遺言書

弁護士監修記事 2018年09月28日

【相続税】分譲マンションを相続する際にどのように価値を評価すればよいのか

遺言書によりマンションを受け継ぐ場合でも、相続税の計算をするために、マンションの価値を評価する必要があります。マンションを貸している場合も同様です。

  • 路線価方式
  • 倍率方式

この記事では、このような算定方法について詳しく解説します。

目次

  1. なぜ分譲マンションの価値を評価する必要があるのか
    1. 相続税を払うかどうかを計算するため
  2. マンションの価値の評価方法
  3. 「マンション1戸分の建物」の相続税評価
  4. 「マンション1戸分の土地」の相続税評価額を調べる
    1. 「地積」と「敷地権割合」を確認する
    2. 「路線価」の確認方法
    3. 「評価倍率」を使って計算する
  5. マンションを賃貸していた場合の相続税評価額
    1. 貸しているマンション1戸分の建物の相続税評価
    2. 貸しているマンション1戸分の土地の相続税評価額
    3. それぞれの評価額の合計額を出す
  6. 「小規模宅地特例」が適用されるか確認しよう

なぜ分譲マンションの価値を評価する必要があるのか

alt 亡くなった家族(被相続人)が分譲マンションに住んでいた場合、相続人はそのマンションを遺産として相続します。

相続税を払うかどうかを計算するため

遺産の総額が一定の基準を超えた場合「相続税」を支払う必要があります。 簡単に言えば、すべての遺産の価値の合計が、「基礎控除額(きそこうじょがく)」という基準を超えると、相続税を支払う必要があります。 alt 相続税を支払う必要があるかどうかを判断するために、マンションを評価して、その価値を把握しておく必要があります。

マンションの価値の評価方法

alt マンションを所有することは、「建物の一部を所有する」という感覚の方もいるかもしれませんが、正確には、土地と建物どちらも所有しているということになります。 そのため、マンションの相続税評価額は、「1戸分の建物の相続税評価額」と、「1戸分の土地の相続税評価額」を足して計算することになります。

マンションの土地の部分(底地(そこち)といいます)については、所有権ではなく、地上権や賃借権などが設定されている場合もあります。

「マンション1戸分の建物」の相続税評価

alt マンション1戸分の建物の相続税評価額は、固定資産税評価額と同額です。 固定資産税評価額は所有者に年1回、市町村から送られてくる「固定資産税納税通知書」(課税明細書)で確認できます。 課税明細書の「家屋」や「建物」の項目にある「価格」や「評価額」と記載されている部分の価格が、固定資産税評価額にあたります。

「マンション1戸分の土地」の相続税評価額を調べる

alt マンション1戸分の土地の相続税評価額の計算するために、以下の点を確認しておきましょう。

  • マンションがある土地の1㎡あたりの価格(路線価)
  • 土地の形状などに応じた補正率
  • マンションの敷地全体の面積(地積)
  • マンションの全体の延べ床面積のうち、自分が専有している延べ床面積が占める割合(敷地権割合)

マンション1戸分の土地の相続税評価額は、これらの数値をかけることで算出できます。

マンション1戸分の土地の相続税評価額土地の面積 × 敷地権割合 × 路線価 × 補正率 = マンション1戸分の土地の相続税評価額

「地積」と「敷地権割合」を確認する

「地積」と「敷地権割合」は「登記簿事項証明書(登記簿謄本)」で調べることができます。

「登記事項証明書」の取得方法

「登記事項証明書」は法務局に申請して取得します。申請書の雛形と記載例は法務局のホームページからダウンロードできます。 申請は被相続人の不動産がある地域を担当する法務局だけでなく、全国の法務局で手続きが可能です。オンラインでも申請できます。以下の手数料がかかります。

窓口で申請して窓口で受け取る 600円
オンラインで申請して郵送してもらう 500円
オンラインで申請して窓口で受け取る 480円

「登記事項証明書」の見方

以下の画像は、法務省のホームページで紹介されている「登記事項証明書」の見本の一部です。 alt 出典:法務省ホームページ(説明のために画像を加工しています) この画像では、地積が350.76㎡となっています。敷地権割合は4分の1となっています。

