相続税

弁護士監修記事 2019年01月07日

あなたが借りている土地(借地権)に相続税が生じるかを調べる方法

あなたに、他の人から借りている土地がある場合、家族はあなたが亡くなった後、「他人が所有する土地を利用する権利」(借地権)を相続することになります。 家族が借地権を相続するとき、「相続税が生じるかどうか」、「相続税の金額はどのくらいか」を知るためには、借地権の相続税評価額を把握する必要があります。 この記事では、相続税はどのような場合に支払わなければならないのか、借地権の相続税評価額はどのように算出すればよいのかといった点について解説します。

目次

  1. 土地を借りている場合、家族は「借地権」を相続する
  2. 「相続税を支払うか」を確認するために借地権の相続税評価額を計算する
  3. 借地権の相続税評価額を調べる方法
    1. 土地の相続税評価額を調べる
    2. 「借地権割合」を確認する
  4. 「小規模宅地特例」が適用されるか確認しよう

土地を借りている場合、家族は「借地権」を相続する

alt あなたが土地を所有しておらず、借りているだけであっても、家族は、「他人が所有する土地を利用する権利」(借地権)を相続することができます。 そして、借地権であっても、相続税が発生する可能性があります。

「相続税を支払うか」を確認するために借地権の相続税評価額を計算する

alt 相続税は、財産の総額が「非課税枠(基礎控除)」の額を上回っている場合に発生します。 非課税枠 = 3000万円 + 600万円 × 法定相続人の数 たとえば、相続人が1人の場合、非課税枠は3600万円(3000万円+600万円×1人)です。2人なら4200万円(3000万円+600万円×2人)、3人なら4800万円(3000万円+600万円×3人)となります。 財産の総額は、それぞれの財産の「相続税評価額」を合計して算出します。 相続税評価額は、国税庁が定めた相続税を計算するための財産の評価方法で算出する価格です。 相続税を支払うかどうかを確認するため、借地権の相続税評価額を把握しておきましょう。

借地権の相続税評価額は変動するので、現時点の額と、死亡した時点の額が異なる場合があります。そのため、現時点の相続税評価額から算出した相続税の額と、死亡した時点の相続税評価額から算出した相続税の額も、異なる可能性があることに注意しましょう。

借地権の相続税評価額を調べる方法

alt 借地権の評価方法は、「土地の相続税評価額」に「借地権割合」という数値をかけることで算出することできます。 まず、「土地の相続税評価額」を確認する方法から説明します。

「借地権」は、お金を払って土地を借りた場合の権利のことで、無償で借りている場合(使用貸借)は含まれません。使用借権は原則として相続の対象になりません。

土地の相続税評価額を調べる

土地の「相続税評価額」を評価する方法には、「路線価方式」と「倍率方式」という2つの方法があります。どちらの方法で計算するかは、地域によって異なります。 対象の土地がどちらの方法で計算すればよいのかは、国税庁の「路線価」に関するWebサイトで確認できます。

どちらの方法で計算すればよいのか

国税庁の「路線価」に関するWebサイトのトップページから、相続する土地がある都道府県を選択します。 ここでは例として「東京都」を選択します。 alt 出典:国税庁ホームページ(説明のために画像を加工しています) 次のページには、「評価倍率表」という項目があり、「一般の土地等用」「大規模工場用地用」「ゴルフ場用地等用」のどれかを選ぶ形になっているので、「一般の土地等用」という項目をクリックします。 alt 出典:国税庁ホームページ(説明のために画像を加工しています) 次に、市区町村を選択する画面になるので、相続する土地がある市区町村を選択します。そうすると、その市区町村の「評価倍率表」が表示されます。 ここでは「八王子市」を選択します。 alt 出典:国税庁ホームページ(説明のために画像を加工しています) 「評価倍率表」から相続する土地がある地域を検索し、該当する住所地の「宅地」の欄に何が書かれているかを確認しましょう。 「1.1」など数字が書かれているなら「評価倍率方式」で計算します。数字ではなく「路線」と書かれていれば「路線価方式」で計算します。 alt 出典:国税庁ホームページ(説明のために画像を加工しています) それぞれどのような計算方法なのか確認していきましょう。

「路線価方式」とは

「路線価方式」とは、土地の面積に「路線価」と「補正率」という数値をかけることで、土地の相続税評価額を算出する方法です。

路線価方式路線価 × 補正率 × 土地の面積 = 評価額

「路線価」の確認方法

路線価は国税庁の「路線価」に関するWebサイトで確認できます。 まず、国税庁の「路線価」に関するWebサイトのトップページから、借りている土地がある都道府県を選択します。 ここでは例として「東京都」を選択します。 alt 出典:国税庁ホームページ(説明のために画像を加工しています) 都道府県を選択すると、以下の画像のようなページが表示されるので、「路線価図」という項目をクリックします。 alt 出典:国税庁ホームページ(説明のために画像を加工しています) 次に、市区町村の一覧が表示されるので、借りている土地がある市区町村を選びます。 市区町村を選んでいくと、道路に数字が書かれた地図が表示されます。 この地図が「路線価図」です。道路に書かれた数字が、その道路に面する土地の1㎡あたりの価格(路線価)です。 路線価は千円単位で表示されているので、たとえば、道路に「300」と書かれていれば、その道路に面した土地の1㎡あたりの価格は、30万円(30×1000)ということになります。

