あなたの財産を家族が相続するときに支払うことになる相続税の計算方法

あなたの財産を家族が相続するときに、相続税を支払うことが予想されるなら、どのくらいの金額を支払うことになるのかを計算してみましょう。 あらかじめ、納税額が予想できれば、事前にそのための資金を用意しておくことができます。また、節税対策をするかどうかを判断する目安にもなります。 この記事では、相続税の計算方法について詳しく解説します。

目次

  1. 相続税の計算には7つのステップがある
  2. 【ステップ1】財産の相続税評価額の総額を調べる
    1. 不動産の相続税評価額
    2. 株式の相続税評価額
    3. 国債の相続税評価額
    4. 自動車や美術品、貴金属など
    5. ゴルフ会員権
    6. 生命保険金
    7. 調べた財産の総額を計算する
  3. 【ステップ2】財産の合計額から基礎控除額を差し引く
    1. 具体例
  4. 【ステップ3】課税遺産総額を法定相続分に応じて分ける
    1. 具体例
  5. 【ステップ4】分割したそれぞれの金額に相続税の税率を掛けて仮の税額を出す
    1. 具体例
  6. 【ステップ5】各相続人の税額を合計する
    1. 具体例
  7. 【ステップ6】実際に取得した財産の額に応じて分ける
  8. 【ステップ7】控除や加算が適用される場合もある

相続税の計算には7つのステップがある

alt 相続税の計算は、大きく次の図のような流れで進めていきます。全部で7つのステップがあります。 alt まず、あなたが持っている財産の価値の総額を計算します。 次に、財産の価値の総額から基礎控除額を差し引きます。 そのあと、法律のルールで決められている、それぞれの相続人の財産の取り分(法定相続分)に応じて金額を分けます。相続人ごとの仮の相続税額が算出できます。 相続人ごとの仮の相続税額をすべて合計し、今度は実際に財産を受け継ぐ分の割合に応じて相続税額を計算します。 最後に、未成年者控除などの控除や、加算がある場合にはそれも計算します。 それぞれのステップを以下で詳しく確認していきましょう。

【ステップ1】財産の相続税評価額の総額を調べる

alt まず、あなたが持っている財産のうち、相続税がかかる財産の総額を計算します。 財産の総額は、それぞれの財産の「相続税評価額」を合計して算出します。 相続税評価額は、国税庁が定めた相続税を計算するための遺産の評価方法により算出する価格です。 相続税がかかる財産には、以下のようなものがあります。

  • 現金
  • 預貯金
  • 不動産(土地・建物・他人が所有する土地を利用する権利)
  • 株式
  • 国債
  • 投資信託
  • 動産(車や貴金属など)
  • 権利(ゴルフ会員権など)

不動産や株式など、そのままでは価値がいくらかわかりにくい財産は、それぞれ適した相続税評価額の調べ方があります。どのように調べればよいのか、財産の種類ごとに確認していきましょう。

不動産の相続税評価額

alt 不動産の相続税評価額を計算する方法は、大きく土地か建物かで異なります。

  • 土地
  • 戸建て住宅
  • 分譲マンション

あなたが土地を所有しておらず、借地権を持っている場合でも、相続税が発生する可能性があります。借地権の相続税評価額の計算方法も併せて紹介します。

土地

土地の相続税評価額を調べる方法については、次の記事で詳しく解説しています。

戸建て住宅の場合

戸建て住宅の相続税評価額は、「固定資産税評価額」と同額です。 固定資産税評価額は所有者に年1回、市町村から送られてくる「固定資産税納税通知書」(課税明細書)で確認できます。 「価格」や「評価額」と記載されている部分の価格が固定資産税評価額にあたります。

分譲マンション

分譲マンションの相続税評価額は、「1戸分の建物の相続税評価額」と、「1戸分の土地の相続税評価額」を合計して計算します。 分譲マンションを所有している人は、「建物の一部を所有している」と考えているかもしれませんが、正確には、土地と建物を、どちらも所有しています(土地の部分については、地上権など所有権とは別の権利が設定されている場合もあります)。 そのため、1戸分の建物と1戸分の土地の相続税評価額を合計する必要があるのです。 分譲マンションの相続税評価額の算出方法については、次の記事で詳しく解説しています。

