相続

弁護士監修記事 2018年12月28日

遺産分割前の不動産の固定資産税は誰が支払う?弁護士Q&A

相続が発生してから遺産分割の手続きが終わるまでには一定の時間がかかります。相続財産の中に不動産がある場合、遺産分割の手続きが終わる前に固定資産税を支払わなければならない場合があります。

  • 遺産分割が終わる前の固定資産税の支払いは誰がする?
  • 支払いを自分が立て替えた場合、後から他の相続人に請求できる?
  • 相続不動産に不動産収入がある場合、一部を固定資産税の支払いに充ててよい?

これらの疑問について「みんなの法律相談」に寄せられた実際の相談事例と弁護士の回答を元に解説します。

目次

  1. 相続不動産の固定資産税の支払いは誰が負担する?
  2. 不動産収入の一部を固定資産税の支払いに充ててもよい?
  3. まとめ

相続不動産の固定資産税の支払いは誰が負担する?

alt 相続財産の中に不動産があり、遺産分割の手続きがととのう前に、固定資産税を支払うことになった場合、誰が負担することになるのでしょうか。

不動産を相続分割するまでの賃料や固定資産税について。


相談者の疑問
現在、被相続人所有の家屋に無償で住んでいます。この家は私ではない他の相続人に相続されることになりそうです。

この場合、相続開始から実際に分割して相続するまでの間に無償で住んでいたことは問題になりますか?

また、相続開始から分割までの間の固定資産税はどのような扱いになるのでしょうか?


鈴木 克巳弁護士
被相続人が生きているときから被相続人と一緒に住んでいたというような場合は、貴方には遺産分割協議が成立する前の時点まで「使用借権=ただで住む権利」が継続して存在していたと評価できます。

よって、他の相続人が賃料相当額の支払いを求める権利はないと考えます。

仮に(そんなことはないと思いますが)、被相続人死去後に、貴方が他の相続人の承諾を得ることなく勝手に住み始めたような場合は、他の相続人に対して家賃相当額を支払うべきでしょう。

相続開始から分割までの間の固定資産税は、法的には、共同相続人全員が法定相続分に応じて負担することになります。

そうは言っても、この点は、共同相続人全員で協議して、住んでいた貴方が負担するとか、相続することが決まった相続人が負担するとか、そのような取り決めも可能です。

円満な解決と言うことであれば、貴方か、相続することが決まった相続人かのどちらか、あるいは2人で負担する(その他の相続人は負担しない)として解決することをお勧めします。

法律のルールでは、固定資産税の支払いは、各相続人が法定相続分に応じて負担することになります。 しかし、その不動産を利用していなかった人や、不動産を相続しない人にとっては、固定資産税を負担することが不満な場合もあるでしょう。 円満な解決のためには、不動産に住んでいた人や、相続発生後に不動産を取得する人が固定資産税を支払う、といった取決めをすることも選択肢の1つのようです。

不動産収入の一部を固定資産税の支払いに充ててもよい?

alt 固定資産税を自分が立て替えることになった場合、他の相続人に後から請求できるのでしょうか。不動産収入がある場合、その一部を固定資産税の支払いに充ててもよいのでしょうか。

被相続人の税金等の建替え分を相続が完了する前に請求できるのか。


相談者の疑問
相続の話合いが相続人同士の不仲によって進まないので、固定資産税などを現在私が立て替えています。

立て替える税金が少額でしたらいいのですが、被相続人には不動産収入もあり、固定資産税が高額です。

不動産収入自体は相続が終わるまで法定相続人で平等に分割するということで、相続人たちに毎月分配しています。

私も相続人の1人としていくらか分配金は入っていますが、固定資産税が高額なのと、法定相続人が多いため、実質かなり持ち出しをしていて生活が圧迫されています。

この相続人に分割して支払っている不動産収入からその不動産の分の固定資産税を支払うことは違法になりますか?


新保 英毅弁護士
理論的には、相続開始後、遺産分割成立までの間に発生した相続不動産からの賃料収入は、遺産とは別個の財産として、法定相続分に応じて、各相続人に分割して帰属することになります。(最高裁平成17年9月8日判決)

他方、相続開始後、遺産分割成立までの間に発生した相続不動産の固定資産税は、各相続人が法定相続分に応じた支払い義務を負うことになります(地方税法9条など)。

その結果、相談者は、自己の相続割合を超えて支払った固定資産税額について他の相続人に対する立替金が発生し、償還請求することが可能です。

ただし、賃料債権が相続分に応じて当然分割されることと、固定資産税に関する立替金の償還は別個の法律関係ですので、他の相続人と協議をした上で、賃料収入から支払う取り決めをされた方がいいでしょう。

どうしても協議が整わない場合は、固定資産税の立替金を他の相続人に請求した上で、支払いがない場合、他の相続人が受領すべき相続不動産賃料債権を差し押さえるという手続きになろうかと思います。

相続不動産の固定資産税を建て替えた人は、後から、他の相続人に対して、それぞれの法定相続分に応じた額を請求することができます。 不動産収入の一部を固定資産税の支払いに充てたい場合、無用なトラブルを避けるためには、あらかじめ他の相続人と話し合って同意を得ておくとよいでしょう。

まとめ

遺産分割の手続きが終わる前に発生した、相続不動産の固定資産税は、原則として各相続人が、それぞれの法定相続分に応じて負担することになります。 話合いで同意できれば、その不動産を利用していた人や、相続する予定の人が、固定資産税を負担するという取決めをすることもできます。 固定資産税を不動産収入から支払う場合は、事前に他の相続人の同意を得ておくことで、トラブルを避けられるでしょう。

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