路線価を使った計算例

国税庁のホームページで紹介されている、次の例をもとに具体的に土地の相続税評価額を計算してみましょう。 alt 出典:国税庁ホームページ これは、「商業」「工場」「住宅」など土地の用途に応じた区分のうち、「普通商業・住宅併用地区」という区分の土地の道路に面した700㎡の土地です。道路からの奥行きが35メートルあります。 「路線価」は、毎年改定されるので、国税庁のホームページ上に公開されている「路線価図」で確認しましょう。 また、該当する土地の用途に応じた区分も路線価図で確認することができます。土地の種類を示す記号があるので、該当する土地がどの区分なのか確認しましょう。 ◯で囲まれた「300」という数値が路線価(千円単位)を表しています。このケースでは、路線価は、1平方メートルあたり30万円(300×1000)ということになります。 次に、「補正率」は、土地の種類と奥行きの長さによって変わってきます。 補正率は、国税庁のホームページ上で、次のような詳細な対応表が公開されています(該当する部分のみ抜粋)。

奥行きの長さ/土地の区分 普通商業・併用住宅地区 普通住宅地区
4m未満 0.9 0.9
4m以上6m未満 0.92 0.92
6m以上8m未満 0.95 0.95
8m以上10m未満 0.97 0.97
10m以上12m未満 0.99 1
12m以上14m未満 1 1
14m以上16m未満 1 1
16m以上20m未満 1 1
20m以上24m未満 1 1
24m以上28m未満 1 0.97
28m以上32m未満 1 0.95
32m以上36m未満 0.97 0.93
36m以上40m未満 0.95 0.92

この土地は、奥行きが35メートルあり、「普通商業・住宅併用地区」なので、補正率は、0.98になります。 路線価と補正率に土地の面積をかけた数字が、路線価方式での土地の評価額になります。 30万 × 0.97 × 700 = 2億370万円

補正率は、この他土地の形状などさまざまな条件で変動する可能性があり、一般の方が自力で正確な補正率を算出することが困難なケースもあります。計算に不安を感じた場合は、弁護士などの専門家に依頼することを検討してもよいでしょう。

「倍率方式」とは

路線価が設定されていない場合、「倍率方式」により土地の相続税評価額を算出します。 倍率方式は、固定資産税評価額に評価倍率をかけることで算出できます。 たとえば、固定資産税評価額が2000万円の土地の評価倍率が「1.1」の場合は、次のような計算になります。 2000万 × 1.1 = 2200万円

「借地権割合」を確認する

ここまでで、土地の相続税評価額がわかりました。最後に、土地の相続税評価額にかける「借地権割合」の求め方を確認しましょう。 借地権割合は、国税庁の「路線価」に関するWebサイトで確認できます。「路線価図」にある路線価を示す数字の横のアルファベットが借地権割合を示しています。 アルファベットと借地権割合は以下の表のようになっています。

アルファベット 借地権割合
A 90%
B 80%
C 70%
D 60%
E 50%
F 40%
G 30%

「路線価」がない地域では、下の画像のように、評価倍率表にある「借地権割合」という項目に数値が記載されています。 alt 出典:国税庁ホームページ(説明のために画像を加工しています)

路線価方式による借地権の相続税評価額の計算例

まずは、路線価方式で相続税評価額を算出した先程の土地を借りていたと仮定して、具体的に計算してみましょう。 alt 出典:国税庁ホームページ この土地の相続税評価額は以下のように計算します。 30万 × 0.98 × 700 = 2億370万円 この土地の借地権割合は「C」(70%)です。借地権の相続税評価額は以下のように計算します。 2億370万 × 0.7 = 1億4259万円

倍率方式による「借地権」の相続税評価額の計算例

倍率方式で相続税評価額を算出した先程の土地(固定資産税評価額が2000万円、評価倍率が「1.1」)を、被相続人が借りていた場合の計算方法も確認しておきましょう。 まず、土地の相続税評価額は以下のように計算します。 2000万 × 1.1 = 2200万円 借地権割合が60%の場合、借地権の相続税評価額は次のように計算します。 2200万 × 0.6 = 1320万円

「小規模宅地特例」が適用されるか確認しよう

alt 「小規模宅地特例」とは、一定の条件をクリアすると、借地権の相続税評価額を50%または80%減額してもらえる制度です。 財産の合計額が基礎控除額を超えている場合でも、小規模宅地特例により借地権の相続税評価額が引き下げられ、その結果、財産の合計額が基礎控除額を下回れば、相続税を支払う必要がありません。 「小規模宅地特例」が適用されるか確認しましょう。 小規模宅地特例がどんな場合に利用できるかは、次の記事で詳しく説明しています。

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