借地権

あなたが土地を所有しておらず、借りているだけであっても、家族は、「他人が所有する土地を利用する権利(借地権)」を相続することができます。 そして、借地権であっても、相続税が発生する可能性があります。 借地権の相続税評価額は、土地の相続税評価額に「借地権割合」という数値をかけることで算出できます。 借地権の相続税評価額については、次の記事で詳しく解説しています。

株式の相続税評価額

株式には「上場株式」と「非上場株式」があり、それぞれ相続税評価額を調べる方法が異なります。

上場されている株式・投資信託

上場されている株式の相続税評価額は、あなたが亡くなった日を基準に、「あなたが死亡した日の最終価格」など4種類の価格(株価)のなかで、もっとも低い価格が該当します。 あなたが、相続対策としてこれらの財産の相続税評価額を調べるときには、「現在の価格」を出せばよいでしょう。 現在の価格は、インターネットで、「◯◯(株式を発行している会社の名前) 株価」などと検索することで、調べることができます。 上場されている投資信託の相続税評価額も、この方法で調べることができます。

非上場株式

非上場株式は市場で売買されていないため、公開された価格がありません。 その非上場株式を発行している会社の配当金額や、利益金額、純資産価額などの数値を用いて、自分で評価額を算出することになります。 具体的な算出方法が国税庁のホームページで紹介されているので、確認してみましょう。 自分で算出することが難しい場合は、弁護士や税理士などの専門家に相談することをおすすめします。

国債の相続税評価額

国債の相続税評価額は、あなたが亡くなった時点で、その国債を中途換金した場合の価格です。 ここでは、ひとまず、現時点で中途換金した場合の額を調べてみましょう。 中途換金した場合の額の目安は、財務省のホームページで調べることができます。 また、その国債を購入した金融機関に問い合わせることでも確認できます。

自動車や美術品、貴金属など

自動車や美術品、貴金属の相続税評価額は、その動産の売買実例価格や、専門家から意見を聞いた価格を参考にすることが一般的です。 自動車であれば自動車の買取業者、美術品や骨董品なら美術商などの専門家に査定を依頼するなどして、価格を算出してみましょう。

ゴルフ会員権

ゴルフ会員権は、取引価格の70%が相続税評価額となります。取引価格は、ゴルフ会員権の売買仲介会社のホームページで調べることができます。

生命保険金

生命保険金は、相続の対象となる財産ではありません。 しかし、相続税を計算するときには、相続財産とみなして、相続財産に含めて相続税の計算をします。 生命保険金には、非課税枠があります。どちらも、次の計算式の金額までは、相続税がかかりません。 500万円 × 法定相続人の人数 非課税枠を表にすると、次のようになります。

法定相続人の数 非課税枠
1人 500万円
2人 1000万円
3人 1500万円
4人 2000万円
5人 2500万円

あなたが亡くなったときに家族が受け取る生命保険金の金額と、その非課税枠を確認し、生命保険金の金額から非課税枠を差し引きます。 たとえば、生命保険金の金額が3000万円で、相続人が「配偶者」と「子ども2人」の場合、非課税枠は1500万円(500万円×3人)です。 3000万円から1500万円をマイナスした1500万円を、相続財産に含めて、相続税を計算します。

調べた財産の総額を計算する

これまで調べてきた不動産や株式などの財産の相続税評価額と、生命保険金の金額を合計します。 あなたに借金などのマイナスの財産があり、完済の見込みがない場合には、合計額からその分を差し引きます。 この合計額を「課税価格」といいます。

【ステップ2】財産の合計額から基礎控除額を差し引く

alt 課税価格がわかったら、ここから「基礎控除」の額を差し引きます。 基礎控除の額は、次のように計算します。 3000万円 + 600万円 × 法定相続人の数 相続税は、財産の総額が「基礎控除(非課税枠)」の額を上回っている場合に、支払う義務が発生します。 alt たとえば、相続人が1人の場合、基礎控除は3600万円(3000万円+600万円×1人)です。2人なら4200万円(3000万円+600万円×2人)、3人なら4800万円(3000万円+600万円×3人)となります。 相続人が3人のケースでいうと、遺産の総額が4800万円を下回っていれば、相続税を支払う必要はないということです。

