相続放棄をすればお墓を管理する義務からも解放されるのか【弁護士Q&A】

遠方に住んでお墓に行くことが億劫だったり、お墓の管理費などの維持費を支払いたくなかったりした場合、相続放棄をすることでお墓を管理する義務も引き継がなくてよくなるのでしょうか。 相続放棄ではお墓を管理する義務から解放されない場合、どのような手続きが必要なのでしょうか。 「みんなの法律相談」に寄せられた実際の相談事例と弁護士の回答を元に解説します。

目次

  1. 相続放棄するとお墓を管理する義務も引き継がなくてよくなるのか
  2. 祭祀承継はどうやって決めればよいのか

相続放棄するとお墓を管理する義務も引き継がなくてよくなるのか

相続放棄をすれば、お墓を管理する義務からも解放されるのでしょうか。

相続放棄とお墓の管理費について

相続放棄とお墓の管理費について 相続放棄の範囲についてです。
主人の父親の相続放棄が完了しました。母親は生きています。主人の父親側のお墓(市が管理している霊園にお墓を作っています)について、少し疑問が出てきました。現在、亡くなった父親が、管理費を口座引き落としにしているたみたいです。

生前からお墓については揉めていて、こちらは永代供養を考えていますが、父親は永代供養を拒否。今後の管理費支払いは、母親がするのですが、母親が払わなければこちらに請求が来るとおもいます。

お墓の管理費について、相続放棄をした場合、払う必要はないのでしょうか?相続放棄とお墓の管理費は関係ないものでしょうか?

木野 達夫の写真 弁護士の回答木野 達夫弁護士 1.相続放棄とお墓の管理費は別問題です。

民法897条によれば、お墓などは相続財産ではなく、誰が承継するかは、①遺言で指定があれば指定された人②地域に慣習があれば慣習に従う③慣習がはっきりしない場合は裁判所が決める、という順番で決まります。

お墓などを承継する人のことを「祭祀承継者」といいます。

相続人の一部が相続放棄をしても関係ありません(相続放棄した人が「祭祀承継者」になる場合もあります)。

2.仮に上記1によって、「母親」が「祭祀承継者」ということであれば、ご主人には管理費の支払義務はありません。

したがって、その場合、「母親」が管理費を支払わない場合に、法的な意味でご主人に対して管理費の請求を行うことはできないことになりますが、事実上、「管理費を支払ってもらえないと無縁仏に移します」という通知が関係者(ご主人も含む)に送られてきます。

それを無視して支払いをしなければ無縁仏(合祀墓地)に移されます。

3.仮に上記1によって、ご主人が「祭祀承継者」ということであれば、相続放棄をしていてもご主人が管理費を支払う義務を負います。支払わなかった場合は上記2と同様の流れになるでしょう(法的手続までしてご主人に対して管理費の支払いを請求したりはしないでしょう)。

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祭祀承継はどうやって決めればよいのか

相続放棄をしてもお墓を管理する義務からは当然には解放されず、別途「祭祀承継者」という役割の人を選ぶ必要があるようです。では、祭祀承継者はどのように決めればよいのでしょうか。自分がなりたくない場合は、拒否することはできるのでしょうか。

祭祀承継拒否するタイミングおよび方法について

祭祀承継拒否するタイミングおよび方法について 相続放棄する予定ですが、祭祀承継者の地位は放棄できないと聞きます。一方、祭祀承継者の地位は「放棄」できないものの「拒否」はできる、という何とも素人には意味不明なものであると聞きます。質問ですが、祭祀承継者となることを「拒否」するタイミングと方法を教えてください。

例えば、相続放棄申述と合わせて、祭祀承継拒否の申し立ても行えますか?いつ、どのように祭祀承継拒否できますか?

三本 章の写真 弁護士の回答三本 章弁護士 祭祀承継者については、放棄が出来ない、というよりも相続の対象にならないので相続放棄をしても効力が無いということになります。

一般家庭において言えば、誰が墓を継ぐのか?という点で最も問題となります。これについては、慣習や氏名が無ければ、相続人に限らず、一族で誰が承継して管理していくのかを協議して定めることになります。拒否については、その協議の中で承継者とならないことを主張するということになります。

他に誰も承継者がいないのであれば、承継せざるを得ないことが多く、場合によっては承継したうえで墓を処分するという対応を取ることもあります。

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