相続分

弁護士監修記事 2018年12月28日

親の介護をしていれば他の兄弟より多く遺産をもらえるのか

遺言を残さずに親が亡くなった場合、兄弟同士の遺産の取り分はそれぞれ同じ割合になります。 では、兄弟の中で自分だけが、亡くなった親の介護をしていた場合、他の兄弟よりも遺産の取り分を多くしてもらうことができるのでしょうか。 みんなの法律相談」に寄せられた実際の相談事例と弁護士の回答を元に解説します。

目次

  1. 介護をしていたことを理由に遺産の取り分を増やしてもらえるか
  2. 寄与分が認められるポイントと有効な証拠

介護をしていたことを理由に遺産の取り分を増やしてもらえるか

親の介護を、兄弟の中で1人だけがしていた場合、その人は、遺産分割で「他の兄弟より取り分を多くしてほしい」と主張できるのでしょうか。

遺産相続 兄弟トラブル


相談者の疑問
私の父親と父親の弟、妹が、去年亡くなった祖母の遺産分割調停を行っております。

父親は祖父の存命中に購入した土地、建物のローン返済を手伝っており、母と結婚後も同居しローン返済しておりました。

結婚4年後に祖父が仕事中に事故死し、祖母が一括返済し土地の名義は祖母に変更しました。祖母は亡くなる10年前に脳梗塞を発症し次第に認知症も進行し、父と母は昼夜とわず介護しました。

父の弟も妹も介護はいっさいしていません。しかし父は祖母の金銭的な扶養はしていませんでした。財産は不動産だけです。

金銭的な扶養をしていないと寄与分は発生しませんか?

ちなみに父の弟は祖母に土地を購入してもらっております。父の妹は最低500万円以上の現金を贈与されてます。

少しでも、土地を多く分割できる方法を御指南ください。


森田 英樹弁護士
金銭的な扶養をしていないと寄与分は発生しませんか?

扶養介護を理由として寄与分を主張することが可能です。

最悪、土地を少しでも多く分与されるようにするには、どのような手段がありますか?

・祖父生存時にローンの支払いをしていた事情を主張されれば若干の調整にはなるはずです。

ちなみに父の弟は祖母に土地を購入してもらっております。父の妹は最低500万円以上の現金を贈与されてます。

・これらは特別受益つまり生前に相続の前渡しを受けたことになりますので 叔父叔母の具体的取り分をその分減額させることができます。

亡くなった人を介護していた人は、「寄与分」という形で遺産の取り分の増額を主張できる可能性があります。 介護だけではなく、亡くなった人の借金を肩代わりしていた場合も、遺産の取り分を他の兄弟よりも多くしてもらう事情として主張できるでしょう。 また、他の兄弟が生前に遺産を譲ってもらっていたなどの事情があれば、その分を減額させることを主張して、遺産の取り分を調整することができます。

寄与分が認められるポイントと有効な証拠

寄与分について相続人同士の話合いで合意できなければ、家庭裁判所の手続きの中で、寄与分が認められるかどうかの判断を求めることになります。 介護をしていたという事実を示せれば、寄与分は認められるのでしょうか。どのような証拠があればよいのでしょうか。

寄与分に関して


相談者の疑問
長男夫婦は祖母や祖父の面倒はみず、介護や葬式にもノータッチ。

遺産分割協議にも応じず、家も財産も自分達の物と独占しようとしているので、いずれは裁判にて決着をつけようとは思います。

祖父達の介護や面倒をみていた母が、少しでも相続で有利になる方法はないですか?


正野 嘉人弁護士
「寄与分」として認められるのは、あくまで「特別の」寄与に限られ、 親族間の扶養として通常期待される程度の「介護」」や「援助」は含まれません。

また、「無償性」(家業を手伝っても、給与をもらったり、生活費を出してもらっていたら、原則ダメ)や「専属制」(週に2~3回仕事の合間に手伝うくらいではダメ)も要求されるので、現実に認定される例はまれです。

本件で、「病院代や介護料金を全額負担していた」という点は、可能性はありますが、代償として祖父母から何ももらっておらず、「その支出分だけ祖父母の遺産の減少が防げた」という因果関係が必要です(その裏付けとなる客観的証拠も必須です)。

なお、被相続人死亡後の「葬式」などは無関係です。
あくまで「生存中の財産の増加・維持に貢献したこと」が要件です。

したがって、その期間中の「祖父母の預金通帳」「お母さんの預金通帳」「入院費や介護料金の請求書・領収書」及び「それらをお母さんが支払ったという証拠」などを全部集めて、「祖父母からの対価は一切なしにお母さんが代わりに支払って、その分確かに祖父母の遺産の減少を防いだ」という事実を証明することが必要になります。

なお、長男の方は、いくら口で主張しても、そのような立証はできないでしょうから、逆の心配は不要でしょう。

家族の間には「お互いに助け合う義務(扶養義務)」があるため、扶養義務の範囲内の介護では、寄与分とは認められません。 単に、介護をしていた事実を示すだけではなく、その介護が「特別の寄与」と言えるかどうかがポイントになります。 介護する代わりにお金をもらっていた、週に数回仕事の片手間に介護をしていた、といった場合には、特別の寄与とはいえず、寄与分は認められないでしょう。 寄与分を主張するときは、亡くなった人や支援した人自身の預金通帳や請求書が1つの有効な証拠になります。 「自分の支援によって、亡くなった人の、生前の財産の増加・維持に貢献できた」ということを証明できるかどうかが重要です。

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