「路線価」の確認方法

路線価は国税庁の「路線価」に関するウェブサイトで確認できます。 まず、国税庁の「路線価」に関するウェブサイトのトップページから、相続するマンションがある都道府県を選択します。 ここでは例として「東京都」を選択します。 alt 出典:国税庁ホームページ(説明のために画像を加工しています) 都道府県を選択すると、以下の画像のようなページが表示されるので、「路線価図」という項目をクリックします。 alt 出典:国税庁ホームページ(説明のために画像を加工しています) 次に、市区町村の一覧が表示されるので、相続するマンションがある市区町村を選びます。 市区町村を選んでいくと、道路に数字が書かれた地図が表示されます。 この地図が「路線価図」です。道路に書かれた数字が、その道路に面する土地の1㎡あたりの価格(路線価)です。 路線価は千円単位で表示されているので、たとえば、道路に「300」と書かれていれば、その道路に面した土地の1㎡あたりの価格は、30万円(30×1000)ということになります。

「路線価」がない地域は「評価倍率」で計算する

相続するマンションがある地域に路線価がない場合があります。その場合は「評価倍率」という別の数値を使って計算します。 「評価倍率」を使った計算方法は、後ほど説明します。

「路線価」を使った計算例

国税庁のホームページで紹介されている次の例を使い、マンション1戸分の土地の相続税評価額を計算してみましょう。 alt 出典:国税庁ホームページ これは、道路に面した700平方メートルの土地です。道路からの奥行きが35メートルあります。 この土地に、相続するマンションが建っているとします。 ◯で囲まれた「300」という数値が路線価です。このケースの路線価は、1㎡あたり30万円(300×1000)ということになります。 相続するマンションの部屋に「10分の1」の敷地権割合が設定されている場合、以下のような計算になります。 700㎡ × 30万 × 1/10 = 2100万円 この数字に、「補正率」をかけた数値が、最終的なマンション1戸分の土地の相続税評価額になります。補正率は、土地の種類と奥行きの長さによって変わってきます。 補正率は、国税庁のホームページ上で、次のような詳細な対応表が公開されています(該当する部分のみ抜粋)。

奥行きの長さ/土地の区分 普通商業・併用住宅地区 普通住宅地区
4m未満 0.9 0.9
4m以上6m未満 0.92 0.92
6m以上8m未満 0.95 0.95
8m以上10m未満 0.97 0.97
10m以上12m未満 0.99 1
12m以上14m未満 1 1
14m以上16m未満 1 1
16m以上20m未満 1 1
20m以上24m未満 1 1
24m以上28m未満 1 0.97
28m以上32m未満 1 0.95
32m以上36m未満 0.97 0.93
36m以上40m未満 0.95 0.92

該当する土地が「普通商業・併用住宅地区」なのか「普通住宅地区」なのかは、路線価図で確認することができます。土地の種類を示す記号があるので、該当する土地がどの区分なのか確認しましょう。 相続するマンションの土地は、奥行きが35メートルあり、「普通商業・住宅併用地区」なので、補正率は「0.97」になります。 先程の2100万円にこの0.97をかけた数字が、マンション1戸分の土地の相続税評価額です。 2100万円 × 0.97 = 2037万円 この数字に、マンション1戸分の建物の相続税評価額をプラスした数字が、分譲マンションの相続税評価額になります。

補正率は、この他土地の形状などさまざまな条件で変動する可能性があり、一般の方が自力で正確な補正率を算出することが困難なケースもあります。計算に不安を感じた場合は、弁護士などの専門家に依頼することを検討してもよいでしょう。

「評価倍率」を使って計算する

相続するマンションがある地域に路線価がない場合、「評価倍率」という数値を使って計算します。 具体的には、「マンションの敷地全体の固定資産税評価額」に評価倍率と敷地権割合をかけることで計算できます。

マンション1戸分の土地の相続税評価額マンションの敷地全体の固定資産税評価額 × 評価倍率 × 敷地権割合 = マンション1戸分の土地の相続税評価額

マンションの敷地全体の固定資産税評価額は、課税明細書の「土地」の項目にある「価格」や「評価額」と記載されている部分の価格が該当します。

評価倍率の確認方法

評価倍率も国税庁の「路線価」に関するウェブサイトで確認できます。 まず、路線価を確認するときと同様に、トップページから相続するマンションがある都道府県を選択します。 ここでは例として「東京都」を選択します。 alt 出典:国税庁ホームページ(説明のために画像を加工しています) 次のページで「評価倍率表」という項目にある「一般の土地等用」をクリックします。 alt 出典:国税庁ホームページ(説明のために画像を加工しています) 次に、市区町村を選択する画面になるので、相続するマンションがある市区町村を選択します。そうすると、その市区町村の「評価倍率表」が表示されます。 ここでは「八王子市」を選択します。 alt 出典:国税庁ホームページ(説明のために画像を加工しています) 「評価倍率表」から相続するマンションがある地域を検索し、該当する地域の「宅地」の欄に書かれている数字を確認しましょう。その数字が評価倍率です(下の画像では「1.1」)。 alt 出典:国税庁ホームページ(説明のために画像を加工しています) 該当する地域に、数字ではなく「路線」と書かれていれば路線価が設定されているはずなので、「路線価図」を確認してみましょう。

