相続税

弁護士監修記事 2018年12月05日

上場株式を相続するときの相続税評価額を確認する方法

遺産の中に上場株式がある場合、評価額はどのように決めればよいのでしょうか? 遺産の評価は、相続人同士の合意があれば、自由な額で評価できますが、相続税を支払う場合には、「相続税評価額」に基づき評価する必要があります。 この記事では、上場株式の相続税評価額を確認する方法について、詳しく解説します。

目次

  1. 相続税を支払う必要があるかを判断するために評価額を確認する
  2. 上場株式の評価方法
    1. 「被相続人が死亡した日の最終価格」が変わるケース
    2. 複数の証券取引所で売買されている場合は取引所を選べる

相続税を支払う必要があるかを判断するために評価額を確認する

遺産の中に上場株式があることが分かったら、「相続税評価額」を確認しておきましょう。 預貯金や不動産など、他の遺産も含めた評価額の合計が一定の額を超えると、相続税を支払う必要があるからです。 簡単に言えば、遺産の合計額が、「基礎控除額(きそこうじょがく)」という基準を超えると、相続税を支払う必要があります。 相続税を支払う必要があるかどうかを判断するため、上場株式の評価額を把握しておきましょう。

上場株式の評価方法

上場株式の相続税評価額は、株式の価格(株価)です。上場株式は市場で売買されており、株価が公開されています。 ただ、株価は毎日変化するので、「いつの時点の株価が相続税評価額に該当するか」について、国税庁がルールを定めています。 上場株式の相続税評価額は、以下の4種類の価格から、もっとも低い額が該当します。

  1. 被相続人が死亡した日の最終価格
  2. 被相続人が死亡した月の毎日の最終価格の月平均額
  3. 被相続人が死亡した月の前月の毎日の最終価格の月平均額
  4. 被相続人が死亡した月の先々月の毎日の最終価格の月平均額

被相続人が4月1日に死亡したケースで、上場株式の価格が以下のようになっていた場合で考えてみましょう。

  1. 4月1日の最終価格:1000円
  2. 4月の毎日の最終価格の月平均額:900円
  3. 3月の毎日の最終価格の月平均額:800円
  4. 2月の毎日の最終価格の月平均額:1200円

被相続人が所有していた株式が、このような価格になっている場合、4種類の価格の中でもっとも低い「3月の毎日の最終価格の月平均額」の800円が評価額になります。 平均額は、被相続人が株を取引する際の窓口となっていた証券会社に問い合わせることで、調べてもらえます。

「被相続人が死亡した日の最終価格」が変わるケース

被相続人が、以下の日に亡くなった場合、「被相続人が死亡した日の最終価格」が変わる可能性があることに注意しましょう。

  • 土日・祝日に亡くなった場合
  • 「権利落・配当落の日」から「株式の割当てや配当金交付などの基準日」までの間に亡くなった場合

土日・祝日の場合

土日・祝日は株式の取引が行われないため、被相続人が土日・祝日に亡くなった場合、死亡日に近い日の最終価格が、「被相続人が死亡した日の最終価格」になります。 たとえば、被相続人が土曜日に亡くなった場合は、死亡する前日の金曜日の最終価格になります。日曜日に亡くなった場合は、死亡した翌日の月曜日の最終価格です。 また、被相続人が3連休の2日目に亡くなった場合は、3連休が始まる前日と、3連休が終わる翌日の最終価格の平均が、「被相続人が死亡した日の最終価格」です たとえば、月曜日が祝日のときの日曜日に被相続人が亡くなった場合、3連休が始まる前日の金曜日と、3連休が終わる翌日の月曜日の最終価格を平均します。

「権利落・配当落の日」から「基準日」までの間の場合

上場株式には、その株式を発行している企業が定める「権利落・配当落の日」と、「株式の割当てや配当金交付などの基準日」(基準日)という日があります。 被相続人が、「権利落・配当落の日」から基準日までの間に亡くなった場合、特例により「被相続人が死亡した日の最終価格」が変わる可能性があります。 具体的には、「その権利落・配当落の日の前日以前の最終価格のうち、課税時期(被相続人が亡くなった日)に最も近い日の最終価格」が、「被相続人が死亡した日の最終価格」になります。 下記の図を例に考えてみましょう。 上記の図は、権利落・配当落の日が18日、基準日が20日で、被相続人が19日に亡くなったケースです。 このようなケースでは、19日の最終価格(90円)ではなく、17日の最終価格(120円)が「被相続人が死亡した日の最終価格」になります。 「権利落・配当落の日」や、基準日は企業によって異なるので、株式を発行している企業に確認しましょう。 このほかにも、「権利落・配当落の日」や基準日に関する様々な特例があり、特例により株式の相続税評価額が変わる可能性があります。 特例が適用される場合の相続税評価額を確認するには、専門的な知識が必要です 「権利落・配当落の日」や基準日の前後に被相続人が亡くなっている場合は、専門家に相談することをおすすめします。

複数の証券取引所で売買されている場合は取引所を選べる

国内で株式の売買を行なっている市場(証券取引所)は、以下の4種類があります。

  • 東京証券取引所
  • 名古屋証券取引所
  • 福岡証券取引所
  • 札幌証券取引所

もし、相続する株式が、複数の証券取引所で売買されている場合、証券取引所によって株価が異なる可能性があります。 このようなケースでは、どの証券取引所の株価を選ぶかを、自分で決めることになります。 相続税評価額を抑えるためにも、最も株価が低い証券取引所を選ぶことができます。

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