(契約など)を取り消すことができます。

  • 取消権

取消権とは、本人が同意権者の同意なく結んだ契約などの法律行為を取り消すことができる権利です。 保佐人は、被保佐人が次の9種類の行為をする場合に、同意するかどうか決める権利が法律上当然にあります。 また、これら以外にも同意権を付与するよう家庭裁判所に申し立てることも可能です(同意権の拡張)。 保佐人の同意なしに被保佐人が行った行為について取り消すことができます。

・貸した土地、建物、お金を返してもらったり、それらを他人に貸したりすること
・お金を借りたり、保証人になったりすること
・不動産や高価な財産を売買したり、不動産賃貸借を解除したりすること
・訴訟を起こしたり、取り下げたりすること
・贈与や和解、仲裁の合意をすること
・相続の承認や放棄、遺産分割をすること
・贈与や遺贈を断ったり、負担付贈与(世話をする代わりに、不動産をもらうなど)や負担付遺贈を受けたりすること
・新築、改築、増築や大修繕をすること
・一定の期間(土地であれば5年、建物であれば3年)を超える賃貸借契約をすること

これら以外の、食料品・日用品を買うなどの日常生活に関する行為や結婚などの身分行為は、保佐人の同意を得る必要はなく、取消しの対象にもなりません。

判断能力が全くない人が対象となる「後見制度」では、支援者である後見人に、本人の代わりに法律行為を行う「代理権」が与えられています。

  • 代理権

代理権とは、物の売買やアパートを借りるなどの行為を、本人に代わって本人のために行う権利です。 一方、保佐制度では、保佐人にはもともと代理権が与えられていません。保佐人に代理権を与えるためには、家庭裁判所に「代理権付与の審判」を申し立てる必要があります。 そして、保佐人が被保佐人を代理できる行為の内容・範囲は、被保佐人の同意を得た上で、裁判所が判断して決めることになります。

保佐人の義務

保佐人は、権限だけでなく、次のような義務にも留意して職務にあたる必要があります。

  • 保佐人に選ばれた人は、本人のために誠実に仕事としての注意力をもって職務に当たる(善管注意義務)
  • 本人の意思を尊重する(本人意思尊重義務)
  • 本人の心身の状態や生活状況に配慮する(身上配慮義務)

保佐人は、このような義務を果たしながら、本人の行為に同意を与え、またはこれを取り消したり、定められた範囲で本人を代理したりして、本人を保護し、支援を行うことになります。

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