評価倍率を使った計算例

以下のマンションを例に、1戸分の土地の相続税評価額を計算してみましょう。

  • マンションの敷地全体の固定資産税評価額=8000万円
  • 評価倍率=1.1
  • 敷地権割合=4分の1

計算はマンションの敷地全体の固定資産税評価額に、評価倍率と敷地権割合をかけるので、以下のような式になります。 8000万 × 1.1 × 1/4 = 2200万円 この数字に、マンション1戸分の建物の相続税評価額をプラスした数字が、分譲マンションの相続税評価額になります。

マンションを賃貸していた場合の相続税評価額

alt 遺産となる分譲マンションが、賃貸物件として利用されていた場合の相続税評価額は、異なる計算をする必要があります。 先ほどと同様に、土地と建物分けて、「貸しているマンション1戸分の建物の相続税評価」と「貸しているマンション1戸分の土地の相続税評価額」をそれぞれ算出して、その合計額から導かれることになります。

貸しているマンション1戸分の建物の相続税評価

「貸しているマンション1戸分の建物の相続税評価」は、マンションの住戸部分の固定資産税評価額から「借家権の価値」を引くことで算出します。 借家権の価値は、固定資産税評価額に「借家権割合」という数値をかけることで算出できます。 借家権割合は国税庁により一律30%と定められています。 「貸しているマンション1戸分の建物の相続税評価」は、以下のように計算することになります。

貸しているマンション1戸分の建物の相続税評価額固定資産税評価額 − (固定資産税評価額 × 30%) = 貸しているマンション1戸分の建物の相続税評価

この式をより簡単にすると以下のように整理できます。 固定資産税評価額 × 70% = 貸しているマンション1戸分の建物の相続税評価 ここでは、固定資産税評価額が3000万円だったとしましょう。相続税評価額は、2100万円(3000万×0.7)となります。

貸しているマンション1戸分の土地の相続税評価額

「貸しているマンション1戸分の土地の相続税評価額」は、先ほど算出した、「マンション1戸分の土地の相続税評価額」と、「借地権割合」「借家権割合(30%)」を使って計算します。 計算式は、以下のようになります。

貸しているマンション1戸分の土地の相続税評価額マンション1戸分の土地の相続税評価額 - (マンション1戸分の土地の相続税評価額 × 借地権割合 × 借家権割合) = 貸しているマンション1戸分の土地の相続税評価額

借地権割合は、国税庁の「路線価」に関するウェブサイトで確認できます。「路線価図」にある路線価を示す数字の横のアルファベットが借地権割合を示しています。 アルファベットと借地権割合は以下の表のようになっています。

アルファベット 借地権割合
A 90%
B 80%
C 70%
D 60%
E 50%
F 40%
G 30%

「路線価」がない地域では、下の画像のように、評価倍率表にある「借地権割合」という項目に数値が記載されています。 alt 出典:国税庁ホームページ(説明のために画像を加工しています) 路線価方式で1戸分の土地の評価額を算出した先程の例の土地に、賃貸中のマンションがあると仮定して、具体的に計算してみましょう(敷地権割合は10分の1)。 alt 出典:国税庁ホームページ 「C」の借地権割合は70%です。前述のように、借家権割合は一律30%になります。 2037万 - (2037万 × 0.7 × 0.3) = 1609万2300円

それぞれの評価額の合計額を出す

2100万円 + 1609万2300円 = 3709万2300円 これが、賃貸に出していた場合の相続税評価額になります。

「小規模宅地特例」が適用されるか確認しよう

alt 「小規模宅地特例」とは、一定の条件をクリアすると、マンションの相続税評価額のうち、「1戸分の土地の相続税評価額」を最大で80%減額してもらえる制度です。 遺産の合計額が基礎控除額を超えている場合でも、小規模宅地特例によりマンションの評価額が引き下げられ、その結果、遺産の合計額が基礎控除額を下回れば、相続税を支払う必要がありません。 「小規模宅地特例」が適用されるか確認しましょう。

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