代襲相続

弁護士監修記事 2017年06月30日

「代襲相続」どんな場合に起こるのか…仕組みを詳しく解説

被相続人(亡くなった方)が死亡した時点で、本来の相続人(子・兄妹など)がすで死亡していた場合、その「本来の相続人」をとびこえて、孫やおい・めいが遺産を引き継ぐことになります。「代襲相続(だいしゅうそうぞく)」という仕組みです。

  • 代襲相続とは
  • 代襲相続はどんな場合に起きるのか

この記事では、どんな場合に代襲相続が起こるのか詳しく紹介します。

目次

  1. 代襲相続とは?
  2. 代襲相続が起きるケース
    1. 相続人が「相続欠格」にあたる場合
    2. 相続できる権利を奪う「廃除」の仕組み
    3. 相続放棄があった場合、代襲相続は起こらない
  3. 代襲相続の対象
    1. 養子の扱いはどうなるのか

代襲相続とは?

被相続人(亡くなった方)が死亡した時点で、本来の相続人(子・兄妹など)が死亡していたり、相続する権利を失うなどしていたりした場合、「本来の相続人」の代わりに、孫やおい・めいが相続するのが、「代襲相続」というルールです。 具体的にはどういうことなのか、次のケースで考えてみましょう。

  • 家族構成は、父(被相続人)・母・息子・息子の妻・孫
  • 父が亡くなった時点で息子はすでに死亡していた
  • 父は遺言書を残していなかった

この家族構成で息子が生きていたとすると、父の遺産を受け継ぐ権利があるのは、母(1/2)と息子(1/2)です(法定相続)。 しかし、息子はすでに死亡しているため、遺産を相続することができません。 「相続人が権利を引き継ぐためには、相続が開始する時点(被相続人が死亡した時点)で相続人が存在してなければならない」とう相続の原則があるからです。 この原則を、「同時存在の原則」といいます。この原則に忠実にしたがうと、被相続人が死亡した段階で「相続人は母だけだった」ということになり、母が100%遺産を引き継ぐという結論になります。 この原則の例外にあたるのが、「代襲相続」の仕組みです。今回のケースでは、すでに相続人ではなかった息子に代わり、息子の子(孫)が父の遺産の1/2を相続することになります。

代襲相続が起きるケース

相続人にあたる人が死亡していた場合のほかにも、次の2つの場合に代襲相続が起きます。

相続人が「相続欠格」にあたる場合

相続欠格とは、遺産を不正に手に入れようするなど「相続人となるのにふさわしくない人」から相続する権利を奪うルールです。 欠格事由は民法に定められており、たとえば、次のようなことをした人は相続欠格にあたります。

・被相続人、自分よりも相続人になる優先順位が高い人、自分と同じ順位の相続人を、故意に死亡させ(または死亡させようとして)、刑罰を受けた
・被相続人が殺されたことを知っていたのに、告発・告訴をしなかった(犯人が自分の配偶者、子・親などの直系血族だった場合は除く)
・被相続人が遺言を作成・遺言の撤回などをしようとした際、だます・脅すなどして妨害した
・被相続人をだます・脅すなどして、遺言を作成させたり、取り消させたり、変更させたりした
・遺言書を偽造したり、破棄したりした

相続できる権利を奪う「廃除」の仕組み

「廃除」とは、遺言者の意思によって、推定相続人から相続する権利を奪うことです。 たとえば、被相続人が生前、子から日常的にひどい暴力を受けていて「この子に財産をあげたくない」と考えたとしましょう。 こうした場合、被相続人は、家庭裁判所に子を相続人から廃除することの審判を申立て、その子に財産を相続させないことができます。 また、被相続人は、遺言によって廃除の意思を明らかにすることもできます。その場合には、遺言の効力が生じた後(被相続人が死亡した後)、遺言執行者が遅滞なく、相続が開始した地域を管轄する家庭裁判所に対し、廃除の申立てを行うこととなります。

廃除は、特に理由もなく認められるわけではありません。「被相続人に対する虐待」「著しい非行」など、特別な事情があった場合に認められます。

相続放棄があった場合、代襲相続は起こらない

相続人に残された遺産が、借金などの「マイナスの財産」ばかりのようなケースで、相続する権利を放棄することを「相続放棄」といいます。 相続人が相続する権利を失うという点では死亡や廃除と共通していますが、相続放棄の場合は、代襲相続は起こりません。 相続放棄について詳しく知りたい方は、次の記事をご覧ください。

代襲相続の対象

代襲相続のルールが適用されるのは、孫(子の子)と兄弟姉妹の子(おい・めい)です。 被相続人の子も孫も死亡しているような場合は、被相続人のひ孫が代わりに遺産を引き継ぎます。実際にそうしたケースはまれかもしれませんが、ひ孫が死亡していれば玄孫(やしゃご)がといったように、次々に繰り下がります。 このように、代襲相続が重なることを「再代襲相続」といいます。 一方、兄弟姉妹の子の場合、再代襲相続は起こりません。 被相続人の親族が、「配偶者・兄・兄の息子(おい)」だったというケースを考えてみましょう。 本来、被相続人の遺産を引き継ぐ権利があるのは配偶者と兄です。しかし、兄が被相続人より先に死亡していた場合は、被相続人のおいが相続することになります。 仮に「おいの子」がいて、おいがすでに死亡していたような場合でも、「おいの子」が再代襲相続によって遺産を相続することはないということです。

養子の扱いはどうなるのか

相続に関して、養子は実の子と同じようにあつかわれます。したがった、養親が死亡したときには、その遺産を相続することができます。 養親(養子の親)が死亡した時、すでに養子が死亡していた場合には、養子に子がいれば、その子が遺産を引き継ぐことができます。 ただし、養子の子が養子縁組前に生まれていた場合には、養子の子は養親の遺産を代襲相続することはできません。 なぜ、縁組前か後かという理由だけでこうした違いが生じるのでしょうか? 民法では、次のような条文が定められています。

民法727条養子と養親及びその血族との間においては、養子縁組の日から、血族間におけるのと同一の親族関係を生ずる

養子と養親・その親族とは、「養子縁組の日」から法的な親族関係が生じます。つまり、養子縁組の日時点での養子の親族(縁組前に生まれた子)とは親族関係が生じないことになります。 そして、代襲相続のルールが適用されるためには、被相続人の「直系卑属(ちょっけいひぞく)」であることが条件になっています。 そのため、養親との親族関係が生じていない「縁組前の養子の子」には、代襲相続のルールが適用されないのです。

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