具体例

例えば、相続人が「配偶者」と「子ども2人」で、課税価格が1億6000万円のケースをもとに計算してみましょう。 相続人が3人なので、基礎控除は4800万円(3000万円+600万円×3人)です。 課税価格の1億6000万円から、基礎控除の4800万円を差し引くと、1億1200万円となります。 課税価格から基礎控除を差し引いた金額のことを「課税遺産総額」といいます。

【ステップ3】課税遺産総額を法定相続分に応じて分ける

alt 次は、課税遺産総額を、法律で決められた財産の分け前(法定相続分)に応じて分けます。

具体例

上と同じ例で考えてみましょう。相続人が配偶者、子ども2人の合計3人の場合、法定相続分は配偶者が1/2、子どもが1/4ずつとなります。 課税遺産総額が1億1200万円だとすると、妻の分は1億1200万円 ÷ 2 = 5600万円、子ども1人あたりの分は1億2000万円 ÷ 4 = 2800万円となります。

【ステップ4】分割したそれぞれの金額に相続税の税率を掛けて仮の税額を出す

alt 法定相続分に応じて分けたそれぞれの金額に、相続税の税率をかけます。控除額がある場合は、控除額を差し引きます。 ここで計算される税額は仮の税額です。この金額をそのまま支払うわけではありません。 仮の税額 = 法定相続分で分割した金額 × 税率 ー 控除額 相続税の税率は以下の通りです。

法定相続分に応ずる取得金額 税率 控除額
1,000万円以下 10%
3,000万円以下 15% 50万円
5,000万円以下 20% 200万円
1億円以下 30% 700万円
2億円以下 40% 1,700万円
3億円以下 45% 2,700万円
6億円以下 50% 4,200万円
6億円超 55% 7,200万円

具体例

先ほどと同じ例で仮の税額も計算してみましょう。 課税遺産総額が1億1200万円で、そのうち妻の分は5600万円なので、税率が30%、控除額が700万円です。 この場合、次のように計算します。 妻の税額(仮) = 5600万円 × 0.3 ー 700万円 = 980万円 次に、子ども1人あたりの分は2800万円なので、税率が15%、控除額が50万円です。 計算は次のようになります。 子どもの税額(仮) = 2800万円 × 0.15 ー 50万円 = 370万円

【ステップ5】各相続人の税額を合計する

alt 相続人ごとに計算した税額を、すべて足します。この合計額が、あなたの財産全体に対する相続税額になります。

具体例

先ほどの例では、妻の税額が980万円、子どもの税額がそれぞれ370万円だったので、財産全体に対する相続税額は次のようになります。 あなたの財産全体に対する相続税額 = 980万円 + 370万円 + 370万円 = 1720万円

【ステップ6】実際に取得した財産の額に応じて分ける

alt ここまでは法定相続人と法定相続分をもとに計算してきました。しかし、遺産分割協議によって、法定相続人や法定相続分と異なる分け方がされる場合があります。 そのような場合には、実際に遺産を受け継ぐ人と、実際に受け継ぐ割合によって、相続税額を分割し直すことになります。

【ステップ7】控除や加算が適用される場合もある

alt 相続税を計算するときに、配偶者控除などの控除や、加算が適用されるケースがあります。 控除が適用される場合は、本来支払うべき税額から一定金額を差し引くことができ、相続人の税負担が軽くなります。逆に、加算が適用される場合は、相続税の金額が2割増になります。 控除や加算には、以下のようなものがあります。

控除・加算の種類 どんな場合に適用があるか
2割加算 相続人が夫・妻、父母、子以外の場合
贈与税額控除 3年以内の贈与がある場合
配偶者に対する相続税額の軽減 相続人が夫・妻の場合
未成年者控除 相続人が20歳未満の場合
障害者控除 相続人が障害者の場合
相次相続控除 相過去10年以内に相続があった場合

相続がまだ始まっていない今の時点では、「相続人が誰になるか」は不確定ですし、未成年だった人が相続開始時には成人しているなど、相続人自身の属性が変わることも予想されます。 そのため、あなたの財産を家族が相続するときに、必ずこれらの控除や加算が適用されるとは限りませんが、相続開始時に備えて、家族に対して事前に、このような制度があることを伝えておくとよいでしょう。

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